97 / 97
第97話エピローグ── 愛し合う形
しおりを挟む
◆
「おいボケッとしてんじゃねぇよ。遅刻しちまうだろうが」
小さな頃の記憶を朧げに思い出してしまい、思わず足を止めてしまう。
お母さんがカレーを食べながら泣いていた時の記憶だ。
私がお母さんに何かを聞いて、その瞬間お母さんはぼろぼろと泣き始めたのは思い出したが私が何を言ったのか、そしてお母さんはどうして泣き始めたのか全く思い出せない。
ただ、その時のお母さんはぼろぼろと泣きながらもとても幸せそうな表情をしていた事だけはなぜか鮮明に覚えている。
「まぁまぁ良いじゃないか。いつもの事だしこんな事でめくじらを立てているとキリがない」
「それもそうだな」
「ちょっと! たっちゃんっ! マー君っ! それどういう意味よっ!?」
「「そういう意味だが?」」
そして保育園からの腐れ縁であるたっちゃんとマー君は、今年晴れて同じ高校へ進学が決まった。
本当、文字通り切っても切れない関係というやつなのかもしれない。
「しかし、真奈美んとこの両親は何で籍を入れないんだろうな? 仲良さげだし再婚すれば良いのに」
「ちょっ! 達也っ! 流石に踏み込み過ぎだってっ!」
「あぁ、その事? 良い良い別に今更だし両親が苗字違う時点で仲良くなればいつか絶対バレる事だしね」
そう、たっちゃんの言う通り私の両親は未だに再婚していないのだ。
お母さん曰く、それがけじめだし禊でもあるのだそうだ。なんでもお母さんはそれ程許されない事をしたらしい。
お父さん曰く、未だに籍を入れる事はトラウマなんだそうだ。なんでも再婚したらまたお母さんに裏切られるんじゃないかって思ってしまうかららしい。
二人の気持ちを私は何となく理解出来るし、幼いながらも私達家族が普通じゃない事は分かっていた。
そして、その理由も。
「結婚とは恋など愛などよりも重し」
「は? キメ顔で言われても意味わからんし」
「意味が分からない事を言うのはいつもの事だけどね」
本当男子って高校生になっても色恋を知らないとは、まだまだ子供だなと思う。
「全く、あんたらにも好きな人がいつか出来たら分かるかもね」
「え? あ? お、大きなお世話だってのっ!!」
「全くだ。大きなお世話だ」
仕方ない。
世話が焼けるケツの青いガキ二人の為にお姉さんがここは一つ一肌脱いで教えてあげましょうかね。
「そんな二人の愛し方もあるって話よ。結婚して無くても二人は確かに愛し合っている。それで良いじゃない」
母と父には母と父の愛し合う形が確かにあって、再婚しないと言うのが二人にとっては信頼の証でもあるのだろう。
ならば私はそれでも良いと思う。
つまるところ結婚してようがしていまいが、互いに思いやる事が大事なのだと両親から教えられている、そんな気がしないでもない。
「「うるさい、唐変木」」
「なっ! 何だとお前らっ!?」
そんな両親の教えを胸に秘め、まだ見ぬ旦那様はこの二人ではないなと思うのであった。
────────────────────────────────────────
これにて当作品は完結でございます∩^ω^∩ここまで読んで頂きありがとうございましたっ!!
それもこれも全てここまで読んで下さった皆様のお陰ですっ!∩^ω^∩ありがとうございますっ!
また、面白かったと思った方は今現在ほっこり・じんわり大賞に参加中ですので清き一票を入れていただければ幸いでございます。
それでは、また次の作品でお会い出来る事を祈りながら、締めたいと思います。
ありがとうございました。
「おいボケッとしてんじゃねぇよ。遅刻しちまうだろうが」
小さな頃の記憶を朧げに思い出してしまい、思わず足を止めてしまう。
お母さんがカレーを食べながら泣いていた時の記憶だ。
私がお母さんに何かを聞いて、その瞬間お母さんはぼろぼろと泣き始めたのは思い出したが私が何を言ったのか、そしてお母さんはどうして泣き始めたのか全く思い出せない。
ただ、その時のお母さんはぼろぼろと泣きながらもとても幸せそうな表情をしていた事だけはなぜか鮮明に覚えている。
「まぁまぁ良いじゃないか。いつもの事だしこんな事でめくじらを立てているとキリがない」
「それもそうだな」
「ちょっと! たっちゃんっ! マー君っ! それどういう意味よっ!?」
「「そういう意味だが?」」
そして保育園からの腐れ縁であるたっちゃんとマー君は、今年晴れて同じ高校へ進学が決まった。
本当、文字通り切っても切れない関係というやつなのかもしれない。
「しかし、真奈美んとこの両親は何で籍を入れないんだろうな? 仲良さげだし再婚すれば良いのに」
「ちょっ! 達也っ! 流石に踏み込み過ぎだってっ!」
「あぁ、その事? 良い良い別に今更だし両親が苗字違う時点で仲良くなればいつか絶対バレる事だしね」
そう、たっちゃんの言う通り私の両親は未だに再婚していないのだ。
お母さん曰く、それがけじめだし禊でもあるのだそうだ。なんでもお母さんはそれ程許されない事をしたらしい。
お父さん曰く、未だに籍を入れる事はトラウマなんだそうだ。なんでも再婚したらまたお母さんに裏切られるんじゃないかって思ってしまうかららしい。
二人の気持ちを私は何となく理解出来るし、幼いながらも私達家族が普通じゃない事は分かっていた。
そして、その理由も。
「結婚とは恋など愛などよりも重し」
「は? キメ顔で言われても意味わからんし」
「意味が分からない事を言うのはいつもの事だけどね」
本当男子って高校生になっても色恋を知らないとは、まだまだ子供だなと思う。
「全く、あんたらにも好きな人がいつか出来たら分かるかもね」
「え? あ? お、大きなお世話だってのっ!!」
「全くだ。大きなお世話だ」
仕方ない。
世話が焼けるケツの青いガキ二人の為にお姉さんがここは一つ一肌脱いで教えてあげましょうかね。
「そんな二人の愛し方もあるって話よ。結婚して無くても二人は確かに愛し合っている。それで良いじゃない」
母と父には母と父の愛し合う形が確かにあって、再婚しないと言うのが二人にとっては信頼の証でもあるのだろう。
ならば私はそれでも良いと思う。
つまるところ結婚してようがしていまいが、互いに思いやる事が大事なのだと両親から教えられている、そんな気がしないでもない。
「「うるさい、唐変木」」
「なっ! 何だとお前らっ!?」
そんな両親の教えを胸に秘め、まだ見ぬ旦那様はこの二人ではないなと思うのであった。
────────────────────────────────────────
これにて当作品は完結でございます∩^ω^∩ここまで読んで頂きありがとうございましたっ!!
それもこれも全てここまで読んで下さった皆様のお陰ですっ!∩^ω^∩ありがとうございますっ!
また、面白かったと思った方は今現在ほっこり・じんわり大賞に参加中ですので清き一票を入れていただければ幸いでございます。
それでは、また次の作品でお会い出来る事を祈りながら、締めたいと思います。
ありがとうございました。
11
お気に入りに追加
18
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
コメントありがとうございますっ!!