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第247話ルルの事を聞ける権利があると思うのか?
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「たく、この世界は何でもアリなのかよ」
そう言うと俺は一つ溜息を吐く。
先程の名前も知らない老婆はもう既に死んでおり魂を自身の死体に憑依させこの世界に存在していたのである。
いわゆるアンデットって奴なんだろうな……。
そう思い土に還り始める老婆の肉体を見つめる。
その事からあの老婆は死んでからかなりの年月をあの状態で存在していたのだろう。
それが可能な世界にいるという事を改めて認識するいい機会だったと老婆に少なからず心の中で感謝する。
「さて、帰りますか」
そう言うとクロはクルム・オーエンを優しく抱え上げるとお姫様抱っこの要領で担ぎ遠くで光る学園都 市ベルホルンが放つ光の方へ歩き出す。
その時のクルムの頬は若干朱色に染まっていたのだが、幸か不幸かクロは気付かない。
しかし帰路につこうとするクロをロイ・ドモールが声をかけ静止させる。
「ま、待ってくれ!」
「ん?門を開いて帰らないのが不思議なのか?あいにく門を繋げられるベルホルンにいる俺の知り合いは俺の彼女かその彼女の親かストーカーくらいだ。繋いだが最後この状況の説明をしなきゃならなくなる。その面倒を考えれば担いで歩いて帰った方がマシだと判断したまでだ。あと、そのお前を束縛している腕だがもう少しすれば土に戻るだろう。じゃあ俺は帰るよ……あ、次もし俺の身内に何かしようとしたら存在そのものを消し去るからな」
クロはロイ・ドモールがなにを聞こうとしているのか何となく察し、それを聞かれる前に別の答えをそれっぽく先に答え、そして釘を刺しておく。
「そっ、そうじゃなくてっ!」
「………お前にルルの事を聞ける権利があると思うのか?ルルの命を奪いに来たお前が」
「……っ!」
しかしロイ・ドモールは遠回しに「ルルの事を聞くな」というクロの意思表示を先程の流れでその空気を読んだのだがそれでもやはり聞かずにはいられず聞いてしまうもクロにより直接「お前に聞く権利は無い」とバッサリ切り捨てられ、それを言い返す事が出来ず言葉に詰まってしまう。
「まぁ、楽しく毎日過ごしているみたいではあるな……」
「そ……そうか。宜しく頼む」
クロとしてもロイの心境が分かっているからこそ一つだけ、ルルが今どの様に毎日を過ごしているか伝える事にする。
もし自分が今妻や娘の事で何か一つ情報を得られるとしたら迷わず「今が幸せであるかどうか」と聞いてしまうだろう。
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