君、愛し 恋し

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君、愛し 恋し 淵

特殊性癖

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「キ、キスしてくれなきゃ、正一君に脅されてお金を取られたってパパに言うから!」
「ふ~ん。僕のアルバイト先とか、友人、関係者? 色々調べて回ったんだ?」
(最近裕之君が僕のストーカーが居るから気をつけてって言ったから、僕も調べたんだっけ。このが僕の周りに迷惑をかける様ならキスなんてしてあげないけど、僕自身を脅して来たからしてあげようかな?)
「ふあ?! アムッ、フウッンンン……」
(あれ? 座り込んじゃった)
「ねえ君のお父さんが横領してるって知ってる? お母さんが新宿のクラブでホストにいれあげて一晩にいくら使ってるかお父さんに聞いてご覧? ああ、もうどちらもやめさせないと君のお父さん大変だよ?」
「う、うそよ……。」
「ああ、僕の関係者を調べてたよね? 僕って幅広いでしょう? 色々教えてくれるからみんな。要らない情報も沢山あるから困ってるけどね」
「う、ああ、ヒイッ!」
 正一の顔を見て少女が後ずさる。
「酷くない? 君が僕にキスしてって言うからしてあげたのに。どうしてそんなに怯えるのさ?」
 話しの内容が、魔王の顔をした正一のせいで彼女の頭に理解されていない。
「聞いてた? 早く帰って、君のして、僕の事は忘れてね? 君、キスだけ欲しかったんだよね? もうイイよね? じゃあ」
 
 正一は結構いろんな人に好かれる。立場がある人ほどその特殊性癖を彼の前だと隠せない。
 正一が受け入れるからどんどん広く深くなる交遊関係を、正一は上手く周りに隠していた。
「僕に探られて痛い所は無いんだけど、周りはきっと黙っていてくれないんだろうから、僕を脅しちゃダメだよね」
 歩く秘密機構になりつつある正一の独り言であった。

 通りの向こうで双子の姉妹がそんな兄の姿を見ていたとは気がつかない。
 しかし、少女より遥かにストーカーな警察関係者から『心配』という嫉妬によって事のあらましから顛末を聞かされ、自分の妹達が遠くで見ていた事を知った。
「もう。だから最近キスの話しとかし出したんだな?! おやすみのキスはそろそろやめないとダメかな?」
「では私に、ご褒美とおやすみのキスをいただきたい。正一君をとても心配していたんだよ?」
 職権濫用の壮年ストーカーを正一は溜息をつきながらも甘やかす。
「僕は大丈夫ですから、お仕事を頑張って下さいね? 今日は特別ですよ?」
 顎グイをされてうっとりするに正一は濃厚な一発をお見舞いした。
「ああ、糸が引いてますよ? 僕は美味しいですか?」
 親指で下唇を拭った正一の手首を両手に掴んでパクりとくわえ、指しゃぶりを初めた。
 そう彼の特別性癖。『幼児プレイ』が始まってしまったのだ。
「バブ、チュッ、チュ。おいしい。チュッ」
「総監? 指しゃぶりはやめませんか? いい子にしていないともう会いませんよ? ああ、それとも奥様に来ていただきましょうか?」
 しぶしぶ離すが、名残惜しそうに今度は自分の指しゃぶりを始める残念さ。
「何で僕なんですか? 奥様に甘えて下さい」
「あれは、女王様だから……「もう結構です。これ以上個人情報提供は要りません」
 危なさMAXである。ここで有名な教育評論家で、大学客員教授である奥様の性癖までぶっこまれ、正一の要らない情報がまた増えた。

(僕、まだ学生なんだから、普通のお友達が欲しいかな? 何でみんな僕んとこ来るかな?)
 何故か普通に生活している正一に、普通では会えない人物が特別性癖を発揮している時に出逢う。
 なかなかに引きのイイ正一である。
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