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第82話 頭の中を埋め尽くして行く
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「でもお前には感謝してるんだぜ? この封印術式と呪いを同時に解いてくれてよう。まさかこんな解術方法があるなんてまさに発想の転換だな。まぁ、召喚術である限り召喚主を主人としなければならないという面倒臭い部分もあるが、それは契約者同士のレベルがかけ離れてしまっている場合は話はまた変わってデメリットが無くなるんだなコレが。まぁ自分よりもレベルが上すぎるの奴は使役出来ない、言われてみれば当たり前の話だよな」
そして魔王はそのまま私の髪の毛を持ったまま私を引き摺り始め、牢屋の中へと放り投げられた後鉄格子と、その鉄格子の鍵を閉められる。
「でもまぁ、召喚者のお前が死んだせいで契約も終わり前の身体、呪いと封印術式が刻まれた身体に戻される可能性もあるわけだ。だからお前には俺が全人類を駆逐するまでは生かしておいてやるよ。良かったな」
そういうと魔王は部屋から出て行き重たい鉄の扉が閉まる音が牢屋へ響く。
どうして?
なぜ?
私が何をしたというのか。
どうしてこうなってしまったのか。
なぜ? どうして? その言葉が頭の中を埋め尽くして行く。
私はただ幸せになりたかっただけなのに。
そして私は声を殺して泣き続けるのであった。
◆
「おい起きろ」
「……………」
「フン、一応死んではいない様だな」
あの日から何日が経ったのだろうか?
分からないし分かったところで何が変わる訳でもない。
分かっている事は日に日に食事の内容が酷くなって来ているという事くらいである。
最初こそまともな内容ではあったものの今ではカビの生えたパンに腐った肉と腐った野菜で出来たスープである。
恐らく元々王城にあった食料が腐って来ているのだろうが、王都の人間は逃げたか殺されたかで食べ物を作る者も卸す者も、そして間違いなく今の王国の状況は他国に伝わっているであろう為輸入品も無くなったとなれば今の食事事情にも納得が行く。
そもそも王都には畑すらない為どの道こうなる事は予想していた。
因みに魔族や魔獣達はゲートを繋いで魔王国の食料を持ってきてそれを食べている様だが、その食べ物は空気中の魔素濃度が高い所で育った野菜や魔物の肉である為食材の保有している魔力量が多過ぎて人間がそのまま食べると魔力酔い、最悪死んでしまう事もある。
逆に人間側の食料は魔力保有量が少な過ぎて、人間で言うと栄養が足りないみたいな感じで力が湧かなくなるのだそうだ。
その為人間の食べる食料は魔王国側からすれば価値が無く、こうして腐らしているという訳である。
そして魔王はそのまま私の髪の毛を持ったまま私を引き摺り始め、牢屋の中へと放り投げられた後鉄格子と、その鉄格子の鍵を閉められる。
「でもまぁ、召喚者のお前が死んだせいで契約も終わり前の身体、呪いと封印術式が刻まれた身体に戻される可能性もあるわけだ。だからお前には俺が全人類を駆逐するまでは生かしておいてやるよ。良かったな」
そういうと魔王は部屋から出て行き重たい鉄の扉が閉まる音が牢屋へ響く。
どうして?
なぜ?
私が何をしたというのか。
どうしてこうなってしまったのか。
なぜ? どうして? その言葉が頭の中を埋め尽くして行く。
私はただ幸せになりたかっただけなのに。
そして私は声を殺して泣き続けるのであった。
◆
「おい起きろ」
「……………」
「フン、一応死んではいない様だな」
あの日から何日が経ったのだろうか?
分からないし分かったところで何が変わる訳でもない。
分かっている事は日に日に食事の内容が酷くなって来ているという事くらいである。
最初こそまともな内容ではあったものの今ではカビの生えたパンに腐った肉と腐った野菜で出来たスープである。
恐らく元々王城にあった食料が腐って来ているのだろうが、王都の人間は逃げたか殺されたかで食べ物を作る者も卸す者も、そして間違いなく今の王国の状況は他国に伝わっているであろう為輸入品も無くなったとなれば今の食事事情にも納得が行く。
そもそも王都には畑すらない為どの道こうなる事は予想していた。
因みに魔族や魔獣達はゲートを繋いで魔王国の食料を持ってきてそれを食べている様だが、その食べ物は空気中の魔素濃度が高い所で育った野菜や魔物の肉である為食材の保有している魔力量が多過ぎて人間がそのまま食べると魔力酔い、最悪死んでしまう事もある。
逆に人間側の食料は魔力保有量が少な過ぎて、人間で言うと栄養が足りないみたいな感じで力が湧かなくなるのだそうだ。
その為人間の食べる食料は魔王国側からすれば価値が無く、こうして腐らしているという訳である。
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