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第86話我が儘に最後まで付き合ってもらおう
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「父上、勘違いをしております。この竜は、隷属されてなどなく、魔王アーシェを打ち破った新たなる魔族の主、大魔王クロ・フリートの家臣が一人、バハムートであり、私と彼は単に利害が一致したパートナーであります」
「ん? どういうことじゃ……」
私が言い放った言葉の意味を理解できないのか父上が聞き返すのだが説明するつもりはない。例えあの出来事を話した処で鼻で笑うであろう事は目に見えている。
いや、父上でなくとも信じる者は少ないであろう。アーシェ・ヘルミオネとクロ・フリートの戦いはそれほどまでに衝撃的であった。
「そして、今日を持ちまして私、スフィア・エドワーズは、父上との絶縁を申します。明日、いや、今この時より赤の他人とし接します」
「さ、先程から何を言っておるのだ? スフィア?」
「人族の癌である父上と縁を切ると言っているのだ。もういい…バハムート、焼き払え!」
「我が主は無駄な殺生が嫌いでな、命までは奪わないが、この城を落とさせてもらおうかの」
そして私の掛け声でバハムートがこの国にそびえ立つ城に高濃度のブレスを吐くと、過去幾度もの戦争をも乗り越えて来た、そして私の思い出が詰まった城を穿ち、風穴を開ける。
「なんと脆い城か…。結界も何も張貼っていないではないか? これが皇帝の住む城と言うのであれば、ここまで我々が攻め込む事ができないと舐められているのか、単に貴様らが弱いだけか…さて、どっちらであろう? ……このようだと後者ようだな」
城を破壊されても動揺せず、すぐさまバハムートを敵だと認識すると高段位魔術や(と言っても段位四程度なのだが)スキルをバハムートに撃ち放つ処を見ると彼ら近衛兵のレベルの高さが伺えるのだが、その魔術ではバハムートの硬い鱗にすら傷を付けれないようだ。
そして結界は貼っているのだが、バハムートからすれば無いのと同じなのだろう。もしあの戦いを見ていなければバハムートが世界最強だと疑わなかったであろう。
「父上…いや、ドミニク・エドワーズ。貴様は欲に飲まれてしまったのだ」
そして私は剣を抜き手にする。
◇◆◆◇
「殺すのかと思ったぞ?」
あの後私は剣を抜き、父上の胸にある皇族の証である刺青に剣で傷を付けた。
あの刺青は魔力を込めて彫ってある特別なもので、あの刺青があるからこそ皇帝でいられるのだが、傷を付けられた今、皇帝ではいられないであろう。
「あれでも一応親だからな……まあ、そのうち誰かの手でにより粛清されるであろう?その役目を娘である私ではなく他人に任せるのは親不孝者なのかもしれぬな」
「そう思うのなら、良い国を作れば良い。それが皇帝の娘が出来る親孝行であろう?」
これから私に訪れるであろう苦労など全く考えていないであろうバハムートの言葉は何故か、今まで嫌で仕方なかった背中の刺青を誇りにできそうな気にさせた。
「まったく、他人事だと思って」
「何か言ったか?」
「右手に見える山の向こうに竜種の王が住んでいるはずだ」
その気にさせたのだからバハムートには責任として私の我が儘に最後まで付き合ってもらおう。
「ん? どういうことじゃ……」
私が言い放った言葉の意味を理解できないのか父上が聞き返すのだが説明するつもりはない。例えあの出来事を話した処で鼻で笑うであろう事は目に見えている。
いや、父上でなくとも信じる者は少ないであろう。アーシェ・ヘルミオネとクロ・フリートの戦いはそれほどまでに衝撃的であった。
「そして、今日を持ちまして私、スフィア・エドワーズは、父上との絶縁を申します。明日、いや、今この時より赤の他人とし接します」
「さ、先程から何を言っておるのだ? スフィア?」
「人族の癌である父上と縁を切ると言っているのだ。もういい…バハムート、焼き払え!」
「我が主は無駄な殺生が嫌いでな、命までは奪わないが、この城を落とさせてもらおうかの」
そして私の掛け声でバハムートがこの国にそびえ立つ城に高濃度のブレスを吐くと、過去幾度もの戦争をも乗り越えて来た、そして私の思い出が詰まった城を穿ち、風穴を開ける。
「なんと脆い城か…。結界も何も張貼っていないではないか? これが皇帝の住む城と言うのであれば、ここまで我々が攻め込む事ができないと舐められているのか、単に貴様らが弱いだけか…さて、どっちらであろう? ……このようだと後者ようだな」
城を破壊されても動揺せず、すぐさまバハムートを敵だと認識すると高段位魔術や(と言っても段位四程度なのだが)スキルをバハムートに撃ち放つ処を見ると彼ら近衛兵のレベルの高さが伺えるのだが、その魔術ではバハムートの硬い鱗にすら傷を付けれないようだ。
そして結界は貼っているのだが、バハムートからすれば無いのと同じなのだろう。もしあの戦いを見ていなければバハムートが世界最強だと疑わなかったであろう。
「父上…いや、ドミニク・エドワーズ。貴様は欲に飲まれてしまったのだ」
そして私は剣を抜き手にする。
◇◆◆◇
「殺すのかと思ったぞ?」
あの後私は剣を抜き、父上の胸にある皇族の証である刺青に剣で傷を付けた。
あの刺青は魔力を込めて彫ってある特別なもので、あの刺青があるからこそ皇帝でいられるのだが、傷を付けられた今、皇帝ではいられないであろう。
「あれでも一応親だからな……まあ、そのうち誰かの手でにより粛清されるであろう?その役目を娘である私ではなく他人に任せるのは親不孝者なのかもしれぬな」
「そう思うのなら、良い国を作れば良い。それが皇帝の娘が出来る親孝行であろう?」
これから私に訪れるであろう苦労など全く考えていないであろうバハムートの言葉は何故か、今まで嫌で仕方なかった背中の刺青を誇りにできそうな気にさせた。
「まったく、他人事だと思って」
「何か言ったか?」
「右手に見える山の向こうに竜種の王が住んでいるはずだ」
その気にさせたのだからバハムートには責任として私の我が儘に最後まで付き合ってもらおう。
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