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闇勇者の伝承
手が付けられん
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「そんな事があったのですね」
俺の迎えの席に座った五~六歳くらいの男の子が興味深そうに頷いた。
俺、如月湊は満足げに微笑むと、目の前の男の子のフレジスタ王国の王子であるガキ王子、リヒト・フレジスタへと視線を移し、本を閉じる。
「まぁ、俺からしたら、馬鹿馬鹿しい話だ…………。
高々、失恋した程度で、こんな事をしでかすんだからな。
あの駄メイド…………!」
俺は先日までいた駄メイドこと、メイド型アンドロイド・アルダートの顔を思い浮かべて、思わず、苦々しい表情を浮かべた。
何を隠そう、この話に出て来た失恋した女性とは、そのアルダートの事なのだ。
後になって分かった事だが……………………防衛兵器が全て封印され、その件の勇者を手に入れられなかった彼女は、今、俺達がいる、この移動要塞内の全機能を奪おうと考えていたらしい。
その為に、都合の良いアンドロイドの身体へと魂を移し替えて、この要塞を継承する者-------------
つまり、俺を騙して、殺しておく算段だったようだ。
とち狂っているにも程がある。
「だが、呪いを受けたその勇者-------------面倒だから、《闇勇者》って呼ぶが……………………その闇勇者は今も、世界を滅ぼそうと暗躍している。
前回、戦った際の感じだと、最後の遺跡を取り込んだ影響なのか知らんが、正直、手が付けられん…………」
そんで、前回、やられた俺はと言うと、今も傷が治らず、ボロボロだ。
俺のスキル《プラモ構築》--------
スキルで召喚したプラモデルのパーツを組み立てる事で、武器なり、人型ロボットなど、とんでもない武器を構築する特殊スキル。
隠し能力で、そのロボットへと変身出来たり、そのロボット自体に他者を霊体化して、憑依させて動かせたり、とかなりあり得ない鬼畜スキルだが-------------
そのスキルで、生み出した愛機《エグゼス》も、先日の闇勇者との戦いで、大破してもう使えないし…………。
残った可変機体型である《デルタ・アーム》は闇勇者に勝てる見込みがない。
可能性があるとすれば、俺のスキルと、この《聖戦》の関係者である彼女、ミハエルの古代の技術と知恵を合わせた新たな機体の開発計画《ゼロ・スフィア》だけだ。
ほんと、どうしよう。
そんなフラグめいた事を思っていると、嫌な事は唐突に訪れる。
突然、要塞内にけたたましく鳴り響く非常時のアラーム音。
近場の小型スクリーンを操作して、ブリッジにいる管理用の戦闘アンドロイド《シスターズ》の一体の顔が映し出される。
「何があった…………?」
端的に尋ねると、そのシスターズは要塞近くの荒野で、戦闘が起きていると答えた。
反応からすると、あの闇勇者ではないが、例の防衛兵器であるロボットと何者かが、戦っているのだろう。
まだ、万全な状態ではないが、流石に放って置けないな…………。
意を決して、俺は無言で部屋を出ようとする。
「…………行かれるのですか?」
背後で、不安げな声音で、ガキ王子様が問うが、俺は振り返る事もなく、ソッと片手で手を振った。
俺の迎えの席に座った五~六歳くらいの男の子が興味深そうに頷いた。
俺、如月湊は満足げに微笑むと、目の前の男の子のフレジスタ王国の王子であるガキ王子、リヒト・フレジスタへと視線を移し、本を閉じる。
「まぁ、俺からしたら、馬鹿馬鹿しい話だ…………。
高々、失恋した程度で、こんな事をしでかすんだからな。
あの駄メイド…………!」
俺は先日までいた駄メイドこと、メイド型アンドロイド・アルダートの顔を思い浮かべて、思わず、苦々しい表情を浮かべた。
何を隠そう、この話に出て来た失恋した女性とは、そのアルダートの事なのだ。
後になって分かった事だが……………………防衛兵器が全て封印され、その件の勇者を手に入れられなかった彼女は、今、俺達がいる、この移動要塞内の全機能を奪おうと考えていたらしい。
その為に、都合の良いアンドロイドの身体へと魂を移し替えて、この要塞を継承する者-------------
つまり、俺を騙して、殺しておく算段だったようだ。
とち狂っているにも程がある。
「だが、呪いを受けたその勇者-------------面倒だから、《闇勇者》って呼ぶが……………………その闇勇者は今も、世界を滅ぼそうと暗躍している。
前回、戦った際の感じだと、最後の遺跡を取り込んだ影響なのか知らんが、正直、手が付けられん…………」
そんで、前回、やられた俺はと言うと、今も傷が治らず、ボロボロだ。
俺のスキル《プラモ構築》--------
スキルで召喚したプラモデルのパーツを組み立てる事で、武器なり、人型ロボットなど、とんでもない武器を構築する特殊スキル。
隠し能力で、そのロボットへと変身出来たり、そのロボット自体に他者を霊体化して、憑依させて動かせたり、とかなりあり得ない鬼畜スキルだが-------------
そのスキルで、生み出した愛機《エグゼス》も、先日の闇勇者との戦いで、大破してもう使えないし…………。
残った可変機体型である《デルタ・アーム》は闇勇者に勝てる見込みがない。
可能性があるとすれば、俺のスキルと、この《聖戦》の関係者である彼女、ミハエルの古代の技術と知恵を合わせた新たな機体の開発計画《ゼロ・スフィア》だけだ。
ほんと、どうしよう。
そんなフラグめいた事を思っていると、嫌な事は唐突に訪れる。
突然、要塞内にけたたましく鳴り響く非常時のアラーム音。
近場の小型スクリーンを操作して、ブリッジにいる管理用の戦闘アンドロイド《シスターズ》の一体の顔が映し出される。
「何があった…………?」
端的に尋ねると、そのシスターズは要塞近くの荒野で、戦闘が起きていると答えた。
反応からすると、あの闇勇者ではないが、例の防衛兵器であるロボットと何者かが、戦っているのだろう。
まだ、万全な状態ではないが、流石に放って置けないな…………。
意を決して、俺は無言で部屋を出ようとする。
「…………行かれるのですか?」
背後で、不安げな声音で、ガキ王子様が問うが、俺は振り返る事もなく、ソッと片手で手を振った。
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