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第339話クロはクロで春真っ盛り

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 けれども自分の婚約者達の方が魅力的ではあるがな、と思うあたりクロはクロで春真っ盛りといった感じである。

 そんな甘酸っぱい雰囲気が漂い、食事も丁度みんな終わり食器を片付けていると部屋の扉が三回ノックされる。

「スフィア・エドワーズです! いきなりの訪問謝罪します! もし今お時間ございましたら入れていただけないでしょうか!?」

 ノックの後扉の外から部屋の中に聞こえる様にスフィアが喋り出す。

 別段入室を拒否する理由もないのでスフィア・エドワーズを部屋に招き入れる。

 するとスフィア・エドワーズは入室させてもらった事を仰々しく感謝を述べ片膝をつき頭を下げる。

「そういうのは良いから普通に、自然体でいて貰っても構わない。 それで、いきなりどうしたんだ?」
「お心遣いありがとうございます! いきなりではありますが、実は折り入ってお願いがあります!」
「お願い………どういった内容だ? 聞けばサラの知り合いだとの事だ。 俺が出来る事ならある程度の事はしよう」
 



 どうしてこうなった?

 そう思うのだが自分が出来る事ならある程度の事はやると言った手前断る事が出来る性格を持ち合わせていない。

 その結果が、クロの目の前で愛剣であろう薄く青みがかった剣を両手で持ち構えているスフィア・エドワーズである。

 そのスフィア・エドワーズのお願いとはクロと決闘をする事である。

 それだけなら良いのだがスフィア・エドワーズの後ろにはこれからの戦闘が楽しみで仕方ないと言ったバハムートが佇み、尻尾を左右に小さく振っているのが見える。

「今回の氾濫はどうやらバハムートが暴れたのが原因らしく、その付近にいた魔獣達がここまで雪崩れ込んでしまったのが原因です! ですがそれも私とバハムートで一掃しましたので氾濫の事は気にせず戦えます!」

 若干乗り気ではない事が伝わったのかスフィア・エドワーズが今回の大規模な氾濫の原因と、それを既に収めた事を元気よく、それでいて気品を感じるような佇まいで教えてくれる。

 いや、そういう事ではないんだがな………。

 ちなみサラ達は砦の安全な場所で観戦中であり、何処から聞き出したのか砦の兵士や冒険者、街の人達まで大勢の人達が観戦もとい野次馬に来ているようである。

「まあいい。 始めようか?」

 最早考えるだけ無駄でしかない。

 ならさっさと始めてさっさと終わる方が賢い判断であろう。
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