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第66話その衝撃が窺える

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 この【失敗の対価】はそのまま当ててもダメージは一しか与えられない代わりにカウンタースペルにより打ち消されると大爆発を起こし敵味方関係なく爆発に巻き込まれたキャラにダメージを与える魔術である。

 一時期カウンタースペルが強すぎるといったクレームが多発したため何種類か新たに作られたダミー魔法の一つである。

 しかし魔力消費も段位も大きく、結果としてこのように自分でカウンタースペルを打って本来の能力を使われ「運営仕事しろ!」と叩かれたのは言うまでもない。

 そしてクロは爆発の衝撃に備えスキル【五重門】を発動し、クロの前に山のように大きな五つの門が現れる。

 魔術【失敗の対価】の爆発の威力は凄まじく、魔術段位九の炎魔術に相当するレベルなのでいくらアーシェといえども何か対策をしなければただではすまないだろう。

実際クロがだしたスキル【五重の門】は第四の門まで開いてしまっている所をみるとその衝撃が窺える。

「しかし、アイツがこの程度のことを防げないとは思えないんだよな」

 この【泡の中の幻】からのダミー魔術の流れはもはや定石になっていたためアーシェも何かしらの対策をしていたと考えるのが普通だろう。

 クロの魔術【失敗の対価】により出来た土煙をスキル【空中浮遊】を使い上空から見下ろしているといきなりクロの身体中から傷が生まれ血だらけになり体力ゲージも半分まで削られる。

「グフッ…で、ですよね。 はは」

 そしてそれを見ていたクロの家臣達が発生源不明のクロが受けたダメージを、信じられない光景を目撃しているかのように驚愕し、中には悲鳴を上げている者までいるのが見える。

 しかしクロからすればなんてことはない予期していた展開の一つであるためさほど驚く事のほどでもないため思考はクリアなままだ。

 クロが予期していた事は三つ。


 対象の発生源から次の自身が受けるダメージをゼロにするスキル【見せかけの協定】

 対象の発生源から次の自身が受けるダメージと同等のダメージを相手プレイヤーにも与えるスキル【痛み分け】

 そしてクロが行ったように防御魔術である。


 ちなみに上二つのスキルの方は一試合の使用回数が決まっており【痛み分け】は一回、【見せかけの協定】は四回のみになっている。

 そしてこの中で一番凶悪なのは【痛み分け】で基本最後の切り札として取っておくスキルである。なぜ凶悪かというと発生源の対象者に同等のダメージを与えるのではなく対象の発生源と同等のダメージを”相手プレイヤー”に与えるのである。

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