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第91話 正にオークそのもの

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「はい、そのようで……」

 その事を知った私の不機嫌さが、伝えてきた家臣にも伝わってしまったのであろう。 顔を真っ青にし、身体をカタカタと鎧が擦れた音が聞こえて来る程震え、大量の汗をダラダラと流しながら返事をしてくる。

「何をそんなに恐れておるのだ?」
「いえ、何も……」
「さよか」

 なのでここは和ませようと敢えてその者へ何をそんなに恐れているのか聞いてみるのだが、その者はせっかく私が自ら相手の事を思って時間を割いて聞いているというのに、はぐらかすではないか。

「なるほどのう……お主はこの私に向かって嘘が通用すると思っておるのかえ?」
「いえっ! そんなっ、滅相もございませんっ!!」

 なので私が更に問い詰めると、問い詰められたエルフはまるで窒息死をするのではないかというくらい顔を真っ青にさせ始めるではないか。

「も、申し訳ございませんっ!! 私には五十年前に産まれたばかりの子供と妻がおります故っ!! 何卒っ!! 何卒お慈悲をっ!!」

 そして耐えきれなくなったのかエルフの男性は私に向かって土下座をし、慈悲を訴えかけてくるではないか。

「うむ、そうだのう……どうしようかの……」
「何をしているのですか、リーリャ・ヨハンナ・クヴィスト様……。 ほら、あなたも伝える事をしっかりと伝え終えたのであれば、ここはもう良いから私に任せて帰りなさい」
「あ、ありがとうございますっ!! サーシャ様っ!!」

 そしてもう少しで私の可愛い悪戯、国王ジョークであると種明かしをしようと思ったその時。奥の襖を開いて宰相のサーシャが現れると、件の男性エルフをこの場から去る様に促して帰らすと、国王ジョークである事を伝え損ない有耶無耶にしてしまうではないか。

「な、何をしておるのかっ!? 毎回毎回お主が絶妙な場面で現れては種明かしができず、家臣が誤解したままの状態で去っていくではないかっ!! そのせいでお主の株だけ上がって私は裏で冷血女王と呼ばれておるのだぞっ!? どうしてくれるっ!!」
「それはリーリャ様が悪戯をしなければ済む話では? 毎回毎回家臣のケアをする私の身にもなってくださいっ」
「ぐぬ……し、しかしだな……っ」
「そもそもそれならばまだ悪戯がバレてポンコツ女王と呼ばれるよりも冷血女王と呼ばれる方がまだマシです……」

 私の抗議も空しくサーシャは正論で返してくるではないか。

 あと、サーシャがブチギレているのが伝わってくるので、その……少しばかり怖いのだが……。

 眼鏡を鈍く光らせて浅い呼吸をしながらゆらりゆらりと近づくその様は正にオークそのものではないか……っ!

────────────────────────────────────────────────────────


 一旦ここで連載は停止させていただきます。

 コンテスト結果後、また他コンテスト開催日にて連載再開いたしますので何卒宜しくお願い致します。(*‘ω‘ *)ノ
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感想 3

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みんなの感想(3件)

2024.08.30 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

Crosis
2024.08.31 Crosis

ありがとうございますっ!!

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2024.08.29 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

Crosis
2024.08.30 Crosis

アドバイスありがとうございますっ!! 次回作に生かしたいと思いますっ!!

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2024.08.29 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

Crosis
2024.08.30 Crosis

ありがとうございますっ!!

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