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3.守り隊結成<9月9日>
しおりを挟む鬱々とした気分はなかなか晴れてくれない。昨日鷺山の家に行って話したけれど、胸中のもやもやは消えてくれることがなく。むしろもっと見えなくなった気がする。
でも収穫はあった。それは、あの予知の日付が絞りこめたということ。今日は九月九日だから、祭りの日まで猶予がある。
猶予といいながら、私はぼんやりとしてばかりだった。
『じゃあ。香澄さんはどうしたいですか?』
それは昨日言われたこと。その通りだ。私は自分が何をしたいのかわからない。死にたくない、けれど鷺山が率先して死ににいくのも嫌だ。あの未来の通りになれば、私は鷺山によって生かされたことになる。返せない借りを作る。他人に頼って生きる。それらの単語が頭に浮かぶとうんざりした。それが嫌だから、一人でいたいのに。
「じゃあ次が最後の連絡だ。こないだ話した月鳴神社例大祭のボランティア募集だが、締め切りは今日だからな」
月鳴神社の名前が出て、体がびくりと震えた。終礼で、教卓に立つ先生が話している。
「毎年恒例の行事で一,二年生しか参加できない。チャンスは今年までだぞ。できればクラスから三人出したいんだが、まだ二人しかいない。このクラスからは古手川と藤野が決まってる」
言われてみれば去年もそんな話をしていた。地域貢献ボランティアと言いながら、蓋を開ければ雑用だろう。想像がつく。希望者が二人も出ただけすごいじゃないか。私なら絶対にやらない。
「今日の放課後に集まるから、希望者はすぐ申し出てくれ。以上」
先生が話し終えたところで日直の生徒が「起立」と叫ぶ。それに合わせて椅子のずれる音。鬱々とした授業がやっと終わる。あとは掃除をして終わりだ。
ふと廊下に目をやれば、隣のクラスから出てきたらしい鷺山がいた。
「香澄さん、こんにちは」
目が合うなり挨拶する彼の様子から、急いでいるのだとわかった。昨日のようにゴミ箱は持っていないし、肩に鞄を提げている。掃除があるはずなのにどこに行くのだろう。
「忙しい?」
「はい。急いでいます」
「ふうん……どこ行くの?」
この数日でわかったことは、気になったらすぐに聞かないと鷺山は教えてくれない。日付のことだって話題に出たから教えてくれただけだ。だから軽い気持ちで聞いたのだけれど。
「月鳴神社例大祭のボランティアです」
それはつい先ほど先生が言っていたもの。鷺山にボランティアなんて似合わないから意外だった。マイペースすぎるこの男が人助けなんてできるのか。
「ボランティアとか好きなの?」
「いえ。でも今回は、予知のことがあるから例大祭に関わろうと思いました」
「関わるって……あんたにとって例大祭はよくないことでしょ。自分が死ぬかもしれないイベントに、どうして関わるの? 家に引きこもってたら回避できるかもしれないのに」
「回避はしません。僕はお祭りに行って、予知の通りに死にます。それが香澄さんを守る方法ですから」
未来は、日付までわかっているのだから、神社付近に行かなければ生きる可能性があるのに。なのに彼は率先して祭りに関わろうとしていた。
ボランティアなんて参加しなければいい。祭りなんて行かなければいい。なのにどうして、自ら飛びこんでいく。好きだの守るだの勝手なことを言って、私は鷺山のことぜんぜん理解できていないのに。
「ボランティア希望者は今から集まるそうなので、行ってきます」
引き止める間なく鷺山は行ってしまった。
腹が立った。予知の時から今日まで、色んなものに振り回されっぱなしで頭が痛い。鷺山が『香澄さんを守る』なんて安易に口にするから、イライラする。
私は鞄をひっつかんで走った。行き先は鷺山ではなく、職員室方面。
「先生!」
職員室に戻ろうとしていた先生を見つけて声をかける。
「お、なんだ鬼塚か。珍しいなあ……ってお前、顔真っ赤だぞ」
「……っ、これは」
走ったからです、と言い返したいけれどそれだけじゃないのはわかっている。あいつが変なことを言うから、のぼせてしまいそうなほど熱い。変人鷺山め。
「私も月鳴神社例大祭のボランティア、やりたいです」
告げると、先生は驚きに大きく目を見開いて、固まっていた。聞き間違いを確かめるように震える指が私に向けられる。
「お、鬼塚が……? なんか間違って……るよな?」
「間違いじゃないです。ボランティアやるって言ってます」
「……え、ええ……どうした何かあったのか? いじめられたか?」
「ないです。気が向いたので参加するってだけです。深読みしないでください」
先生が驚くのも無理はない。入学してから今日までの私は、クラス活動に無関心、友達も作ろうとしない。仲のいい子でグループを作れと言われたって一人でいたいと主張するような子だった。このクラスでボランティア参加しない生徒の筆頭として認識していただろう。
「やるってんなら助かる……が、本当にいいのか?」
「やります」
「お、おう……」
それから先生は職員室の中を覗く。目的となる先生は見当たらなかったらしい。
「そろそろ打ち合わせが集まってるかもしれないぞ。一年A組の教室だけど……様子見て、打ち合わせが始まってるようなら諦めろよ。今度はもっと早く名乗り出てくれ」
先生に頭を下げて、再び私は駆けだした。
一年A組の教室に着いて様子を見る――なんてことはしない。打ち合わせが始まっていたとしても諦めてやるものか。乱入だ、乱入。
迷わず、力強く扉を開け放つ。バーン、と盛大な音が教室や廊下に響き渡った。
先生の予想通り打ち合わせが始まっていたらしく、静かな部屋に突然乱入者がやってきたのだ。生徒たちの視線がこちらに集うのは仕方のないこと。
「……遅れました」
あまりにもみんながこちらを見ているので気まずさに耐えきれず言った。
注目されることの恥ずかしさに視線を逸らすと、教室の奥に鷺山がいる。どういうわけか彼だけはこちらを見ていない。肩をぷるぷると震わせて俯いている。あれはもしかすると、笑っているのだろうか。
しんと凍りついた教室で動いたのは先生だった。
「び、びっくりしたよ……あんた、もう少し静かに扉開けられないのかい」
「二年B組の鬼塚香澄です。遅れました」
「ちょうど自己紹介をしていたところだから大丈夫だよ。席は二年B組の列に座って。藤野さんの後ろね」
私のクラスからは三人。古手川さん藤野さんが座っていて、その後ろが空いている。そこに腰掛けると、隣は鷺山だった。二年C組列の一番後ろに座った鷺山はまだ笑いが止まらないらしく、手で口元を押さえている。
「さっき笑ってたでしょ」
「笑っていません」
「嘘。絶対笑ってた」
「あれは香澄さんも悪いです。派手な登場の上、般若の顔をしてやってくるのは……ふふ、笑うなと言われても無理です。ふふ」
楽しそうで何より。般若とか言われた気もするし、笑い方が不気味だけど放っておく。
教卓には今回のまとめ役となる先生がいた。二年の学年主任で担当科目は生物、あだ名はハナ先生。本名に花という字は入らないけれど、花柄の服を好み、白衣の下は花柄のシャツだ。体格がなかなか良く、悪くいえば横に大きめ。なのでいつだったかの夏は随分と横に引っ張られたヒマワリ柄の服だった。そんなシャツどこで売っているのか不思議で仕方ない。
ハナ先生は兎ヶ丘出身だ。兎ヶ丘高校卒業生といっても三十年ほど前の話らしいが。学校だけでなく町からも慕われている人だ。
そのハナ先生が全員の顔を見渡した。
「みんな、お手伝い希望ありがとうね。今日から例大祭までの間、みんなは『例大祭守り隊』の仲間だ。一年生は来年もあるけど、二年生は今年が最後だから。ほら三年生になったら受験とか忙しくなるだろう? だから気合い入れていこう」
守り隊。なんとも薄っぺらい名前がついたものだ。
「主な活動内容は、例大祭の間の迷子誘導、ゴミ拾い等。旧道に本部テントを出すからそこで待機して困った人がいたら助けること。ここらへんの活動は去年参加してた子が詳しいだろうね」
そこで区切ってこちら側に視線を向ける。といっても私は去年参加していないから違う。私のクラスの藤野さんが相づちを打っていたので、去年も参加していたのは彼女だ。
「日程は九月二十日と二十一日です」
黒板に書かれた日付に違和感があった。だって例大祭は三日間のはず。
すかさず鷺山が手をあげた。
「例大祭最終日は活動なしですか?」
「二十二日は町内会が担当するからね、高校生ボランティアは初日と二日目だけ」
そこで鷺山は何やら考えこんでしまった。詳しく聞きたいけれど先生の話が続いているから聞きづらい。
日程を話し終えると今度は例大祭当日までの準備に移った。どうやら守り隊は毎年ポスターを作っているらしい。黄色のチョークでポスターについてと書いている。
「今年は三枚掲示予定です。テーマは祭りに関することなら自由。去年は『ゴミを持って帰ろう』と『落とし物注意』だったね」
このポスターは各自が作ってくるらしい。十四日に提出して出来のよいもの三枚を選ぶそうだ。各自と言っているけれど友達と作ってもいいしクラスで製作してもいいそうだ。おそらく大半はそうするのだろう。
簡単な顔あわせと日程説が終わり、先生の合図でみんなが立ち上がる。やっと解放された。
私は鷺山の様子が気になっていた。ハナ先生に質問していたのは何か意味があると思う。聞きたいのにこういう時の鷺山は妙に素早くて、打ち合わせ終わればすぐに教室を出て行ってしまった。別れの挨拶を知らない男め。
彼を追いかけるべくと私も立ち上がる。すると前に座っていた古手川さんと藤野さんがこちらにやってきた。
「鬼塚さんも参加するんだね!」
これは藤野さん。いつも髪を結っているし肌も日に焼けている。どこから見ても運動部というアクティブな姿で、性格もハキハキと明るい。私が日陰のキノコなら、彼女は日向のタンポポだ。
「こういうの嫌いだと思ってたからびっくりしたよ。クラスでもあんまり喋らないし」
「……あー、うん」
お察しの通り、こういうのは嫌いです。水を差すのも面倒なので言葉を濁す。
「どうして参加しようと思ったの?」
次に口を開いたのは古手川さんだった。小柄な彼女が藤野さんの隣に立つと中学生のように見えてしまう。騒ぐタイプというよりは、静かに相手の話を聞く子。だから藤野さんと相性がいいのかもしれない。
どうして二人のことに詳しいのかというと、小学校中学校が同じだったから。小学校から高校まで顔を合わせていれば、それなりに覚える。
さて参加理由について聞かれているけれど、どう答えよう。深堀りされでも面倒なので話をずらすことにする。
「私よりも二人は? なんで参加したの?」
「うちは、家が月鳴神社に近いからさー。家の前でお祭りされるぐらいならボランティアやろうかなって」
「私は、おじいちゃんが町内会役員やってたから……」
藤野さんと古手川さんの答えは想像よりもしっかりしたものだった。勢いで参加した私とは違う。
「それで。ポスターのことなんだけど」
藤野さんが言い出したところで、察する。この話は長くなる。
それよりも大事なのは鷺山のことだ。あいつが何に気づいたのか、聞き出さないと。
「ごめん。急いでるから」
二人を置いて、私は教室を出る。二人とも残念そうな顔をしていたけれど、クラスメイトと馴れ合うためにボランティアに参加したわけじゃない。友達なんていらない。
鷺山に追いついたのは昇降口だった。靴を履き替える背中に声をかける。
「話あるんだけど」
「はい」
「ここじゃ人が多いから、帰りながら話そう」
提案すると鷺山は頷いた。
並んで歩き学校の敷地を出たところで切り出す。周りには遅めに学校を出た帰宅部がいたけれど距離があるから話は聞かれないと思った。
「さっき、打ち合わせの時に何か考えてたでしょ」
「はい」
「わかったことあるなら教えて。当事者はあんただけじゃなくて、私もだから」
鷺山は特に表情も変えず、淡々と「わかりました」と答えた。
「ハナ先生の話を聞いて、僕が死ぬ日が判明しました」
「例大祭をやる三日間のどこか、じゃなくて?」
「はい。間違いなく、二十二日です」
どうやって日付を絞りこんだのか。考えてみるけれどいまいちわからない。そんな私のために鷺山が解説してくれた。
「予知で見た『香澄さん』と『僕』が立っていたのは本部テントの近く。そこには高校生ではなく、町内会の人たちがいました」
「あ……確かにお酒飲んで酔っ払ってるおじさんたちがいた」
「本部テントはいくつも設置されると思いますが、あのテントの奥には兎ヶ丘高校制作のポスターが貼ってありました。ということは、守り隊が待機するのはあのテントで間違いありません。あと――」
ぞわりと肌が粟立った。鷺山の言っていた通り、事件が起きる場所の近くにはテントがあって町内会の人がいた。その奥にはポスターも。
この人は、鷺山はすごい。冷静に物事を見ている。
対して私は何をしているのだろう。何もできていない。
「……香澄さん?」
呼ばれてはっと我に返る。彼がこちらを覗きこんでいた。
「話、聞いていますか? 僕は現地調査に行こうと思いますが」
「現地調査って?」
「事件が起きる場所を見てきます。強盗が出てきた家、少し気になるので」
私の返答を待たず鷺山は歩き出す。ついてこいともくるなとも言わない。彼はマイペースだ。そうなれば私だって自由に行動してやる。
「私も行く」
兎ヶ丘高校から月鳴神社に向かうまでは遠い。自転車が欲しい距離だ。中間地点と言える場所に懐かしの兎ヶ丘小学校がある。小学生たちが集まってサッカーや鬼ごっこで放課後を楽しんでいる。ラウンドが騒がしい。
横目に見ながら長い下り坂を下りる。下り坂を終われば住宅街。そして、月鳴神社だ。
「……場所は旧道でしたね」
鷺山は月鳴神社に寄らず、旧道に向かう。
この道が例大祭で歩行者天国となる通りだ。今日は例大祭ではないので人通りは少なく、車も走っている。昔の道ならではの狭い歩道を私たちは一列になって歩いた。
「もうすぐ例の場所です」
旧道中ほどまで進むと鷺山が言った。お祭りの時はここらは屋台が出ていたし、暗かったからあまり覚えていない。迷わず歩いていくところから彼はちゃんと周りを見ていたのだ。
「どうして現地調査しようと思ったの? 家が気になるって言ってたけど」
「家というよりは、あの時出てきた子が気になりました。怪我をして出てきた女性に心当たりはありませんか?」
そう言われても。出てきた女性の顔はあまり覚えていない。顔に血がついていたこともあるし、肩の怪我がひどかったのでそちらに意識が向いていた。でも言われてみれば、どこかで会ったかもしれない。
その疑問はまもなく解決した。鷺山が足を止めた家、その表札に書いてあった名は知っているもの。
「……やはり、そうですよね」
表札には『藤野』と書いてあった。鷺山も同じ人物を思い浮かべたらしく、眼鏡の位置をずらしながら呟く。
「香澄さんのクラスの藤野ななさんの家だと思います」
「じゃあ、あの日に怪我をするのは藤野さん?」
鷺山は淡々と、表情一つ変えずに頷いた。
「……いつ、気づいたの」
「今日です。守り隊の顔あわせで藤野さんを見て、ピンときました。予知で右肩を怪我していたのはこの人だと」
これから起こる未来、鷺山だけじゃなく藤野さんも怪我をする。彼女と話したばかりなのもあって言葉が詰まった。
立ち尽くす私に声をかけることもなく、鷺山は踵を返した。
「いいの?」
「はい。目的は達成したので帰ります」
現地調査と言いながらほんの一瞬。移動時間の方が長かった。
私だけここに残ったところでやることはないので、彼の後を追いかける。
「次はどうするの? どこかに行く? それとも藤野さんに会う?」
けれど鷺山はあっさり「いえ」と否定してしまった。
「気になっただけですから。怪我をするのが藤野さんだとわかったところで、僕はどうする気もありません」
「は……なにそれ。藤野さんはどうでもいいってこと?」
「余計な手を出して未来が変わるぐらいなら僕はこのままでいい。ここに来たのは知的好奇心を満たすためです」
こちらを振り返ることなく、まっすぐ前だけを見ている。鷺山はこの未来を受け入れているのだ。すぐ後ろを歩いているのに遠く離れている気がした。
行きは楽だった長い下り坂も帰り道では、地獄の上り坂に変貌する。中間地点となる兎ヶ丘小学校のところで足を止めると、まだ子供たちがサッカーをしていた。
「香澄さんは、ここの卒業生でしたよね」
「そうだけど……あんまりいい思い出ないから」
いつもなら、あっさりとした返事をして歩き出しそうなところを、鷺山はまだ小学校を見つめていた。
「……香澄さんは、どんな小学生でしたか?」
珍しいことを聞く。そんなの、周りと関わらないようにしている私を見ていれば想像できるだろう。ひねくれた気持ちになりながら答える。
「冷めてる子だった。特に小学校四年生ぐらいから」
「なるほど。今も冷めてますもんね、香澄さん」
「鷺山に言われたくないんだけど」
どちらの方が冷めているかはさておき。可愛げのない子供だったことは認める。両親にも似たようなことをよく言われた。
「小学校三年ぐらいまでは友達いたけど、途中でそういうのいらないなって気づいた」
「どうしてですか?」
「人って怖いんだと思った。私が信じているものを、みんな簡単に踏みにじっていく」
それは友達やクラスメイトだけでなく、両親や周りの人ぜんぶ。私が大事にしまっていた思い出を、土足で踏み荒らして傷つけていくから。
視界の端に飼育小屋があったけれど、私は目をそらす。
「私の話をしたって楽しくないよ。『将来の夢なし』のつまらない小学生だったから」
この話題を続けていたくなかった。嫌な話題から逃げるために話を振る。
「鷺山は? 将来の夢とかあるの?」
彼なら一人で黙々と行う仕事が向いていそうだ。猫背を治せばスタイルはいいのだから白衣が似合うと思う。研究室に引きこもる仕事なんて向いてそう。
鷺山が答えてくれるまでの間、勝手な想像を繰り広げる。どれも一人でする仕事ばかり、社交的な職業は一切浮かばない。山奥の陶芸職人とか霞を食べて生きる仙人――と想像していたところで、やっと鷺山の口が動いた。
「……救急救命士になるのが夢でした」
救急救命士といえばあれだ。救急車に乗って救命処置をする人。予想を大きく裏切るものだ。救急車に乗る鷺山を想像しようとしたけれどうまくいかない。似合わなすぎて想像できない。
釈然としない私を一瞥した後、彼は歩き出した。私もその後をついていくけれど、胸中のもやもやは晴れることがない。
将来のことをきちんと考え夢を持っていた鷺山と、人と関わりたくないだけで夢のない私。鷺山は冷静に回りを見る能力があるけれど私にはない。人間としてどちらが優秀であるかと問えば、間違いなく彼だ。
生き残るのは私でいいのか。生きるべきは鷺山じゃないか。心のもやはいつの間にか雨雲になっていて、マイナス思考の雨が降る。
私は、何がしたいのだろう。
この雨はしばらく降り続ける気がした。
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