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赤いお化け(ファンタジー)

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 魔女を主従に、お化けを作り出している国がありました。大魔女の娘、アリーナは10才になりますが、なかなかのポンコツで、うまいこと薬をうまく作る事が出来ません。

 肩にはいつもオウムのリッシーが、薬を使うのを見守っています。リッシーは、七色の羽根を持っていて、大魔女に遣えているオウムとは、とても思えないほど、綺麗な羽根をしています。

「いい? もう一度見ていてよ、リッシー」
「もう見ていられないわ」
 リッシーは背中を向ける。
「それにしても、どうしてそんな液を作るのよ」
「明日は参観日なの! わたしの出来損ないな魔法を、お母様に見せてごらんなさい?! どうなると思う?!」

「卒倒するわね」

「でしょ?」
 アリーナは苦笑い。

「大魔女様の跡を継ぐのが、ポンコツだなんてね」
 リッシーは喘いだ。

「街に赤いお化けをたーっくさん襲来させて、パニックにさせるための薬を作りたいのよ。そうしたら、お母様は違う意味で忙しくなって、参観日にはこ、れ、な、い」
 アリーナは親指を立てた。
 グッジョブ! というシチュエーションだ。

「考えはいっぱしの大魔女様ね」

 呪文を唱えると、鍋がぐつぐつ煮え始めて赤色に光り始めた。それは、やがて赤い煙となり、赤い煙は巨大化していき、目と、口が出来ると、咆哮を上げた。

「キャーーー!」

 アリーナとリッシーの悲鳴。 

 その赤い巨大化したお化けは窓ガラスを破って、外へ飛び出した!

「ど、どうしよう。明日のつもりだったのに」
 アリーナ、顔面蒼白。

「アリーーーナァァ! 何をやらかしたのぉぉ!」

 怒り奮闘の、顔を真っ赤にした大魔女様が、壁伝いで自分自身を写し出した。

「ギァアアアッ」

 恐怖で悲惨な悲鳴。
 巨大化した赤いお化けよりも、母の方が怖いアリーナ。

 するとお城口から、この国を守る、馬に股がる暗黒騎士団長様が、巨大化した赤いお化けを追い掛けて行くのが見えた。

 この国なら、誰もが憧れる暗黒騎士団長バベル。白銀の髪をなびかせて、馬を操るその姿はもう見えなくなった。

 数時間後、
「アリーナ嬢、いくらなんでもあの巨大化した赤いお化けはやり過ぎだ。何を企んでいらっしゃった」
 アリーナは何も言えず、もじもじ。

 だが、街は暗黒騎士団長バベルのお陰で、街はパニックにならずにすんだが、アリーナは、母にこっぴどく叱られた。

 翌日の参観日も通常通り行われ、だめっぷりな魔法を披露し、面子の潰れた大魔女様は憤慨し、さらにこっぴどく叱られるはめとなりました。
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