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第9話 誰が分かるというのか

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 そう思いながら縮こまっていると、黒い髪をショートカットにしていてお転婆そうなわたくしより少し年下くらいの、恐らくミヤーコと同じ衣服を着ている所から見てもメイドであろう女の子がソウイチロウ・シノミヤ様に対してまるで犯罪者だと言ったかと思うと、わたくしにギュッと抱き着いてくるではないか。

 流石にいちメイドが雇用主であるソウイチロウ・シノミヤ様へこのような事を言って大丈夫なのか? 

 ここは年上としてちゃんと指摘してあげるべきなのだろうか?

 などと思っていると、件の女の子は『お人形さんみたいで可愛いっ!! 旦那様には勿体ないっ!!』と言いながらわたくしの頬に自らの頬をすりすりして来るではないか。

 そんな彼女に対してわたくしは困惑しつつも、まるで猫みたいで可愛いと思ってしまう。

「大丈夫だからね? お姉ちゃんがあの変態から守ってあげるかねっ!!」
「…………え?」
「え…………?」

 そんな彼女が、わたくしの事を年下だと思っている事に驚き、思わず口にその戸惑いが出てしまったようである。

「まったく、杏奈のせいでシャーリーさんが困惑しているじゃないのっ!!」
「痛っ!?」
「お前はもうすぐ二十歳になるというのにいつになったら落ち着く事ができるんだか……」
「うるさいなぁ……私の落ち着いた大人の色気でノックアウトしてその言葉絶対に謝罪させてやるんだからっ!! あ、そういえば自己紹介がまだだったねっ! 私は山田杏奈、あ、山田が苗字で杏奈が名前ねっ! そして今月二十歳になるピチピチの大学生で、あそこのロリコンにメイドとして屋敷の掃除やら何やらのバイトをしていますっ!!」 
「わ、わざわざありがとうございます……っ。わたくしはシャーリー・フェルディナン・ダルトワ……いえ、ここへ嫁いで来たのですからシャーリー・フェルディナン・シノミヤですわね。 そ、それで……えっと、アンナの年齢がもうすぐで二十歳というのは本当かしら……?」
「そ、そりゃ平均よりも身長は低いし、胸もそこまで大きくはないけど、もうすぐで二十歳というのは本当よっ! あぁー、でも確かに西洋人からすれば日本人は若く見えるみたいだしねっ!」

 そしてヤマダ・アンナはミヤーコとソウイチロウ・シノミヤ様から叱責されるもどこ吹く風といった感じでわたくしに自己紹介をしてくるのだが、わたくしは彼女の年齢を聞いて何かの間違いではないのかと再度確認をするのだが、彼女からは肯定する返事が返ってくるではないか。

 まさか年下だと思っていたアンナがわたくしよりも五歳も年上だなんて、あの見た目で誰が分かるというのか。
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