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第81話貴様らこそが悪の根源
しおりを挟む「こればかりはセラがなんと言おうが仕方がない事だ。もうすでに運命で結ばれる事は決まっているの」
「今日という今日は許しません! クロ様の伴侶は私なのです!」
「よくて愛人の間違いでしょう?」
そして口喧嘩を始める二人を眺めるレイチェルとミセルは「仲がいいんだなー」と思えてしまうのだが、そんな二人にルシフェルが近づくとニッコリと微笑む。
「あの二人魔族だよ? ちなみに私も魔族。怖い?」
「は?」
「え?」
セラやウィンディーネの説明よりもルシフェルのその一言が二人の疑問を解消させる。
はじめはビックリした二人だったのだが未だに罵り合ってる二人を見ると魔族も人族と変わらないと思え、クロと名乗った魔王はその事に気付きまとめ上げたからこそ種族に関係なく魔王として認められているのだと思うのであった。
時間を遡りグルドニア王都ギルド本部ではノクタスの街に現れた魔族軍に抵抗すべく多くの冒険者達が集い、ピリピリした空気を作っていた。
その緊張は人族最強などと謳われている私でも緊張と恐怖で潰れそうなほどである。
皆分かっているのだ。魔族には勝てても魔王アーシェ・ヘルミオネには勝てないと。
彼女が前魔王を倒した魔術は魔術段位六だと言われており、今まで数多の人族、精霊族、魔族に正式な決闘を受け、そのどれも一撃すら喰らわずに無敗してきているのだ。世界最強とはアーシェ・ヘルミオネであり、アーシェ・ヘルミオネは世界最強だと思ってしまうほどである。
しかし、しかしである。
せめて今戦場に出向けば少なからず救える命はあるはずなのである。
私が今まで磨いてきた魔術、スキル、戦術などはそのために磨いてきたのではないのか?
確かに私も一度人族の最強の一角だと言われていたボストンさんと魔王アーシェとの戦いを実際に見ており、彼女の強さを肌で感じている。
彼女は手加減しているのが手に取るよな戦い方であり、「魔族側に手を出すな。
手を出さない限りこちらからは手を出さない」と言っているかのようでもあった。
それは過去に決闘を行った相手全てが生きて帰って来ていることからも伺える。
だからこそ自分の国民のために矢面に立ち守ってきた魔王とは違い、自らの国民をまるでゲームの駒のように使う案を笑い話のように語り合っていた皇帝とその重鎮達に、その会議を盗み聞きした時は怒り震えてもいた。
魔族を悪だと言うが、貴様らこそが悪の根源ではないのか?貴様らが欲に駆られて富欲しさに国民を犠牲にして、魔族と人族の平和を壊す原因ではないのか?と。
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