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第10話

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「イツキ、明日からの話だが」
 軽装になり椅子に座り直したヴィルヘルムが改まって言うので、より近付くように椅子を引き寄せて座り直した。

「私は予定通り明日の明け方この町を発つつもりだ。昨晩までは君がこの町に留まる事が最善だと思っていたが……」
 ここで一旦言い淀んだ青年にオレは静かに頷いた。今朝の神父に町のどこかで鉢合わせしたとして今後1人で応戦が出来る気がしない……。
「私の次の目的地もそれなりに大きな町だから、君にとってもこの国に住むにあたって、1度訪れておいても決して無駄足にはならないと思う」

「今日ホルンさんに聞いた“精霊の泉”へは行かないのか?」
 あの時の彼の様子を思うとすぐにでも噂の泉に向かうものだとばかり思っていたが。
「すぐに泉へ……という気持ちはあるが、まずこれから向かう町へある書簡を届けなければならない。少し遠回りにはなるが泉へはそこから急いで向かおうと思っている」
 なるほど彼には彼なりの事情があるようだ。

「イツキがこの町に留まりたいならサリウスにも明日改めてよく頼んでおく。もしまた歩く事になるが、私と次の町まで一緒に行きたいなら必ず護るから共に来て欲しい」
 今まで迷惑というか面倒しか掛けていないのに、他に選択肢の無いオレに気を遣わせない為か“共に来て欲しい”と言ってくれるヴィルヘルムの優しさに、オレは改めてなにか恩返しがしたいと思った。

 泉の話を教えてくれたホルンさんの話を聞いて、それからずっと考えていた事がある。ホルンさんはオレがいれば精霊が面白がって、きっと泉へ案内をしてくれるだろうと言っていた。
 今まで助けてくれてばかりだったヴィルヘルムに、物やお金は時間をかければ徐々に返せるが、彼は今行方不明の最愛の人を捜してその手掛かりを1番に求めているのだ。

 オレが泉まで一緒に行けばこれ以上ない恩返しが出来るのではないだろうか。精霊の泉まで一緒に行って無事に手紙を届けてくれるよう、穏やかに精霊にお願いすれば良いとの事だ。
 あの話を聞いてからやっとオレにも明確に出来る恩返しが見付かったと不謹慎ながら少し喜んでしまったのだ。
 異世界に突然来てしまいまだ何も状況は改善していないが、定住する町や仕事の事は急いで決める話ではない、それに今オレがすべき事やりたい事は1つだと思っていた。
 少しでも彼の助けになりたい、彼がオレを助けてくれたように。

「ありがとう。オレ体力無いし足手纏いかもしれないけど、少しでもヴィルヘルムの助けになれるならついて行きたい。もちろん精霊の泉まで」
 オレが一息に言って顔を上げると少し驚いた表情を浮かべた彼が、嬉しそうに口角を上げた。
「すまない、本当に助かる」
「えっ!いや、ちょっと!頭を上げてくれ!オレの方が何倍も助けられてる!」
 綺麗に頭を下げたヴィルヘルムが、慌てて椅子から立ち上がり手をバタバタさせたオレの様子を見てやっと顔を上げてまた笑った。


 翌朝の出発が早いので身支度を済まして、早めの就寝準備も終えてお互いのベッドへ潜り込んだ。

「イツキには連絡を取りたい家族や友人はいないのか?」
「んー……精霊の泉の事?でも精霊は恋人にしか手紙を届けてくれないんじゃないの?」
 王子様がお姫様に出す手紙オレには残念ながら現在恋人はいないので、宛先人不明で差し戻しをくらうだろう。
「いや今日のホルン殿の話では、正確には“想い合う相手”であれば手紙は届くそうだ。家族はもちろん家族同然に想う相手なら可能性はある」

「家族かぁ……」
 元の世界で死んでいる事になっているオレから手紙が届くって、確実に怪談話か悪質なイタズラ扱いされそうだが今更家族に何か伝えたいとも思わない。
 日々いつでも連絡を取ろうと思えば取れたがそうしなかったオレに異世界に来たからといって、特別なにか伝えたい気持ちがあるとは思えなかった。
「うーん家族ではないけど、家族みたいな奴には送れるなら送りたいかな」
 昨晩見た夢の中での耕平の様子を思い出して少し胸が痛んだ。
 もしアイツがオレの事で悲しんでいるなら、オレはこちらで元気にやっていると伝えたかった。まぁでも実際に届いたら驚いて悲しみなんて吹っ飛びそうだけど……。
 ビックリして手紙を何度も読み返す耕平の様子を想像して、思わず笑ってしまった。

 次第に意識が薄れていき柔らかい布団の感触と微かな花の香りを感じながら、この日は深い眠りについた。




 翌朝日が昇る前に身支度を整え世話になった宿への挨拶もそこそこに、眠そうな顔の町の門番に見守られながら薄暗い町の外へと歩き出した。

 先日まで歩いて来た道とは違い徐々に見通しの悪い鬱蒼とした森の中に入っていく。街道という程広くはないがある程度整備がされた山道が続いている。
 2日程歩かなかっただけなのに既に足に疲れを感じ、なかなか慣れないものだなと思いながら一歩一歩足を進める。それでも新しいブーツに履き替えたお陰か随分歩きやすくなった。

 前方を軽快な歩調で進むヴィルヘルムを見て、あんな重そうな服に剣と丈の長いマントで歩きにくくはないのだろうかと不思議に思う。そういえば町の中でもあの恰好のままなので私服のような、もっと気楽な着替えは持っていないのだろうか?ずっとあの恰好では肩が凝りそうだ……。
 ふわりと揺れるマントを見詰めていると視線に気が付いたらしい彼が、振り返り少し休憩しようかと言った。

 ちょうどいい岩を見付け座る部分だけ少し土を払い腰掛けた。
 夜明け前に宿を出るオレ達の為、女将さんがわざわざ用意してくれていた簡易的な水筒から適度に冷えたお茶を飲む。地図とコンパスを確認するヴィルヘルムを横目に、昨日サリウスさんから習った魔法の使い方について思い出していた。

 サリウスさん曰く確かに魔力は感じたし発動までの流れに問題は無かったから、何度も繰り返し練習をして何か自分や周囲に変化は無いかよく確認してほしいとの事だった。
 あの時はサリウスさんから魔力の火種のような熱を分けてもらってそれを心臓の辺りでより大きな焚き火にするようなイメージだったが、自分1人で魔法を発動する際はまずはその種火を作る事をイメージする。
 彼の話は中々分かりやすく種火から焚き火へこの時キャンプファイヤーのように大き過ぎる魔力を練ると身体的負担が大き過ぎる為、野宿で夜を越せるかなくらいの程よい焚き火をイメージしてそれが出来たら指先へ移動させるとの事だった。万一大き過ぎる魔力を感じた時はなんとかバケツリレーでも雨を降らせるイメージでも良いから、とにかく鎮火を心掛けて焚き火レベルまで戻すようにとの事だった。
 ちなみに“キャンプファイヤー”という懐かしい単語が出てきた訳ではなく“大きな木で作った櫓を燃やすような火”と説明されて勝手にキャンプファイヤーの事だなと理解していた。

 この魔法の練習が中々難しく周りの雑音が大きいと集中力が続かない。
 仕事柄あまり周りの状況に左右されず細かい作業にも集中力が続く方だと思っていたが、目を瞑って身体の中に意識を集中すると極端に周りの音が聞こえなくなるので余程安全が確保された場所でないと難しい。
 かといってまだ発動する魔法の種類も平均規模も分からない為、宿や町中など他の人に迷惑が掛かるかもしれない場所では練習が出来ない。
 誰にも迷惑の掛からない町の外で人気の無い場所を選んで練習するのみだった。

 せっかく魔法を使える世界に来たのだからコップ1杯の水でも蛍みたいに弱い灯りでも、温くなった飲み物を程よく冷やす程度の魔法でも使えるものなら是非使いたい。
 うんうんと唸りながら目を閉じていたオレの傍までヴィルヘルムが歩み寄って来て、そろそろ出発しようと肩を叩いた。

 歩きながらヴィルヘルムに魔法のコツを教えてほしいと言うと、困った様子の彼は小さく自分は騎士だから魔法は苦手だと白状した。
「騎士は皆魔法が苦手って事?」
「……いや全くそんな事はない。むしろ剣技より魔術を得意とする者もいる」
 ん?なんだか先程の台詞と矛盾しているではないか。じとりとした視線を送ると彼は両手を上げて降参というようにヒラヒラと振ってみせた。
「騎士だから苦手なのではなく、単に私個人が昔から魔術は苦手だ」

 詳しく聞いてみると魔法は努力というよりは生まれ持っての才能や、年齢を経て勝手に開花するもので幼少期に早々に自分には魔法の才能は無いと理解したヴィルヘルムは、魔力に関係のない剣技と騎士への憧れをより強くしたという。
 実際実戦においては魔法使いと騎士は完全に部隊が分かれる訳ではなく、必ずお互いを補い合うよう連合の小部隊を組んで戦うそうだが、幸いここ100年程大きな戦いは起きておらずその兆しも無いとの事だった。ちなみにヴィルヘルムの実のお姉さんは魔法が得意らしい姉弟でも能力には違いが出るそうだ。

「じゃあヴィルヘルムはどんな魔法が使えるんだ?」
 今まで彼が魔法を使っている所を見た事があっただろうか?純粋な疑問を口にすると彼は“夜になれば分かる”とだけ言って勾配のきつくなった山道を先に立って歩いて行く。

 この日の夕方、森の中では光が遮られていつもより随分早い時間に徐々に足元が見え辛くなってきていた。
 ヴィルヘルムが呼ぶので何事かと思い近付くと早速彼の魔法を見せてくれると言う。ワクワクしながら彼が手にしているランタンを挟んで彼の正面へ回り込むと、静かに深呼吸した彼がランタンの中の蝋燭の先に指先をあてた。
 数秒してその指先から蝋燭に小さな火が灯りランタンが辺りを柔らかく照らし出した。
「すごい!魔法みたいだ!!」
 感動して思わず拍手のように手を叩いてしまったが、魔法みたいもなにも本物の魔法なわけだが、今までコレは魔法で動いているとか魔法で作られているといった説明を受けたが、実際に目の前で魔法を使ってもらうのは初めてだったのでこれ位のオーバーリアクションは許してほしい。
 実際マジックのようだったし道具も何も使わず火が起こせるなんて、こういったアウトドアではかなり便利な能力ではないだろうか。

「大袈裟だ。それにこれ以上火力は出ないぞ」
「いやオレなんて何も効果の現われない魔法を練習してるわけだから……。それに今ヴィルヘルムが火の魔法を使えなかったらオレ達もっと苦労してランタンに火をつける訳だし」
 今までも彼が野営やこうやって辺りが暗くなってきた時に、いつの間にか火の準備をしているのが不思議だったがやっとこの疑問は解決した。
「イツキは前向きだな」
「そうそう後ろ向きだと碌な事ないから」
「見習おう」
 僅かに笑ったヴィルヘルムが灯りのついたランタンを持って先を歩くので後に続く。今夜泊まる予定の山小屋のような簡易な建物を目指して歩いていた。


 先程“見習う”と言っていたヴィルヘルムだが、彼は時折こういった“物凄く素直で謙虚な一面”を見せる。
 騎士とは皆こういう性質なのかそれとも彼特有なのか。
 最初出会った時はその頼もしさから自分と同輩か年上かもしれないと思っていたが、ここ数日はもしかしたらやや年下なのかもしれないと感じていた。
「ずっと聞きたかったんだけどヴィルヘルムは歳は幾つなの?オレはもうすぐ29」
 ピタリと前方を歩いていた騎士が停まり微妙な表情のまま彼が振り返った。役所でサリウスさんに年齢を伝えた時と同じ表情をしている。
「私の歳は25だが……イツキ、昨日も言おうかどうか迷ったのだが君の国とこちらの国では歳の数え方が違うのではないだろうか?」

「え?なにそれオレが幼く見えるって事?」
 人が気にしている事を中々直球に言ってくれる。
 訪問先で仕事相手に初めて会うと若いとか入社したばかりか等と聞かれるが、まるで頼りないか苦労していないように見られているようで余り嬉しい言葉ではない。もっと中年になってから言われたら少しは喜ぶかもしれないが。

「生まれてからちょうど1年で1歳だろ。1年は1節って言うんだったか……とにかく約365日で1節、オレは生まれてから28節と11ヶ月きっちり数えて生きてきたから間違いないよ」
 我ながら少し厭味混じりに言ってしまったが憮然としてヴィルヘルムを見詰めると、彼は駄々を捏ねる子どもを相手にしているような少し困った顔をした後、脱力して続けた。
「分かった君の方が年上だ。もっと丁寧な言葉を使いましょうか?」
「いや良いよ今更変だし……というかなんか本当は信じてなくないか?」
 ヴィルヘルムは微妙な表情のままそんな事はないと行ってまた歩き出したが、これは確実に信じてもらえていない気がする。
 やはり運転免許証か保険証でも持っていれば例え別の世界の物でも年齢くらいはすんなり信じてもらえたのではないかなぁと思いながら、この日も足が棒のようになる頃にやっと山小屋に到着した。


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