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8.二人きりの旅行
123.来いよ、ばかやろ※
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次の瞬間、ワンアクションで両足が上がる。つか丹生田の腕で持ち上げられたんだ。
「あぇ」
さっきまでさんざんヌチャヌチャ音立ててたトコにググッと圧がかかる。そのまんま押し広げられてく。ゆっくりゆっくり、押し広げて太いのが入ってくる。
「あっ、うぁ、にゅ……っ」
のしかかる逞しい身体。腕に俺の足がかかってるから密着はしない。んでも近い。めちゃ近い。息がかかるくらい。じっと見てくる黒目の大きい目を見返す。睨むみたいな超マジな目。
一瞬も逸らさず俺の目を見ながら、ゆっくりゆっくり、丹生田は動いてる。ふいごみてーな、ふう、ふうって息がくちから漏れて、すげぇ迫力で、ちょい怖いくらいで
「にゅ、ちょ、……く、ぁ……、んまっ」
思わず声を漏らすと、丹生田は動きを止めて、ギッと歯を食いしばった。
「痛、いか」
正直、ちょい痛みはあったかも、だけど俺は必死に首を振った。だって気になんない程度だったし、パニクっただけだし。実際はちょびっとだけ振った感じになってたかもだけど、体感的にはブンブン振った。
だって待てって、言ったら─────
丹生田はやめちまう。きっと我慢する。色々我慢して、耐えてる丹生田が、また我慢する。
「……へい、きだ、つの」
だから精一杯、ニカッと笑ってやった。
「俺も、やりてえ、つったろ」
いつもはあんま表情の無い目が見開かれて、息止まったみてーに固まった。
丹生田の鼻の頭から、汗がぽたっと頬に落ちてきた。勢いに押されてパニクり気味だったけど、なんとか呼吸を整える。こっちも目を逸らさず、じっと見返しながら言ってやる。
「気にすんな。来いよ」
そんだけ言って腕を丹生田の首後ろにかける。つうか引き寄せてやろうとしたのに、チカラ入んなくて縋るみたいになった。
けど笑う。ニカッと笑う。
「ばかやろ」
だって丹生田が言ったんだ。笑顔がイイって言ったんだ。
また丹生田の顎がふくれた。
手をかけてたから、首とか顎とか肩とかの筋肉が膨張つか盛り上がって、そんで、ふんっ、と鼻から息が
「え」
突っ込んでるモンも、なぜか膨張し……た、よな…?
「うっそ……」
歯を食いしばった顔のまま、それまで慎重なくらいだった突き込みがズンと勢いを増した。
「うぁっ」
声出た。出ちまった。「す……まん……」きしむような唸り声が降ると同時、また顎がふくれて眉根に深い縦皺が刻まれ、腰がズンズン動く。当然ナニもズンズン入ってくる。腰が動くたんびに少しずつ奥へと突き込まれてく。それが分かる。
「んっ、ぅ、……ふ」
揺さぶられて、もう声とか気にしてる場合じゃねえ感じで
「う、ぁ、は」
それよりなんか、睨むみたいな、なのに我慢してるみたいな、なにかお願いしてるみたいな、めちゃマジに、ガン見してくる、そんな目、見てたら、見てたらなんかなんか、分かんねえモンがこみ上がって、溢れそうになってて
「にゅ、だ」
首にかけてた手が落ちそうになって肩にしがみつく。尻に丹生田の腰が当たった。つまり全部入ってんだ。あのデカいのが、全部。丹生田が、全部。そのまんま揺さぶられる。
必死な丹生田が見てる。汗だくになって見てる。
睨むみたいに、願うみたいに─────
も、たまんね
「……だ、……す、き……にゅ……」
揺すられて、色々抜けて、まともにしゃべれねえ。けど言いたかった。
いま溢れそうになってんの、零れる前に、どっか行っちまう前に、言っちまいたかった。
「好き、……にゅ、うだ」
丹生田の顎がふくれ、ぐうう、と唸るような音が喉から漏れ、眉間の縦皺が深くなり、むしゃぶりつくように、キスされた。
さっきまでみてーな、優しいんじゃねえ。
ただひたすら唇押し付けて、吸い上げて、声もなにも、唇の中に吐き出すしか無い。足引っかけたままの腕が身体を抱きしめてくる。こっちも必死に腕を回す。丹生田の腕や首や、胸や背中や、そんな筋肉が動いて、ただ、今、この為だけに動いて、荒い鼻息が頬に、そんで腰がガツガツ尻に当たる。
唐突にキスが終わり、首筋に唇が吸い付く。そんで足ごと、痛いくらい腕に力がこもる。抱きしめられてる。息止まりそう、酸素補給したくてもできないくらい、きつく、きつく、きつく。
手から力が抜けて、でも丹生田を離したくなくて、必死になにかつかんだ。そのまんま
いま、腕ン中に丹生田が、いる
今は、今だけは、俺だけの、丹生田─────
*
「や、めっ、……だっ」
指を締め付ける柔熱。眼下の藤枝が紅潮し、汗ばみ、髪を振り乱して、あられも無い声を上げている。
腹筋と背筋を駆使して藤枝の上に身を倒した体勢を維持しつつ、片手で前立腺を刺激し続ける。
白い喉を反らせ、視点の定まらぬ瞳に涙を滲ませ、肩や胸や腹がビクビクと痙攣し。自分の指で、藤枝が……そう思うだけで、健朗自身も限界近くまで滾っていた。
「にゅ……や、や……めぇ……っ」
このまま永遠に見ていたい。
そんな欲望と、涙の滲む目に胸が締め付けられるような想い。せめぎ合う二つの狭間で、健朗は奥歯を噛みしめつつ、非常な興奮と深い満足を覚えている。気持ちよさそうな顔を見下ろしている健朗のくちもとは、無自覚に緩んでいた。
藤枝のきれいな目が、健朗を一瞬睨んですぐ閉じられる。
「じゃ……ねっ、……っ」
怒られてしまった。
これは早くイかせろと言うことだろうと判断した健朗の手は、彼の股間へ移動しペニスを握った。そのままそろそろと動かす。むろん、前立腺は刺激し続ける。それまで藤枝の髪や頬を撫でていたのは、単に触りたいからであったのだが、ここは自分より藤枝を優先するべきである。
「あ、ぅあ……っ……っっ」
それになにより健朗自身が、だいぶ前から臨界点に達していた。
早く中に、指では無く自分自身を─────
本音ではずっとそう思っている。だが今日は藤枝を気持ちよくすることこそが最重要と考えているのだ。前回、暴走気味になって、自分だけが満足してしまったことを、健朗は深く反省していた。
そこで忌々しいが姉崎の教えを思い出し、ペニスの先端、尿道口にかなり強めに爪を立てた。これが有効だと、偉そうに笑いながら姉崎は言っていたのだ。
すると胸まで赤く染まった藤枝は、言葉にならぬ声を漏らしつつ白い喉を反らせた。
「く、……ぅあっ、あっ……」
全身が緊張し、藤枝の腹に白濁が吐き出された。その瞬間、健朗は少し身を起こしていた。第一目標を達したという満足と安堵もある。それ以上に眼前の裸体に、その表情に、見とれてしまっていた。
胸が、腹が、荒い呼吸に呼応して動いている。白い肌が紅潮して汗ばみ、唇は少し開いて、荒い呼吸を漏らしている。乱れた髪が汗で濡れ、額に張り付いていた。
思わず手を伸ばし、指でそれを後ろに流す。そのまま髪を撫で、目を閉じたままの表情に見とれていたが、そこに疲労が見えるような気がして少し心配になった。もしかしたら苦痛があったのでは無いか。早く埋め込みたいと逸る気持ちを抑えつつ、それでもしっかりコンドームを装着しながら、健朗は問いかけた。
「気持ちよかったか」
満足しているだろうという予測を、ただ裏付けたいだけだったが、そんな問いかけが無粋の局地であるなどということを、健朗は知らない。
ふっと開いた瞳が。健朗を捉える。そしてすぐに呆けたようだった表情が歪んだ。明るい茶の瞳が、半ばまぶたに隠れ、そこに涙が滲んでいる。
「にゅうだぁ~」
涙声を聞き、健朗は焦る。
「どうした、痛かったか」
やはり苦痛だったのか。
あまりにも無防備な藤枝がきれいで、反応が嬉しくて、永遠に見ていたいような気分になってしまっていた。やはり自分を優先させてしまっていただろうか。
「すまん」
髪を、頬を、肩や首を撫でる。謝罪の気持ちはもちろんあった。だがそれだけでは無く、本音では触っていたいという気持ちも確かにあった。自分の浅ましさを嫌悪しつつ、焦りを押し隠して「すまん」もう一度謝る。
すると藤枝は、ふっと笑った。優しい、笑顔だった。
「だいじょぶ」
「本当か」
無理をしているのではないか。
そんなことを思いつつ、やはり手は髪や頬を撫でる。ふっくらしたその唇にキスをしたいという衝動と闘いつつ、精神力を最大限発揮して顔を近づけるにとどめる。
藤枝が
喉の奥を鳴らすように笑った。明るい茶の瞳は、虹彩に僅かな緑が散っている。額は秀で、通った鼻筋はまっすぐで少し太い。くちびるはふっくらとして、藤枝の優しさ、包容力を感じさせる。けして女性的では無い美しさ。
「……泣くか………ばか」
強い電撃を受けたかのように、思考不能になる。
「あぇ」
さっきまでさんざんヌチャヌチャ音立ててたトコにググッと圧がかかる。そのまんま押し広げられてく。ゆっくりゆっくり、押し広げて太いのが入ってくる。
「あっ、うぁ、にゅ……っ」
のしかかる逞しい身体。腕に俺の足がかかってるから密着はしない。んでも近い。めちゃ近い。息がかかるくらい。じっと見てくる黒目の大きい目を見返す。睨むみたいな超マジな目。
一瞬も逸らさず俺の目を見ながら、ゆっくりゆっくり、丹生田は動いてる。ふいごみてーな、ふう、ふうって息がくちから漏れて、すげぇ迫力で、ちょい怖いくらいで
「にゅ、ちょ、……く、ぁ……、んまっ」
思わず声を漏らすと、丹生田は動きを止めて、ギッと歯を食いしばった。
「痛、いか」
正直、ちょい痛みはあったかも、だけど俺は必死に首を振った。だって気になんない程度だったし、パニクっただけだし。実際はちょびっとだけ振った感じになってたかもだけど、体感的にはブンブン振った。
だって待てって、言ったら─────
丹生田はやめちまう。きっと我慢する。色々我慢して、耐えてる丹生田が、また我慢する。
「……へい、きだ、つの」
だから精一杯、ニカッと笑ってやった。
「俺も、やりてえ、つったろ」
いつもはあんま表情の無い目が見開かれて、息止まったみてーに固まった。
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「気にすんな。来いよ」
そんだけ言って腕を丹生田の首後ろにかける。つうか引き寄せてやろうとしたのに、チカラ入んなくて縋るみたいになった。
けど笑う。ニカッと笑う。
「ばかやろ」
だって丹生田が言ったんだ。笑顔がイイって言ったんだ。
また丹生田の顎がふくれた。
手をかけてたから、首とか顎とか肩とかの筋肉が膨張つか盛り上がって、そんで、ふんっ、と鼻から息が
「え」
突っ込んでるモンも、なぜか膨張し……た、よな…?
「うっそ……」
歯を食いしばった顔のまま、それまで慎重なくらいだった突き込みがズンと勢いを増した。
「うぁっ」
声出た。出ちまった。「す……まん……」きしむような唸り声が降ると同時、また顎がふくれて眉根に深い縦皺が刻まれ、腰がズンズン動く。当然ナニもズンズン入ってくる。腰が動くたんびに少しずつ奥へと突き込まれてく。それが分かる。
「んっ、ぅ、……ふ」
揺さぶられて、もう声とか気にしてる場合じゃねえ感じで
「う、ぁ、は」
それよりなんか、睨むみたいな、なのに我慢してるみたいな、なにかお願いしてるみたいな、めちゃマジに、ガン見してくる、そんな目、見てたら、見てたらなんかなんか、分かんねえモンがこみ上がって、溢れそうになってて
「にゅ、だ」
首にかけてた手が落ちそうになって肩にしがみつく。尻に丹生田の腰が当たった。つまり全部入ってんだ。あのデカいのが、全部。丹生田が、全部。そのまんま揺さぶられる。
必死な丹生田が見てる。汗だくになって見てる。
睨むみたいに、願うみたいに─────
も、たまんね
「……だ、……す、き……にゅ……」
揺すられて、色々抜けて、まともにしゃべれねえ。けど言いたかった。
いま溢れそうになってんの、零れる前に、どっか行っちまう前に、言っちまいたかった。
「好き、……にゅ、うだ」
丹生田の顎がふくれ、ぐうう、と唸るような音が喉から漏れ、眉間の縦皺が深くなり、むしゃぶりつくように、キスされた。
さっきまでみてーな、優しいんじゃねえ。
ただひたすら唇押し付けて、吸い上げて、声もなにも、唇の中に吐き出すしか無い。足引っかけたままの腕が身体を抱きしめてくる。こっちも必死に腕を回す。丹生田の腕や首や、胸や背中や、そんな筋肉が動いて、ただ、今、この為だけに動いて、荒い鼻息が頬に、そんで腰がガツガツ尻に当たる。
唐突にキスが終わり、首筋に唇が吸い付く。そんで足ごと、痛いくらい腕に力がこもる。抱きしめられてる。息止まりそう、酸素補給したくてもできないくらい、きつく、きつく、きつく。
手から力が抜けて、でも丹生田を離したくなくて、必死になにかつかんだ。そのまんま
いま、腕ン中に丹生田が、いる
今は、今だけは、俺だけの、丹生田─────
*
「や、めっ、……だっ」
指を締め付ける柔熱。眼下の藤枝が紅潮し、汗ばみ、髪を振り乱して、あられも無い声を上げている。
腹筋と背筋を駆使して藤枝の上に身を倒した体勢を維持しつつ、片手で前立腺を刺激し続ける。
白い喉を反らせ、視点の定まらぬ瞳に涙を滲ませ、肩や胸や腹がビクビクと痙攣し。自分の指で、藤枝が……そう思うだけで、健朗自身も限界近くまで滾っていた。
「にゅ……や、や……めぇ……っ」
このまま永遠に見ていたい。
そんな欲望と、涙の滲む目に胸が締め付けられるような想い。せめぎ合う二つの狭間で、健朗は奥歯を噛みしめつつ、非常な興奮と深い満足を覚えている。気持ちよさそうな顔を見下ろしている健朗のくちもとは、無自覚に緩んでいた。
藤枝のきれいな目が、健朗を一瞬睨んですぐ閉じられる。
「じゃ……ねっ、……っ」
怒られてしまった。
これは早くイかせろと言うことだろうと判断した健朗の手は、彼の股間へ移動しペニスを握った。そのままそろそろと動かす。むろん、前立腺は刺激し続ける。それまで藤枝の髪や頬を撫でていたのは、単に触りたいからであったのだが、ここは自分より藤枝を優先するべきである。
「あ、ぅあ……っ……っっ」
それになにより健朗自身が、だいぶ前から臨界点に達していた。
早く中に、指では無く自分自身を─────
本音ではずっとそう思っている。だが今日は藤枝を気持ちよくすることこそが最重要と考えているのだ。前回、暴走気味になって、自分だけが満足してしまったことを、健朗は深く反省していた。
そこで忌々しいが姉崎の教えを思い出し、ペニスの先端、尿道口にかなり強めに爪を立てた。これが有効だと、偉そうに笑いながら姉崎は言っていたのだ。
すると胸まで赤く染まった藤枝は、言葉にならぬ声を漏らしつつ白い喉を反らせた。
「く、……ぅあっ、あっ……」
全身が緊張し、藤枝の腹に白濁が吐き出された。その瞬間、健朗は少し身を起こしていた。第一目標を達したという満足と安堵もある。それ以上に眼前の裸体に、その表情に、見とれてしまっていた。
胸が、腹が、荒い呼吸に呼応して動いている。白い肌が紅潮して汗ばみ、唇は少し開いて、荒い呼吸を漏らしている。乱れた髪が汗で濡れ、額に張り付いていた。
思わず手を伸ばし、指でそれを後ろに流す。そのまま髪を撫で、目を閉じたままの表情に見とれていたが、そこに疲労が見えるような気がして少し心配になった。もしかしたら苦痛があったのでは無いか。早く埋め込みたいと逸る気持ちを抑えつつ、それでもしっかりコンドームを装着しながら、健朗は問いかけた。
「気持ちよかったか」
満足しているだろうという予測を、ただ裏付けたいだけだったが、そんな問いかけが無粋の局地であるなどということを、健朗は知らない。
ふっと開いた瞳が。健朗を捉える。そしてすぐに呆けたようだった表情が歪んだ。明るい茶の瞳が、半ばまぶたに隠れ、そこに涙が滲んでいる。
「にゅうだぁ~」
涙声を聞き、健朗は焦る。
「どうした、痛かったか」
やはり苦痛だったのか。
あまりにも無防備な藤枝がきれいで、反応が嬉しくて、永遠に見ていたいような気分になってしまっていた。やはり自分を優先させてしまっていただろうか。
「すまん」
髪を、頬を、肩や首を撫でる。謝罪の気持ちはもちろんあった。だがそれだけでは無く、本音では触っていたいという気持ちも確かにあった。自分の浅ましさを嫌悪しつつ、焦りを押し隠して「すまん」もう一度謝る。
すると藤枝は、ふっと笑った。優しい、笑顔だった。
「だいじょぶ」
「本当か」
無理をしているのではないか。
そんなことを思いつつ、やはり手は髪や頬を撫でる。ふっくらしたその唇にキスをしたいという衝動と闘いつつ、精神力を最大限発揮して顔を近づけるにとどめる。
藤枝が
喉の奥を鳴らすように笑った。明るい茶の瞳は、虹彩に僅かな緑が散っている。額は秀で、通った鼻筋はまっすぐで少し太い。くちびるはふっくらとして、藤枝の優しさ、包容力を感じさせる。けして女性的では無い美しさ。
「……泣くか………ばか」
強い電撃を受けたかのように、思考不能になる。
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