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15.業務展開
200.おうちの幸せ
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今日もモバイル持って帰宅した。
丹生田が用意してくれてたメシ食って、イイ感じに用意されてた風呂入ったあと、こうやって仕事してる。タバコふかしながら。
「藤枝、コーヒーと麦茶とペプシ、何を飲む」
くわえタバコでモバイル睨んでたら丹生田に聞かれ、
「ん~~、ペプ……」
本能はペプシと言っている。
けど今はアタマハッキリさせなきゃだ。
「……いやコーヒー……ん?」
そう言って眉根に皺寄せた。なぜかすぐにコーヒーのカップを置かれたのだ。
「え?」
顔を上げると、丹生田はちょい嬉しそうに目を細めてる。
「予測が当たった」
「は……サンキュ。おまえの分は」
「俺はコッチを飲む」
なんつってペプシも持って来てた。くそっ、超カワイイじゃんよ!
「なんだよソレ。予測とかじゃねえじゃん」
「麦茶は持って来てない」
なんか、してやったりな顔してるからニヤニヤしちまう。
一気に疲れ吹き飛んだわ。なんだコレ。やっぱ俺って安いなあ~、とか思いながら、ククッと笑ってコーヒーをひとくち飲む。
「う~、うま~」
思わず声を出してた。なんつうか、うまさ倍増だっつの。
したら丹生田の手が肩に乗り、そこを撫でる。
「仕事を続けろ。しかしあまり無理はするな」
なんて言いながら、首の付け根とか肩とか揉み始めた。
「うん。でもキレのイイとこまでやんねえと……は、気持ちイイそれ」
「そうか」
肩の手が二の腕に降り、ソコも揉んでくれる。そっから背中も。
「寝るときにマッサージしてやる」
「うん、サンキュ。もうちょいで終わるよ」
「分かった」
なんつって手を放し、丹生田は向かいのソファに座ってペプシ飲んでる。
フッと鼻から息を漏らして笑いながら作業を続けた。
六田家具はまだ発展途上もいいとこだ。ちょっとは分かってくれる人が増えてきてるけど、知名度はまだまだだし、経営も安定してるとは言い難い。
社長の家具を置いてくれる家具店とか、ネット通販とか、うちのワークショップとかは、わりと順調に動いてるけど、それって俺たち営業がしっかり機能しようと努力してるからなんだ。
うちの家具を置いてくれるようなショップは、店員さんがきちんと商品知識を蓄えてるトコが多いんだけど、六田家具がそういう店舗に置いてるのは小物だけ。
ドレスラック、つまりハンガーを掛けるラックとか、ちょっとした棚、小さなテーブル、スツール、時計や鏡や傘立てとかインテリア小物、そういうのだけ。
工房そんな広くなくて、作業スペースが取れないんで大物を流れ作業で作るのが無理ってのもあるし、ソファなんかファブリック入る場合は外注にもなる。原材料から妥協しないから、どうしても単価は高くなるんで、売れるか分からないものに経費をかけないってのが、今現在の六田家具の方針。つまり大物家具は既製品にしてない。
店舗に置かせてもらってるパンフレット見て、注文したいお客さんがいたら呼んでもらって詳細打ち合わせるし、可能ならワークショップに来て貰ったりショールームで実物に触って貰ったりして、具体的なイメージ探り、満足行くものを提供出来るように。
ネットで注文受けるときも、どういうモノが欲しいかってのをサイズやデザインだけじゃ無く、色や触感まで相談した上で受注する。
で、それは営業の仕事だ。
最近、そういう発注を受けることが多くなってて、営業の負担が重いってのは部長も社長も分かってるんだ。けど正直、今の営業部に新人をイチから育てる余裕が無い。人を増やすにしても、即戦力が欲しいわけで、そんなひとはなかなかいない。
てか部長は部長で大車輪だし、社長も仕事に妥協せず目一杯やってるんで、そもそも面接とか求人とかに割ける時間が少ない。
ホントはそういうトコで佐藤さんを頼りたいんだけど、去年くらいからすごく忙しいらしいくて、
「もうちょっと待って」
と言われ続けてるんだよね。
「ふぅ~、終わった~」
「そうか」
モバイル閉じながら言うと、丹生田は俺の飲みかけコーヒーとペプシを手に台所に消える。
「マッサージしてやる。ベッドに行ってろ」
「う~い」
台所から聞こえる声に軽く癒やされながら寝室に入り、ベッドに倒れ込んだ。
「はぁ~~。なんつうか極楽? そういう奴なんじゃね、コレ」
「なにを言ってる」
笑いを含んだ声と共に、丹生田もベッドに上がってきて、首やら背中やら腕やら撫で始める。
てか昔からマッサージ上手かった気ィするけど、最近はもっともっと上手くなってると思う。超気持ちイイ。
背筋に添って揉み始めた手の心地よさに目を閉じ、………いつのまにか眠っていた。
◆ ◇ ◆
「………………」
健朗は、今日も眠ってしまった藤枝の背中を撫でながら、ため息をつく。
旭川の社員旅行から帰って以来、藤枝は非常に多忙になった。
本来日曜が休みの筈なのだが、店舗へ呼ばれることが多くなり、祭日だろうが日曜だろうが飛んでいく。部屋にいるときでもネットでの注文に応じて、今日のようなことになる。
つまり、二ヶ月もセックスしていない。
若い頃のように理性を失うことこそ無くなったが、だからといって性欲が治まったわけではない。
抱きたいのだ。藤枝を。
しかしこんなに疲れ切るほど打ち込んでいる仕事を邪魔する気は毛頭無い。
ゆえにせめてもと、身体を触っている。マッサージなどと理由をつけて。だから健朗の手は、眠った藤枝の背中や尻や太ももなどを撫で続けている。
そして髪を撫で、そこにキスを落として、寝顔が安らかであることに安心しつつ、リビングに戻って灰皿の始末をし、テーブルを拭いて、自分も眠る支度をするのだった。
丹生田が用意してくれてたメシ食って、イイ感じに用意されてた風呂入ったあと、こうやって仕事してる。タバコふかしながら。
「藤枝、コーヒーと麦茶とペプシ、何を飲む」
くわえタバコでモバイル睨んでたら丹生田に聞かれ、
「ん~~、ペプ……」
本能はペプシと言っている。
けど今はアタマハッキリさせなきゃだ。
「……いやコーヒー……ん?」
そう言って眉根に皺寄せた。なぜかすぐにコーヒーのカップを置かれたのだ。
「え?」
顔を上げると、丹生田はちょい嬉しそうに目を細めてる。
「予測が当たった」
「は……サンキュ。おまえの分は」
「俺はコッチを飲む」
なんつってペプシも持って来てた。くそっ、超カワイイじゃんよ!
「なんだよソレ。予測とかじゃねえじゃん」
「麦茶は持って来てない」
なんか、してやったりな顔してるからニヤニヤしちまう。
一気に疲れ吹き飛んだわ。なんだコレ。やっぱ俺って安いなあ~、とか思いながら、ククッと笑ってコーヒーをひとくち飲む。
「う~、うま~」
思わず声を出してた。なんつうか、うまさ倍増だっつの。
したら丹生田の手が肩に乗り、そこを撫でる。
「仕事を続けろ。しかしあまり無理はするな」
なんて言いながら、首の付け根とか肩とか揉み始めた。
「うん。でもキレのイイとこまでやんねえと……は、気持ちイイそれ」
「そうか」
肩の手が二の腕に降り、ソコも揉んでくれる。そっから背中も。
「寝るときにマッサージしてやる」
「うん、サンキュ。もうちょいで終わるよ」
「分かった」
なんつって手を放し、丹生田は向かいのソファに座ってペプシ飲んでる。
フッと鼻から息を漏らして笑いながら作業を続けた。
六田家具はまだ発展途上もいいとこだ。ちょっとは分かってくれる人が増えてきてるけど、知名度はまだまだだし、経営も安定してるとは言い難い。
社長の家具を置いてくれる家具店とか、ネット通販とか、うちのワークショップとかは、わりと順調に動いてるけど、それって俺たち営業がしっかり機能しようと努力してるからなんだ。
うちの家具を置いてくれるようなショップは、店員さんがきちんと商品知識を蓄えてるトコが多いんだけど、六田家具がそういう店舗に置いてるのは小物だけ。
ドレスラック、つまりハンガーを掛けるラックとか、ちょっとした棚、小さなテーブル、スツール、時計や鏡や傘立てとかインテリア小物、そういうのだけ。
工房そんな広くなくて、作業スペースが取れないんで大物を流れ作業で作るのが無理ってのもあるし、ソファなんかファブリック入る場合は外注にもなる。原材料から妥協しないから、どうしても単価は高くなるんで、売れるか分からないものに経費をかけないってのが、今現在の六田家具の方針。つまり大物家具は既製品にしてない。
店舗に置かせてもらってるパンフレット見て、注文したいお客さんがいたら呼んでもらって詳細打ち合わせるし、可能ならワークショップに来て貰ったりショールームで実物に触って貰ったりして、具体的なイメージ探り、満足行くものを提供出来るように。
ネットで注文受けるときも、どういうモノが欲しいかってのをサイズやデザインだけじゃ無く、色や触感まで相談した上で受注する。
で、それは営業の仕事だ。
最近、そういう発注を受けることが多くなってて、営業の負担が重いってのは部長も社長も分かってるんだ。けど正直、今の営業部に新人をイチから育てる余裕が無い。人を増やすにしても、即戦力が欲しいわけで、そんなひとはなかなかいない。
てか部長は部長で大車輪だし、社長も仕事に妥協せず目一杯やってるんで、そもそも面接とか求人とかに割ける時間が少ない。
ホントはそういうトコで佐藤さんを頼りたいんだけど、去年くらいからすごく忙しいらしいくて、
「もうちょっと待って」
と言われ続けてるんだよね。
「ふぅ~、終わった~」
「そうか」
モバイル閉じながら言うと、丹生田は俺の飲みかけコーヒーとペプシを手に台所に消える。
「マッサージしてやる。ベッドに行ってろ」
「う~い」
台所から聞こえる声に軽く癒やされながら寝室に入り、ベッドに倒れ込んだ。
「はぁ~~。なんつうか極楽? そういう奴なんじゃね、コレ」
「なにを言ってる」
笑いを含んだ声と共に、丹生田もベッドに上がってきて、首やら背中やら腕やら撫で始める。
てか昔からマッサージ上手かった気ィするけど、最近はもっともっと上手くなってると思う。超気持ちイイ。
背筋に添って揉み始めた手の心地よさに目を閉じ、………いつのまにか眠っていた。
◆ ◇ ◆
「………………」
健朗は、今日も眠ってしまった藤枝の背中を撫でながら、ため息をつく。
旭川の社員旅行から帰って以来、藤枝は非常に多忙になった。
本来日曜が休みの筈なのだが、店舗へ呼ばれることが多くなり、祭日だろうが日曜だろうが飛んでいく。部屋にいるときでもネットでの注文に応じて、今日のようなことになる。
つまり、二ヶ月もセックスしていない。
若い頃のように理性を失うことこそ無くなったが、だからといって性欲が治まったわけではない。
抱きたいのだ。藤枝を。
しかしこんなに疲れ切るほど打ち込んでいる仕事を邪魔する気は毛頭無い。
ゆえにせめてもと、身体を触っている。マッサージなどと理由をつけて。だから健朗の手は、眠った藤枝の背中や尻や太ももなどを撫で続けている。
そして髪を撫で、そこにキスを落として、寝顔が安らかであることに安心しつつ、リビングに戻って灰皿の始末をし、テーブルを拭いて、自分も眠る支度をするのだった。
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