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第54話 恥でしかない

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「あと、一応ミサト様からこれを貴方に渡すように言われていたのでぇ~、一応渡しておきますねぇ~っ」

 そしてラミア族のメスが何もない空間から布で包んでいる丸い何かを取り出すと、我の胸元へと放り投げて来るではないか。

 我はその行為に腹を立てつつも先程このラミア族のメスが我の魔術を尻尾で叩くだけで消し去ったのを見てしまっては声を荒げて怒鳴りつける事は出来ずに、受け取った物の布を開いていく。

「…………ひぃっ!?」

 すると、中には行っていたのは我の息子の生首であった。

 こ、これが我の未来だというのか?

 そして、このバカ息子がこいつらを殺す事ができず殺されたから今我はこいつらにバカにされているのだとしたらとんだ親不孝者ではないか。

 今までは使える息子だと思っていたのだが、たかが犬と蛇の二匹程度を殺す事すらできず、逆に殺されるとは皇族の恥でしかないだろう。

「あ、そうそう。 お前も当初殺す予定だったのだが、そこは慈悲深いミサト様だ。 お前の処罰はこの国の国民に選ばしてやるとの事だ。 感謝する事だな」
「そ、それは一体どういう……っ」
「なに、難しい話ではないぞ? お前を柱に縛り付けたものを城下町の広場に三日間立てておくだけだ」

 息子の生首を見て、今のこの状況を作り出した原因が、息子が使えなさ過ぎたせいであると分かった結果、ふつふつと息子であるダグラスに対して怒りが湧き上がって来ていたのだが、そんな我の心情などお構いなしに狼人族の犬が我に話しかけて来るではないか。

 その犬の話では当初このバカ息子同様に我も殺すつもりであったようだが、どうやらそれはせずに、国民に我を裁かせるそうだと知って、ホッと胸を撫で下す。

 この帝国をここまで強く、そして強大にして来たのは全て我の天才的な頭脳と手腕あってこそ。

 であれば国民は我を助けるように懇願してくるに違いない。

 結局、この者たちはそんな事すらも分からない程のバカであったという事であろう。

 そもそも平均的な知能があればこの国の皇帝である我に対してこんな無礼な事などしないだろう。

「そんな事をして何になる。 むしろこの我に対してそのような事をすれば国民は怒り狂いお前達に対してその怒りの矛先を向けるであろうっ!!」
「ふーん、私はそうは思わないけれどぉ~。 まっ、あんたがどう思っていようがやる事自体は決定しているからぁ関係ないしぃ~、やってみれば良いんじゃないのぉ? ま、やって後悔するのは目に見えてるし、それはそれで面白そうだか私は別に構わないけどぉ~?」

 
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