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第186話帝国軍に喧嘩を売った事を後悔させてやる

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 しかしそんな大佐の要求はセラによってにべもなく却下される。

 その後訪れる静寂。

 ここにいる冒険者、ギルド職員、帝国軍、そしてコンラッドですら話を聞く前から断られるとは思っておらず先程セラが口にした言葉の意味する答えを理解できずにいる。

 そんな中一番最初に理解できたのであろうレイチェルとミセルが顔をみるみるうちに真っ青に変えながら悲鳴に近い声を上げセラに抗議し始める。

「せ、せせせせっ…セラ様!?な、なななななんという事をぉぉぉおっ!?」
「て、帝国軍最強の一角にけ……喧嘩売ってるんですかぁぁぁぁあああ!?私まだ死にたくないです!!」
「……?何も可笑しな事は言ってないと思いますが?」
「眩しい!!セラ様のその悪びれてない無垢な表情がレイチェルには眩しいです!!」
「大袈裟な………それに喧嘩を売ってるつもりはありませんよ?喧嘩と言うのは対等な者同士が行うものです。私は強者として命令しているのです。面倒事に巻き込み私達の旅の邪魔をするなと」

 もはやこの場にいる誰もが耳を疑った。

 帝国軍青の大佐を弱者呼ばわりする……無知で世間知らずだとしても、自ら吐いた唾はもう飲む事は出来ない。

「貴様ぁぁぁぁあ!!大佐に向かってなんて口を聞いているんだっ!!」

 そして大佐の斜め後ろでこの様子を見ていた女性軍人でありながら大佐補佐であるベッテン・ハーヴェル・クヴィストが声を荒げセラに怒声を浴びせかける。

 帝国軍の大佐が冒険者に頭を下げるだけでも軍側の人間からすれば腸が煮える思いなのである。

 しかも彼女達は無名でありランクもFだと言うではないか。

 しかもそこから更に彼女達無名冒険者はこともあろうに大佐よりも自分たちの方が強いと言っているのである。

 特に冒険者を見下している傾向が強いベッテンにとってもはや怒りを我慢する理由は無い。

「貴様こそ誰に向かってそんな口を聞いているのかしら……」

 そしてベッテンの怒声で返って来たのはセラという女性の隣にいるウィンディーネという青い髪の女性から発せられる明確なる殺意。

 しかしその殺意はベッテンからすれば子供が放つ様な、修羅場を経験してない者のそれであり、その事が更にベッテンを刺激する。

「此処までコケにされてはこちらは容赦はしないぞ?小娘如きが遊び半分で冒険者を気取り帝国軍に喧嘩を売った事を後悔させてやる」

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