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しおりを挟む有「そんなに泣くな、もう昔の事だ」
悪魔はそう言うと、俺の涙を指の腹で拭った。
悪魔の事なのに、まるで俺が慰められているようだった。
俺の涙が止まるまでの間、悪魔は俺を抱きしめると、背中と頭をずっと撫でてくれた。
その手は優しく、まるで子供をあやすように俺を撫でた。
有「落ち着いたか?」
蒼「・・グスッ・・・・・はい・・・・すみません・・・」
あれからどれくらい経っただろうか、俺の涙がやっと止むと その大きな体は俺から離れて行った。
泣きまくった俺は、目の周りが赤く腫れていた。
有「そんなに泣いたら、お前の可愛い顔が台無しだぞ」
悪魔はそう言うと、俺を元気づけようと思ったのか 俺の髪をわしゃわしゃと撫でた。
蒼「ちょ、ちょっとっ何するんですかぁ」
悪魔は嫌がる俺を見て、顔を崩して笑った。
その笑顔に俺の心臓が少しギュッと締め付けられる感じがした。
・・・・なんだこの気持ち・・・
この時の俺はまだこの感情が何なのか分からなかった。
ただ、俺は、俺だけは 今、この人の傍に居てあげようと思った。
だって、すごく寂しそうな目をしていたから。
いろいろ酷い事もされたし、理不尽な思いもしたけど、そんなの悪魔の心の傷に比べればなんてこと無かった。
蒼「さ、もう寝ましょう部長!」
有「え・・って・・・おい」
俺はそう言うと、悪魔の手を引っ張りながらベッドへ飛び込んだ。
悪魔は少し驚いたような声を出したが、続けてベッドに入ってきた。
蒼「もっと奥に潜ってください」
有「なんで」
蒼「いいから!潜ってほら!」
俺は悪魔にそう言うと、悪魔は疑問に思いながらも少し奥に潜った。
ちょうど俺の胸の辺りに悪魔の顔がある。
俺はそれを優しく抱き締めた。
悪魔の髪は意外に柔らかくて、俺は指でそれを梳いた。
有「何してる」
蒼「部長を慰めてあげてるんです。さっき俺を慰めてくれたお礼ですっ」
有「そうか。」
蒼「今日だけですからね?もうしませんから!」
有「じゃあ・・・・たくさん慰めてもらわないとな」
悪魔はそう言うと、俺の胸元に顔を埋め、俺の匂いを嗅ぎ始める。
有「お前いい匂いだよな・・・安心する」
蒼「って何してるんですか、へ、変な事するならやめますよ!」
有「わかった、わかったから」
悪魔は少しふっと鼻で笑って俺にそう言うと、俺の腹に腕を回し、俺を抱き締め返した。
しばらくするとゆっくりと悪魔の寝息が聞こえてくる。
俺もその寝息につられて夢に落ちた。
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