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第3話夢にしてはリアルすぎる

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「ああ。よろしく、メア」

 お互い自己紹介が終わるとどちらかともなく握手をしてから小一時間、クロ・フリートことクロは延々と森の中を歩いていた。

「なあメア……あれから一時間は経つのだが一向に君の村に付く気配がない。せめて休憩しないか?」
「男で獣人なら私よりも体力あるんだろ? 何? 小一時間歩いただけで疲れたなんて言わないよな? ホントにもうすぐなんだから我慢して歩く歩く」

 そう言うとメアはサクサクと森の中にある細い道を歩いて行く。
 まるで元の世界にいる田舎に住む祖父や祖母と一緒にいる感覚みたいで懐かしくも思うと同時に、彼ら田舎に住む人達は都会で毎日時間に追われて生活する俺と時間の感覚が違うように思う。彼らの「あと少し」は数時間になる場合もあるが俺の「少し」は遅くても数十分である。
 はっきり行ってメアの「少し」をなめてたと後悔する。

「すまんメア、俺はもうだめだ……腹が減って力が入らない。倒れそうだ………いや、倒れる」
「え? え? ちょ…っ!? クロ!?」

 メアの驚いたような、そして心配したような顔と声を聞きながら俺は前のめりに倒れたのであった。



◇◆◆◇


 かすかに漂う食べ物の匂いを嗅ぎクロ・フリートは目を開ける。こんなにも空腹になることは日本で住んでいると貴重な体験なのかもしれない。
 この身体になってから食べられる物を何も口にしててないということは俺の身体に排泄する物質がないということなのだろう。腹が減るはずである。

「しかし、ここはどこだ?」

 今回目を覚ました場所はどうやら民家の一室らしく、ベットの上に寝かされていた。
 部屋は見た感じ質素で、よく見る異世界ファンタジー系の感じである。カラフルな色はなく薄茶色の壁や薄い赤のタンス、薄黄色のカーテンなどの全体的に薄い色が多く、もちろん現代機器どころか電気を扱うものが何一つ無い。
 そんなことを思いながら周囲を見渡すとドアが少し開かれていることに気づき、そこからこちらを覗いてくる一つの目と視線が合う。
 すると視線の主は声にならない声をあげ後ずさりしたかと思うとドタドタと廊下を走り去って行く。

 まあ、実際俺でも目の前に角と翼を生やした人物がいると興味は持つが関わりたくなと思うしな…。

 そんなことを思いながら苦笑いをする。

 チラっと見えた感じ6歳前後の可愛い女の子だったので尚更だろうと自分の娘と重なりほっこりするのだが、しかしここが地球なのか異世界なのか分からいのだが夢じゃない事は二度による意識の覚醒、そしてだんだん鮮明になってゆく五感により思い知らされてゆく。
夢にしてはリアルすぎるのだ。
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