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聖戦の始動編
予想外の機体
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剣聖様と合流した地下のドック内-------------
今、俺が佇みながら、乗っている輸送用のトレーラーらしき車体の積荷を見て、俺は心底、驚きを隠せなかった。
いや、量産型であるレギオンタイプの生産施設を止めるべく、勇んで乗り込んで、想定外のトラブルで、愛機を失い-------------若干、傷付いていたのだが…………。
今、俺が見下ろすそれは、そんな些細な事を一瞬で吹き飛ばしてくれる程、魅力的に映っている。
「一体、どうしたの…………?」
背後から、剣聖の声がする。
肩越しに振り向くと、聖女と共に、不思議そうな面持ちで、俺の方を見上げている二人がいた。
どうやら、聖女様に治療を受けた後、俺の様子が気になって来たらしい。
そんな二人を視界に捉え-------------思わず、頬が三日月に歪んだ。
そうだ。
丁度良い素材がいるじゃないか。
側から見れば、完全に悪党のセリフだよな…………。
けれど、俺から見れば、これは千載一遇のチャンス-------------
なら、やる事は決まっている。
「ちょいと、お二人さん。こっちにいらっしゃいな…………」
「何か、胡散臭いわね?」
「えぇ…………。何故だが、凄く嫌な予感が致します」
ちっ…………!!!
勘の良い奴らめ-------------
「そんな事はないよ? 大丈夫だから、おいでぇ~♪」
俺がこっちこっちと、手招きすれば、嫌そうに不信感剥き出しで、渋々、剣聖様が意を決して、跳び乗った。
そんで、綺麗なフォームで、俺の横に着地するなり、積荷の中身を視界に捉え------------俺と同じように、驚きのあまり、目を見開いて固まった。
「…………?」
聖女様も、先に跳び乗った剣聖様の様子を不審に思い、警戒しつつも、剣聖様の横に降り立ち-------------固まる。
「あ、あの…………これは、まさか…………」
漸く、現実に返り咲いた剣聖様が、震える声音を振り絞って、恐る恐る尋ねて来る。
まぁ、これが普通の反応だわな…………。
「おう!! これは、お前らの言う巨人と言う奴だ」
「きゅぅううう~」
そうはっきりと告げると、意識がブラックアウトしたのか、隣に佇んでいた聖女が腰を抜かして倒れた。
慌てて、剣聖が駆け寄るが、時既に遅し、聖女様はキャパシティが、完全に超えてしまったようで、目をグルグルと回していたのだった。
まぁ、後は剣聖様に任せておけば良いか。
とりあえず、こいつが動くかどうか、確かめないと-------------
「んじゃ…………ちょいと、待ってろ…………」
「え? ちょっ--------!?」
剣聖様が、何か、言い掛けてようとしていたが、無視だ。
無視。
俺はトレーラーの荷台内に入り、格納されている機体の腹部-------------コックピットのハッチのある当たりへと降り立つ。
確か、資料だと、ここら辺に-------------
俺は前にアルダートから渡された資料の内容を思い返しながら、手当たり次第に、機体の表面に触れて………………………………見つけた。
発見したハッチの開閉スイッチを押すと、コックピットが目の前で、開く。
そして、そのまま、コックピット内へと侵入して、起動させる。
動力はまだ、生きているみたいなので、まぁ、動かせるだろう。
それよりも、この機体のシステムを立ち上げる際、コックピット内のモニターに表示されたこの機体の名称らしきもの。
《リヴァーサル》
やっぱり、間違いない。
この機体は《特機》と呼ばれる特殊改良型の機体だ。
アルダートによって齎された資料によれば、《特機》とは、量産型のレギオンタイプのような同系統の機体が多数製造されたタイプとは違い、たった一機しか、製造されていないタイプの事。
しかも、《特機》には、量産型を遥かに凌駕する機体スペックと多種多様な武装が装備されているらしく、下手をすれば、俺の愛機《フォートナー》よりも強い。
現に、調べれば、調べる程、この《リヴァーサル》のパワーとスペックは、《フォートナー》の四倍以上もあるのが、確認出来た。
魔力ゲージは半分も残っていないけれど、充分、戦える。
これは、もう一つのトレーラーにも、期待が出来そうだ。
だが、この《リヴァーサル》は、あの資料の通りなら、俺には動かせない。
何故なら、とても、重大な欠陥がある機体なのだ。
その理由とは-------------これ、二人乗り用なのよね…………。
「……………………」
一応、この機体のデータを閲覧する事は出来た。
だが、あの資料にあった通りなんだよなぁ~。
やっぱり、ここは、あいつらに任せてみよう。
なんて、呑気な事も考えられそうにない。
けたたましいアラートが、コックピット内に鳴り響く。
うん、ヤバい…………。
何か、こっちに近付いて来てる-------------
今、俺が佇みながら、乗っている輸送用のトレーラーらしき車体の積荷を見て、俺は心底、驚きを隠せなかった。
いや、量産型であるレギオンタイプの生産施設を止めるべく、勇んで乗り込んで、想定外のトラブルで、愛機を失い-------------若干、傷付いていたのだが…………。
今、俺が見下ろすそれは、そんな些細な事を一瞬で吹き飛ばしてくれる程、魅力的に映っている。
「一体、どうしたの…………?」
背後から、剣聖の声がする。
肩越しに振り向くと、聖女と共に、不思議そうな面持ちで、俺の方を見上げている二人がいた。
どうやら、聖女様に治療を受けた後、俺の様子が気になって来たらしい。
そんな二人を視界に捉え-------------思わず、頬が三日月に歪んだ。
そうだ。
丁度良い素材がいるじゃないか。
側から見れば、完全に悪党のセリフだよな…………。
けれど、俺から見れば、これは千載一遇のチャンス-------------
なら、やる事は決まっている。
「ちょいと、お二人さん。こっちにいらっしゃいな…………」
「何か、胡散臭いわね?」
「えぇ…………。何故だが、凄く嫌な予感が致します」
ちっ…………!!!
勘の良い奴らめ-------------
「そんな事はないよ? 大丈夫だから、おいでぇ~♪」
俺がこっちこっちと、手招きすれば、嫌そうに不信感剥き出しで、渋々、剣聖様が意を決して、跳び乗った。
そんで、綺麗なフォームで、俺の横に着地するなり、積荷の中身を視界に捉え------------俺と同じように、驚きのあまり、目を見開いて固まった。
「…………?」
聖女様も、先に跳び乗った剣聖様の様子を不審に思い、警戒しつつも、剣聖様の横に降り立ち-------------固まる。
「あ、あの…………これは、まさか…………」
漸く、現実に返り咲いた剣聖様が、震える声音を振り絞って、恐る恐る尋ねて来る。
まぁ、これが普通の反応だわな…………。
「おう!! これは、お前らの言う巨人と言う奴だ」
「きゅぅううう~」
そうはっきりと告げると、意識がブラックアウトしたのか、隣に佇んでいた聖女が腰を抜かして倒れた。
慌てて、剣聖が駆け寄るが、時既に遅し、聖女様はキャパシティが、完全に超えてしまったようで、目をグルグルと回していたのだった。
まぁ、後は剣聖様に任せておけば良いか。
とりあえず、こいつが動くかどうか、確かめないと-------------
「んじゃ…………ちょいと、待ってろ…………」
「え? ちょっ--------!?」
剣聖様が、何か、言い掛けてようとしていたが、無視だ。
無視。
俺はトレーラーの荷台内に入り、格納されている機体の腹部-------------コックピットのハッチのある当たりへと降り立つ。
確か、資料だと、ここら辺に-------------
俺は前にアルダートから渡された資料の内容を思い返しながら、手当たり次第に、機体の表面に触れて………………………………見つけた。
発見したハッチの開閉スイッチを押すと、コックピットが目の前で、開く。
そして、そのまま、コックピット内へと侵入して、起動させる。
動力はまだ、生きているみたいなので、まぁ、動かせるだろう。
それよりも、この機体のシステムを立ち上げる際、コックピット内のモニターに表示されたこの機体の名称らしきもの。
《リヴァーサル》
やっぱり、間違いない。
この機体は《特機》と呼ばれる特殊改良型の機体だ。
アルダートによって齎された資料によれば、《特機》とは、量産型のレギオンタイプのような同系統の機体が多数製造されたタイプとは違い、たった一機しか、製造されていないタイプの事。
しかも、《特機》には、量産型を遥かに凌駕する機体スペックと多種多様な武装が装備されているらしく、下手をすれば、俺の愛機《フォートナー》よりも強い。
現に、調べれば、調べる程、この《リヴァーサル》のパワーとスペックは、《フォートナー》の四倍以上もあるのが、確認出来た。
魔力ゲージは半分も残っていないけれど、充分、戦える。
これは、もう一つのトレーラーにも、期待が出来そうだ。
だが、この《リヴァーサル》は、あの資料の通りなら、俺には動かせない。
何故なら、とても、重大な欠陥がある機体なのだ。
その理由とは-------------これ、二人乗り用なのよね…………。
「……………………」
一応、この機体のデータを閲覧する事は出来た。
だが、あの資料にあった通りなんだよなぁ~。
やっぱり、ここは、あいつらに任せてみよう。
なんて、呑気な事も考えられそうにない。
けたたましいアラートが、コックピット内に鳴り響く。
うん、ヤバい…………。
何か、こっちに近付いて来てる-------------
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