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第308話可愛いコッコちゃん

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 その事に野次馬達どころかギルド職員である同僚まで「その手があったか」という顔をしているのが見える。

 しかし彼らはイルミナの返答を気にしてか私に続いて言い出せないでいる。

「うーん……いつもギルドでお世話になっていますし貴女一人ぐらいでしたら大丈夫でしょう。 では今から行きますのでとりあえず外に出ましょうか?」
「は、はい! ありがとうございます!」
「ちなみにギルドのお仕事はいいのですか?」
「大丈夫大丈夫。ちょうど勤務時間終わったとこだから」
「そうなんですか」
「そうなんです!」

 嘘である。

 しかし誰も彼女を止めようとしないのは実際にギルドとしてイルミナの強さの一端を知っておきたいのも事実である。

 従って彼女がイルミナの赤竜の逆鱗採取という依頼について行くというのは願ってもいないチャンスだと言えよう。

 当然それもあるのだがギルドで受け付けをするよりも楽しそうだという事と元冒険者の好奇心が大半を占めていたりする。

 それは他の冒険者、ギルド職員も同じらしく先程から私同様に一緒に行きたそうにしているものが何人か見えるが「あと一人ぐらいでしたら大丈夫」とイルミナが言った事によりその一人の分の席をもぎ取った私に羨ましげな視線を送って来る。

「ちなみにどの様に赤竜がいる岩山、コンコール山脈まで行くのですか?」

 普通なら赤竜がいる場所までは馬車で一週間、徒歩で三日、更に山道を数日間歩き出逢えるかどうかというところだろう。

 しかしイルミナは子供達を連れて行くと言っているので普通の移動方法ではない事が伺える。

「そうですね、私は召喚師ですので普通に使役しているモンスターを召喚し、それに乗って行こうかともっています、そうですね………今回は大鳥型魔獣ジズ、名前はコッコちゃんです。 この可愛いコッコちゃんに乗って赤竜を探そうと思っています」

 そう言うとイルミナはどこからともなく鳥が描かれたカードを取り出し、そのカードの大きさからは考えられないぐらいの巨躯を持つ大型の鳥が現れるとその鳥はイルミナへと頭を持ってきてそのまま気持ちよさそうに撫でられる。

 その光景に子供達は目を輝かしながら興奮を隠さず叫び、周りの野次馬達はあまりの大きさに恐れ慄いているのが見える。

 そういう自分も恐怖を感じずには居られない。
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