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ニューハーフの蕾
僕はニューハーフになりたい!
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それからしばらくは興が乗って風俗はアイクにばかり7回連続で通った。
季節は桜も散って惣一郎は高校三年生になった。
「お爺ちゃん、また話があるんだけど」
「そうか、お母さんがリビングにいるから、お爺ちゃんの部屋においで」
部屋に入ると惣一郎は、
「お爺ちゃん、僕、ニューハーフになりたい」
惣一郎にはまたもや驚かされる。
「そうか、そりゃ驚いたなあ、詳しく聞かせてくれ」
「お兄さんとはずっと続いているよ、僕が女になって抱かれるのがすっかり普通になって、それだけじゃ物足りないからお兄さんにも女装させてみたんだ。
僕が彼女とセックスするときのレズ感覚が堪らなくいいから、お兄さんにも女装させたらどうかなあと思ったんだよ。
そうしたらお兄さんもスッカリ嵌っちゃってこの頃の二人は女装レズばかりだよ。
お兄さんも女装するとけっこうキレイなんだ。
それと彼女ともずっと続いている、彼女には僕がお化粧や女物の下着のことをいつも訊くから、
僕が女装好きなのがバレちゃった。
彼女はちょっとだけ驚いていたけど嫌がりはしなかった。
セックスのときに肌から伝わるもので僕の心が女だと感じていたんだって。
それで今は彼女とするときも女装しているけど、不思議なことに彼女はそれが楽しいと言ってくれる。
彼女が僕にメイクしてくれるんだ。
そんなふうに、僕の気持ちはすっかり女になってきちゃった。
お兄さんや彼女に会えないときは、自分の部屋でお化粧して女物の下着を付けた姿を鏡に映してオナニーしている。
でも、お母さんにバレないように化粧品と下着はカバンに入れていつも持ち歩いているんだ、
部屋に置いておくとお母さんに見付かるからね、これがそうだよ。
そうだ、このカバンをお爺ちゃんの部屋に置かせてもらえないかなあ、
お爺ちゃんの部屋にはお母さんが入らないから」
「ああ、いいよ、置いときな、いつでも必要な時にお爺ちゃんの部屋に入って持っていけばいい、
だけどお母さんには怪しまれないようにしなよ。さあ、続きを話してくれ」
「うん、ありがとう。それで鏡の自分を見ると結構キレイだけど、まだまだ男なんだ。
お爺ちゃんが言ったように、本物の美女と区別できない、というのにはほど遠い。
もっと綺麗になりたい、髪を伸ばして、女性ホルモンを打ってお肌をスベスベにして胸にオッパイを入れたいんだ。
美女のニューハーフになって男に犯される夢を毎晩見るし、
今はそればかりが頭の中をグルグル回って勉強が手に付かないんだ。
もう一体どうしたらいいんだろう?」
「そうか、それは深刻だな。でもお爺ちゃんの答えは一つだ。
惣一郎は惣一郎がしたいことをすればいい。
ニューハーフになりたいのならニューハーフになればいい。お爺ちゃんは応援するよ。
ただ、言うまでもないが、お前がニューハーフになれば自らの性的マイノリティーを公表することになる。
世間からの嘲笑や差別を覚悟しておかなきゃならない、それは大丈夫なのか?
それに、一度その道に進んだら二度と後戻りはできないぞ、
女性ホルモンを一定期間摂取すると男性生殖機能が壊れて二度と女性を妊娠させられなくなるのを知っているかい?」
「うん、不可逆の永久不妊というやつだね、調べたよ。
カミングアウトについてもこれからしっかりと考えるよ」
「あ、カミングアウト(告白)だけど、お母さんには言っちゃダメだ。
お母さんはそんなことは絶対に認めない。反対だと大騒ぎをして碌でもないことになるだけだ」
「もちろんこのことはお母さんには言うつもりはないよ。
今までのこともお爺ちゃんにだけ相談して、お母さんにはお兄さんと付き合っていることも、
彼女のことも言ってない。
話しても僕を否定することしか言わないから」
「お母さんにとって惣一郎は唯一人の子だから、お前のことを愛してお前の幸せを心から願ってはいるだろうが、
あまりに狭量だし古臭いジエンダーで頭がコチコチなんだ。我が娘ながら手を焼くよ。
だから、そんなお母さんは今のお前にとって障害でしかない。
だけど一人だけの親なんだから大切にしなくてはいけないよ」
「うん、それも分かっているよ。だから夜までにはいつもちゃんと家に帰ってきている。
お母さんを心配させないためさ。ほんとはお兄さんちに泊まりたいんだけどね」
「惣一郎は来年が受験だろ、たしか第二志望が関西の学校だったよな」
「そうだよ、大阪大学と関西学院が第二・第三志望校になっている、
でも今のように勉強に集中できないとそれも無理かもしれない」
「だったら、頑張って関西の学校に合格して向こうで一人暮らしをしな。
そうすれば口うるさいお母さんから逃れられる。
東京を離れて向こうで自由にやればいい、お前が好きなようにすればいいんだ。
ニューハーフになりたければ、なればいい。場合によっては大学を中退したって構わない。
ただし、お前は遠からず社会人にならなきゃならない。
ニューハーフになってそれで稼ぐのか?
見た目は女性として会社勤めをするのか?
あるいは男性で通すのか?
そうした現実問題を含めて自分の人生を関西で考えてみたらどうだ」
「実は僕もそれを考えていたんだ。お兄さんの出身が京都だから、第二志望を関西の大学にしたんだよ。
お兄さんも来年が卒業で、就職は関西ですると言っている。
僕が関西に行けばこのまま付き合っていけると思う」
「そうか、それだけお兄さんのことが好きなんだな。
じゃあ、その実現のために受験勉強を頑張れよ」
「うん、そうする」
惣一郎の顔は明るくなった。
私はその3日後にアイクの予約があった。
いつ見てもアイクはほんとに美しい、心から惚れ惚れする。
そのアイクの妖艶の空気を思い切り呼吸した。
事が済んで、アイクとピロートークする。
昨年末からアイクと話すのは惣一郎のことばかりだ。
「昨日、惣一郎がニューハーフになりたいと言ってきたよ」
と言うと、
「そうでしょうね、永井さんから話を聞いていて、そろそろ、彼がそんなことを言い出すんじゃないかって思っていたのよ」
そこで惣一郎に、関西で自由に一人暮らししてニューハーフになればいい、と言ったのを話した。
「永井さんはほんとに理解があるのね、偉い、見直したわ」
「褒めてもらえてうれしいが、見直したわ、ということは、今まで俺が大したやつではないと思っていたということなのかい?」
「そうね」
「コラッ」
「ウフフフフ」
私もつられて笑ってしまった。
「それでなあ、アイクちゃんに頼みがあるんだ」
「惣一郎くんに会ってアドバイスしてやってくれないか、でしょ」
「その通り、さすがにアイクちゃんだ、見直したよ」
「みなおしたあー、ですって!」
「お返しさ、ハハハハ」
その晩、私は惣一郎を部屋に呼んだ。
「どうだい、勉強は捗ってるかい」
「うん、捗ってる、と言いたいんだけど、なにか気持ちに引っ掛かるものがあって
完全には集中できないでいるんだ。でもそれがなんなのかよく分からない」
「そうか、なんとなくお爺ちゃんもそんな気がしていたんだ。
どうだ、お爺ちゃんの知り合いに綺麗なニューハーフのお姐さんがいるから、
会って話してみたらどうかな」
「ええー、お爺ちゃんはそんな知り合いがいるの!驚いたなあ。
実物のニューハーフさんとは話したことがないからぜひ会ってみたいよ。
ほんとにそんなこと出来るの?」
「ああ、大丈夫だ、頼んでやる、任せときな」
私はアイクに連絡して、惣一郎と2人だけで赤坂の喫茶店で会う約束を取り付けてやった。
その日が来て、惣一郎はいそいそとアイクに会いに出掛けて行った。
はじめは10時から正午までの予定だったが、話が盛り上がって夕方まで話し込んでしまったらしい。
惣一郎は帰宅すると母親の目を盗んで私の部屋に来て、ドアを閉めると興奮した面持ちで語り出した。
「アイクさんは素晴らしい人だったよ。あんなキレイな人は見たことがない。
お爺ちゃんが好きになるのも当然だね」
「え、アイクがお爺ちゃんのことを何か言ったのかい」
「言わないよ、だけど僕だってバカじゃないんだ。そのくらいのことは察しが付くさ」
「まあ、それはどうでもいいさ、お前の将来についての参考になったのか?」
「参考どころじゃないよ、すごく感動した、その思いが強すぎて言葉に出来ないくらいさ。
お蔭でニューハーフになる踏ん切りがついた。
どこか気持ちに引っ掛かりがあったけど、アイクさんと話していたらそれがいつの間にか溶けて無くなっていた。
これでもう真っ直ぐ前に進めそうだよ。
アイクさんは僕とお友達になってくれるってさ、
何かあったらいつでも相談に乗るわ、と言ってもらったし、ライン交換もしてすごく嬉しい」
「そうか、それは良かったな、お爺ちゃんも紹介した甲斐があったよ。
ニューハーフのことはお爺ちゃんでは分からないことが多いからアイクさんに相談すればいいさ」
「うん、そうする。あんな人と親しいなんて、お爺ちゃんのことを見直したなあ」
「なんで見直すんだよ、前からいいお爺ちゃんだろ」
「ああ、そうだったねえ、フフフフ」
「なんだよ、それ」
その五日後に私はまたアイクを指名した。
「この前は惣一郎がお世話になってありがとう、アイクさんは素晴らしい人で感動したと言っていたよ。
随分と話が盛り上がったみたいだね」
「そうなのよ、惣一郎くんは素直でほんとにいい子ね、可愛いし好きになっちゃったわ。
一緒に居てあんまり楽しいから、あの日は午後に一件予約が入っていたんだけど、
急な体調不良だと言って断っちゃったの」
「おいおい、大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、それぐらい。
それで惣一郎くんからニューハーフになるためのいろんな相談を受けたんだけど、
あの子なら素敵なニューハーフになるわ。
ご家庭の事情があるし、彼氏との関係があるから来年に関西に行くのは仕方ないけど、
出来れば私の近くに置いて今後の成長を見守りたいと思ったくらいよ」
「そうか、二人はそんなに親しくなれたんだな、ああ、よかった。惣一郎には心強い味方ができたんだなあ。
面倒を掛けて悪いけど、惣一郎のことをくれぐれもよろしくお願いします」
「永井さんっていいお爺ちゃんね」
「えへっ、照れるなあ。
そうだよ、俺はいい人だもの、アイクちゃんにも最高のお客様だろ」
「調子に乗るんじゃないの」
睾丸を人差し指で弾かれた。
「イタッ」
その次の日曜だった。
惣一郎が部屋に来て、
「お爺ちゃん、さっきアイクさんから電話があって自宅に遊びに来ない?って言われたから行ってくるね」
「ああ、そう・・。行ってらっしゃい」
惣一郎は嬉しそうに出て行った。
「ちぇ、俺だってアイクの家に行きたいよ。惣一郎は若くて可愛いからお誘いをもらえるんだよなあ、
俺も若い頃はもてたのになあ・・・。
ああ所詮、俺は金を払うだけのスケベジジイのお客かあ。これだからジジイは嫌だねえ、ああヤダヤダ」
とつまらぬことが口から出てしまった。
その晩、帰宅した惣一郎は、私の部屋に来て、アイクの家でメイクの秘訣や女物の洋服の着こなしを教えてもらったと嬉しそうに話した。
惣一郎の身体にアイクの手が触れるたびに惣一郎はドキドキしたという。
「アイクさんは僕の憧れの人だよ、僕もあんなニューハーフさんになりたい。
アイクさんの魅力は堪らないよねえ、お爺ちゃんの気持ちはすごく分かるよ。
アイクさんといると吸い込まれるような気分になって、ついキスしてしまいそうだ、
だからもう会わないほうがいいのかなあ」
と言う。
「会えばいいじゃないか。キスしようとセックスしようとお前らの勝手だ。
アイクが拒まなければ好きにすればいいじゃないか」
私はそう言ったものの、いささか嫉妬心がこみ上がっていた。
「え、いいの。お爺ちゃんは怒らないの?
それじゃあ、またお邪魔しようっと、ああ、すっごい楽しみだなあ」
と惣一郎は無邪気な笑顔で部屋を出て行った。
「あの調子なら次には二人でセックスするんだろうな、
ああ、孫と兄弟(同じ相手と性交した間柄)になるのか。笑えない冗談だなあ」
と、また思わず独り言が出た。
それから少しして、予想の通り惣一郎とアイクは深い仲になってしまった。
これで惣一郎は大学生のお兄さん、彼女、アイクの3人の恋人を持つことになった。
17歳にして三股とはずいぶんのやり手だ、それも男、女、ニューハーフとバラエティーに富んでいる。
だが、そんな中でも受験勉強はちゃんとやっているらしく模試結果は志望校合格のラインを越えている。
そんな惣一郎に「さすがは我が孫」と感心したりもする。
このところ、私はアイクからは足が遠のいている。
孫の恋人を指名するのはどうにも気が引けるのだ。
悔しいがアイクは惣一郎に譲ってやった。
ただ、アイクからすれば私は数多い客の一人に過ぎず、私が指名したところでなんとも思わないだろうし、
私の「譲った」もクソもないだろう、それもよく承知はしている。
そして私は、アイクを慕う気持ちは孫のために封印することにした。
私はアイクと惣一郎が手をつないでいるのを想像する、
次には二人が裸で楽しんでいるのが目に浮かぶ、
好色な私はその姿にそそられ、嫉妬するが、一方で祖父の私は微笑ましい気持になる。
愛する二人が仲よく幸せならばそれでいいのだ。
私のセックス対象は多様だ、だからアイクに会わなくても他で昇華すればいい。
お気に入りのデリヘリ嬢のアイリ、ウリセンホストのショウ、M嬢のアヤ、
そしてアイク以外のニューハーフと順繰りに指名してセックスを楽しんでいる。
今回は久しぶりにニューハーフ嬢を2人指名しての3Pを楽しんでみたが、これも刺激的で素晴らしかった。
季節は桜も散って惣一郎は高校三年生になった。
「お爺ちゃん、また話があるんだけど」
「そうか、お母さんがリビングにいるから、お爺ちゃんの部屋においで」
部屋に入ると惣一郎は、
「お爺ちゃん、僕、ニューハーフになりたい」
惣一郎にはまたもや驚かされる。
「そうか、そりゃ驚いたなあ、詳しく聞かせてくれ」
「お兄さんとはずっと続いているよ、僕が女になって抱かれるのがすっかり普通になって、それだけじゃ物足りないからお兄さんにも女装させてみたんだ。
僕が彼女とセックスするときのレズ感覚が堪らなくいいから、お兄さんにも女装させたらどうかなあと思ったんだよ。
そうしたらお兄さんもスッカリ嵌っちゃってこの頃の二人は女装レズばかりだよ。
お兄さんも女装するとけっこうキレイなんだ。
それと彼女ともずっと続いている、彼女には僕がお化粧や女物の下着のことをいつも訊くから、
僕が女装好きなのがバレちゃった。
彼女はちょっとだけ驚いていたけど嫌がりはしなかった。
セックスのときに肌から伝わるもので僕の心が女だと感じていたんだって。
それで今は彼女とするときも女装しているけど、不思議なことに彼女はそれが楽しいと言ってくれる。
彼女が僕にメイクしてくれるんだ。
そんなふうに、僕の気持ちはすっかり女になってきちゃった。
お兄さんや彼女に会えないときは、自分の部屋でお化粧して女物の下着を付けた姿を鏡に映してオナニーしている。
でも、お母さんにバレないように化粧品と下着はカバンに入れていつも持ち歩いているんだ、
部屋に置いておくとお母さんに見付かるからね、これがそうだよ。
そうだ、このカバンをお爺ちゃんの部屋に置かせてもらえないかなあ、
お爺ちゃんの部屋にはお母さんが入らないから」
「ああ、いいよ、置いときな、いつでも必要な時にお爺ちゃんの部屋に入って持っていけばいい、
だけどお母さんには怪しまれないようにしなよ。さあ、続きを話してくれ」
「うん、ありがとう。それで鏡の自分を見ると結構キレイだけど、まだまだ男なんだ。
お爺ちゃんが言ったように、本物の美女と区別できない、というのにはほど遠い。
もっと綺麗になりたい、髪を伸ばして、女性ホルモンを打ってお肌をスベスベにして胸にオッパイを入れたいんだ。
美女のニューハーフになって男に犯される夢を毎晩見るし、
今はそればかりが頭の中をグルグル回って勉強が手に付かないんだ。
もう一体どうしたらいいんだろう?」
「そうか、それは深刻だな。でもお爺ちゃんの答えは一つだ。
惣一郎は惣一郎がしたいことをすればいい。
ニューハーフになりたいのならニューハーフになればいい。お爺ちゃんは応援するよ。
ただ、言うまでもないが、お前がニューハーフになれば自らの性的マイノリティーを公表することになる。
世間からの嘲笑や差別を覚悟しておかなきゃならない、それは大丈夫なのか?
それに、一度その道に進んだら二度と後戻りはできないぞ、
女性ホルモンを一定期間摂取すると男性生殖機能が壊れて二度と女性を妊娠させられなくなるのを知っているかい?」
「うん、不可逆の永久不妊というやつだね、調べたよ。
カミングアウトについてもこれからしっかりと考えるよ」
「あ、カミングアウト(告白)だけど、お母さんには言っちゃダメだ。
お母さんはそんなことは絶対に認めない。反対だと大騒ぎをして碌でもないことになるだけだ」
「もちろんこのことはお母さんには言うつもりはないよ。
今までのこともお爺ちゃんにだけ相談して、お母さんにはお兄さんと付き合っていることも、
彼女のことも言ってない。
話しても僕を否定することしか言わないから」
「お母さんにとって惣一郎は唯一人の子だから、お前のことを愛してお前の幸せを心から願ってはいるだろうが、
あまりに狭量だし古臭いジエンダーで頭がコチコチなんだ。我が娘ながら手を焼くよ。
だから、そんなお母さんは今のお前にとって障害でしかない。
だけど一人だけの親なんだから大切にしなくてはいけないよ」
「うん、それも分かっているよ。だから夜までにはいつもちゃんと家に帰ってきている。
お母さんを心配させないためさ。ほんとはお兄さんちに泊まりたいんだけどね」
「惣一郎は来年が受験だろ、たしか第二志望が関西の学校だったよな」
「そうだよ、大阪大学と関西学院が第二・第三志望校になっている、
でも今のように勉強に集中できないとそれも無理かもしれない」
「だったら、頑張って関西の学校に合格して向こうで一人暮らしをしな。
そうすれば口うるさいお母さんから逃れられる。
東京を離れて向こうで自由にやればいい、お前が好きなようにすればいいんだ。
ニューハーフになりたければ、なればいい。場合によっては大学を中退したって構わない。
ただし、お前は遠からず社会人にならなきゃならない。
ニューハーフになってそれで稼ぐのか?
見た目は女性として会社勤めをするのか?
あるいは男性で通すのか?
そうした現実問題を含めて自分の人生を関西で考えてみたらどうだ」
「実は僕もそれを考えていたんだ。お兄さんの出身が京都だから、第二志望を関西の大学にしたんだよ。
お兄さんも来年が卒業で、就職は関西ですると言っている。
僕が関西に行けばこのまま付き合っていけると思う」
「そうか、それだけお兄さんのことが好きなんだな。
じゃあ、その実現のために受験勉強を頑張れよ」
「うん、そうする」
惣一郎の顔は明るくなった。
私はその3日後にアイクの予約があった。
いつ見てもアイクはほんとに美しい、心から惚れ惚れする。
そのアイクの妖艶の空気を思い切り呼吸した。
事が済んで、アイクとピロートークする。
昨年末からアイクと話すのは惣一郎のことばかりだ。
「昨日、惣一郎がニューハーフになりたいと言ってきたよ」
と言うと、
「そうでしょうね、永井さんから話を聞いていて、そろそろ、彼がそんなことを言い出すんじゃないかって思っていたのよ」
そこで惣一郎に、関西で自由に一人暮らししてニューハーフになればいい、と言ったのを話した。
「永井さんはほんとに理解があるのね、偉い、見直したわ」
「褒めてもらえてうれしいが、見直したわ、ということは、今まで俺が大したやつではないと思っていたということなのかい?」
「そうね」
「コラッ」
「ウフフフフ」
私もつられて笑ってしまった。
「それでなあ、アイクちゃんに頼みがあるんだ」
「惣一郎くんに会ってアドバイスしてやってくれないか、でしょ」
「その通り、さすがにアイクちゃんだ、見直したよ」
「みなおしたあー、ですって!」
「お返しさ、ハハハハ」
その晩、私は惣一郎を部屋に呼んだ。
「どうだい、勉強は捗ってるかい」
「うん、捗ってる、と言いたいんだけど、なにか気持ちに引っ掛かるものがあって
完全には集中できないでいるんだ。でもそれがなんなのかよく分からない」
「そうか、なんとなくお爺ちゃんもそんな気がしていたんだ。
どうだ、お爺ちゃんの知り合いに綺麗なニューハーフのお姐さんがいるから、
会って話してみたらどうかな」
「ええー、お爺ちゃんはそんな知り合いがいるの!驚いたなあ。
実物のニューハーフさんとは話したことがないからぜひ会ってみたいよ。
ほんとにそんなこと出来るの?」
「ああ、大丈夫だ、頼んでやる、任せときな」
私はアイクに連絡して、惣一郎と2人だけで赤坂の喫茶店で会う約束を取り付けてやった。
その日が来て、惣一郎はいそいそとアイクに会いに出掛けて行った。
はじめは10時から正午までの予定だったが、話が盛り上がって夕方まで話し込んでしまったらしい。
惣一郎は帰宅すると母親の目を盗んで私の部屋に来て、ドアを閉めると興奮した面持ちで語り出した。
「アイクさんは素晴らしい人だったよ。あんなキレイな人は見たことがない。
お爺ちゃんが好きになるのも当然だね」
「え、アイクがお爺ちゃんのことを何か言ったのかい」
「言わないよ、だけど僕だってバカじゃないんだ。そのくらいのことは察しが付くさ」
「まあ、それはどうでもいいさ、お前の将来についての参考になったのか?」
「参考どころじゃないよ、すごく感動した、その思いが強すぎて言葉に出来ないくらいさ。
お蔭でニューハーフになる踏ん切りがついた。
どこか気持ちに引っ掛かりがあったけど、アイクさんと話していたらそれがいつの間にか溶けて無くなっていた。
これでもう真っ直ぐ前に進めそうだよ。
アイクさんは僕とお友達になってくれるってさ、
何かあったらいつでも相談に乗るわ、と言ってもらったし、ライン交換もしてすごく嬉しい」
「そうか、それは良かったな、お爺ちゃんも紹介した甲斐があったよ。
ニューハーフのことはお爺ちゃんでは分からないことが多いからアイクさんに相談すればいいさ」
「うん、そうする。あんな人と親しいなんて、お爺ちゃんのことを見直したなあ」
「なんで見直すんだよ、前からいいお爺ちゃんだろ」
「ああ、そうだったねえ、フフフフ」
「なんだよ、それ」
その五日後に私はまたアイクを指名した。
「この前は惣一郎がお世話になってありがとう、アイクさんは素晴らしい人で感動したと言っていたよ。
随分と話が盛り上がったみたいだね」
「そうなのよ、惣一郎くんは素直でほんとにいい子ね、可愛いし好きになっちゃったわ。
一緒に居てあんまり楽しいから、あの日は午後に一件予約が入っていたんだけど、
急な体調不良だと言って断っちゃったの」
「おいおい、大丈夫なのか?」
「大丈夫よ、それぐらい。
それで惣一郎くんからニューハーフになるためのいろんな相談を受けたんだけど、
あの子なら素敵なニューハーフになるわ。
ご家庭の事情があるし、彼氏との関係があるから来年に関西に行くのは仕方ないけど、
出来れば私の近くに置いて今後の成長を見守りたいと思ったくらいよ」
「そうか、二人はそんなに親しくなれたんだな、ああ、よかった。惣一郎には心強い味方ができたんだなあ。
面倒を掛けて悪いけど、惣一郎のことをくれぐれもよろしくお願いします」
「永井さんっていいお爺ちゃんね」
「えへっ、照れるなあ。
そうだよ、俺はいい人だもの、アイクちゃんにも最高のお客様だろ」
「調子に乗るんじゃないの」
睾丸を人差し指で弾かれた。
「イタッ」
その次の日曜だった。
惣一郎が部屋に来て、
「お爺ちゃん、さっきアイクさんから電話があって自宅に遊びに来ない?って言われたから行ってくるね」
「ああ、そう・・。行ってらっしゃい」
惣一郎は嬉しそうに出て行った。
「ちぇ、俺だってアイクの家に行きたいよ。惣一郎は若くて可愛いからお誘いをもらえるんだよなあ、
俺も若い頃はもてたのになあ・・・。
ああ所詮、俺は金を払うだけのスケベジジイのお客かあ。これだからジジイは嫌だねえ、ああヤダヤダ」
とつまらぬことが口から出てしまった。
その晩、帰宅した惣一郎は、私の部屋に来て、アイクの家でメイクの秘訣や女物の洋服の着こなしを教えてもらったと嬉しそうに話した。
惣一郎の身体にアイクの手が触れるたびに惣一郎はドキドキしたという。
「アイクさんは僕の憧れの人だよ、僕もあんなニューハーフさんになりたい。
アイクさんの魅力は堪らないよねえ、お爺ちゃんの気持ちはすごく分かるよ。
アイクさんといると吸い込まれるような気分になって、ついキスしてしまいそうだ、
だからもう会わないほうがいいのかなあ」
と言う。
「会えばいいじゃないか。キスしようとセックスしようとお前らの勝手だ。
アイクが拒まなければ好きにすればいいじゃないか」
私はそう言ったものの、いささか嫉妬心がこみ上がっていた。
「え、いいの。お爺ちゃんは怒らないの?
それじゃあ、またお邪魔しようっと、ああ、すっごい楽しみだなあ」
と惣一郎は無邪気な笑顔で部屋を出て行った。
「あの調子なら次には二人でセックスするんだろうな、
ああ、孫と兄弟(同じ相手と性交した間柄)になるのか。笑えない冗談だなあ」
と、また思わず独り言が出た。
それから少しして、予想の通り惣一郎とアイクは深い仲になってしまった。
これで惣一郎は大学生のお兄さん、彼女、アイクの3人の恋人を持つことになった。
17歳にして三股とはずいぶんのやり手だ、それも男、女、ニューハーフとバラエティーに富んでいる。
だが、そんな中でも受験勉強はちゃんとやっているらしく模試結果は志望校合格のラインを越えている。
そんな惣一郎に「さすがは我が孫」と感心したりもする。
このところ、私はアイクからは足が遠のいている。
孫の恋人を指名するのはどうにも気が引けるのだ。
悔しいがアイクは惣一郎に譲ってやった。
ただ、アイクからすれば私は数多い客の一人に過ぎず、私が指名したところでなんとも思わないだろうし、
私の「譲った」もクソもないだろう、それもよく承知はしている。
そして私は、アイクを慕う気持ちは孫のために封印することにした。
私はアイクと惣一郎が手をつないでいるのを想像する、
次には二人が裸で楽しんでいるのが目に浮かぶ、
好色な私はその姿にそそられ、嫉妬するが、一方で祖父の私は微笑ましい気持になる。
愛する二人が仲よく幸せならばそれでいいのだ。
私のセックス対象は多様だ、だからアイクに会わなくても他で昇華すればいい。
お気に入りのデリヘリ嬢のアイリ、ウリセンホストのショウ、M嬢のアヤ、
そしてアイク以外のニューハーフと順繰りに指名してセックスを楽しんでいる。
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