上 下
185 / 400

第185話縁が無かったとお引き取り下さい

しおりを挟む
 いっその事……糞虫は糞虫らしく……。

 そう思った瞬間、黒い影がウィンディーネと男改め糞虫の間に入るとウィンディーネを庇う様に糞虫のスキル【穿突き】を自身の剣を鞘から半身だけ出し受け止める。

「ドドルク・カカ……貴様を詐欺と恫喝の容疑で逮捕する。お前たち、ドドルクを拘束し連れて行け!!」
「て……帝国軍青の大佐、神速のコンラッド様が何故ここに……い…いや、それよりもしょっ証拠はあるって言うのかよっ!?」
「ああ、集めるのに実に苦労したぞ?」

 コンラッドという軍服を纏った男性がそう言うとドドルク・カカという名前の糞虫は顔を真っ青にし力無く項垂れるとコンラッドが率いて来たであろう同じ軍服を来た男性数名に引きずられる様に連行されて行く。

「所でそこの麗しきお嬢さん……」
「何ですか?糞虫程度から私を助けたつもりで感謝の言葉をお待ちでしたら諦めて帰りなさい」
「いえ、助けたのは貴方ではなくドドルクですよ……貴女は今ドドルクをどうするつもりでしたか?」

その瞬間ウィンディーネは目の前の男性、コンラッドの目線の先がウィンディーネの右手の一部が人間のそれでは無く水の精霊らしい半透明な青色の液体に変化している箇所に向けられている事に気付く。

「………どうやら私を助けて頂いた事には変わりないようね。一応感謝はするわ。ありがとう」
「………偶然だ」

 彼はドドルクの攻撃を捌きながらウィンディーネの右手を自身の身体で隠す事でウィンディーネの右手の変化を野次馬達に見られない様にしてくれていたみたいである。

 彼が言う通り偶然なのかもしれないのだがそれでも感謝をしない理由にはならないだろう。

「だとしても、貴方のお陰で糞虫程度に私のスキルを使う必要が無くなったのもまた事実。感謝しない理由にはなりませんよ」
「そうか………一応受け取っておこう。話は変わるがあなた方の実力を信用した上で込み入った話がある」

 ウィンディーネのスキルという言葉にコンラッドは何か引っかかる様な顔をするのだが、それも一瞬で次の瞬間には真剣な顔つきになるとウィンディーネとその周りにいるセラ達に目線を向けギルドの奥にある部屋にて話がしたいと言ってくる。

「………今回ウィンディーネを庇ってくれた事には感謝しますが、貴方と話す事は有りません。今回の討伐により旅の資金も得ましたしこれ以上何かをする、もとい面倒事に片足を突っ込む必要も無いでしょう。今回は縁が無かったとお引き取り下さい。それに……私達が居なくても貴方の力で何とかなるのでは?大佐殿」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成! この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。 戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。 これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。 彼の行く先は天国か?それとも...? 誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。 小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中! 現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。

【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話

yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。 知らない生物、知らない植物、知らない言語。 何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。 臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。 いや、変わらなければならない。 ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。 彼女は後にこう呼ばれることになる。 「ドラゴンの魔女」と。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係ありません。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...