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疑心

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カークが洗った皿をセンに拭いてもらって片付けていると、外が騒がしい。
人間は何かあるとすぐ集まってザワザワするよな。

流し台の端でケイが鍋をじっと見ている。
今日は焦げは無かった。残念だったな。

セキ達スコラ三匹は籠に積まれた胡桃を見つけて懸命に前歯でかじっている。
人間の食料だから割るだけで中身には手を出さないように言ってある。

仕事を終えてケイとセンを畑に送り出しに行くと、やはり人間の塊があった。
今度はどうしたと思ったが、あそこにはフェイボアを置きっぱなしだったな。

見える位置まで行くと、フェイボアの前にボーケイがせり出して人間達を威嚇していた。

ボーケイは人間に取り囲まれ、威嚇するので人間達に余計に怖がられることになっていた。
急いでいたとはいえ、頼んだから頑張ってくれている。って事だよな?
「それで、合ってると思う」

ああ、つまり自分達が出て行かないと収まらないって話だな。
神父様では詳細の意思疎通は出来ない訳だし。
カーク、頼む。

「はい、すみません」
人の波を分け入ってボーケイの前まで来ると、ボーケイの足元に水たまりが出来始めた。

「ポーッ!!」
こちらに向かって水を振りまいている。
もしかして、涙か?

「ポーッ」
ああ~人間に向かって威嚇するのを頑張っていたが、こちらの顔を見て恐怖心が決壊ってところか。
よく頑張ったな。カーク撫でてやってくれ。

「ご苦労様、良く頑張った」

「ポーポー」
ボーケイってこんなに鳴く生き物なのか?

「良く鳴くな?」

「ポーッ!」
ちょっと怒ったっぽい。

「みんな、大丈夫。このフェイボア、今朝、俺が持ってきた」

「ポーッ」

「ボーケイに、守るよう言っといた」

「ポーポー」

「そうなのですか?」
ここで出て来たのはさすがの神父様だな。

「厨房に、ブラックソーセージ、持って行った。あれ、このフェイボアの」
おお~とか言ってる人間がいる。
納得してもらえるだろうか?

「しかし、なぜそのような事をする羽目に?」

「キュッ」
離れて見ていたセキ達がしゅたたとカークの肩まで駆け上がる。

「こいつらに、助けを求められて、行った先で、大木に牙が刺さって、動けなくなってたから、仕留めた」

「そんなことが?」

「信じられないなら、林の木が、なぎ倒されたまま、あるから、見てくると良い」

「そうですか。木の処理は別に人手が必要ですね。まずはフェイボアを何とかしましょう」
神父様が威嚇体勢のボーケイを見る。
ボーケイがこちらを見たような気がして、カークが無言でうなずいていた。
目はないから気がしただけなんだが、カークが納得してるならいいか。

ボーケイが威嚇をやめて小さく柵の下にうずくまる。
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