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牙を剥く狂気
花言葉
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私は自分の心に嘘をついてた。
前世は前世と言っていながら、心のどこかでリュシュオンの事を忘れられなかった。レムとして生きた記憶、感情が私の奥深くに根付いている。
(でも、どうさてもそれを認めたくなかった…)
それを認めてしまったら"私"という存在が、"私"の存在に塗り潰されて消えてしまう様に感じたから。
「…気の所為だよ」
それしか言えなかった。
まだ、心のどこかでその事が怖くて認める覚悟が出来なかった。
「…ハァ、わかった。レムリアがそこまで言うならもう何も言わない」
「ごめんね」
(もう少し…もう少しだけ時間をが欲しいの…)
「謝ん無いの!これはレムリアの問題なんだから、アンタの好きにしたらいいんだから」
そう言って、ローズは私の背中を叩く。
かなり強い力だったので前のめりになる。
「……痛い」
「シャキッとしなさい!シャキッと!…ん?」
その時、急にローズが真剣な顔になる。
「………ねぇ、それどうしたの?」
「それ?」
ローズの視線の先には、ローグから貰ったお土産のペンダント。
「あぁ、コレ?…そういえば、何時もは服の中にしまってるから見せるの初めてだっけ?これは前にヴォーグさんにお土産で貰ったんだよ」
どうやら、さっき叩かれた時の勢いで服の中から飛び出した様だ。
「…ねえ、もしかしたらリュシルの勘の事だけど。当たってるかも」
「え?」
「それ、アザミだよね?それの花言葉、知ってる?」
花言葉なんて知ら無いので首を振る。
「アザミの花言葉は色々あるの。"厳格"、"満足"、"独立"、"安心"…そして」
ーー復讐。
「復讐…」
「そう。そんな花言葉があるから、アザミの花は滅多にお土産にしないの。それ、きっと手作りだよ」
その言葉に、小さなペンダントが一気に重くなった様に感じた。
「…まぁ、他にも意味があるからあんまり深く考えなくてもいいんだろうけど。少なからず、お土産として売ってるのもあるしね。でも、一応気を付けた方がいいよ」
「…うん」
(どうして?ヴォーグさんは意味を知ってて、これをくれたの?それとも、たまたま…?)
レムリアの記憶にあるヴォーグさんの優しい笑顔が、少しずつ黒く塗りつぶされていく様だった。
前世は前世と言っていながら、心のどこかでリュシュオンの事を忘れられなかった。レムとして生きた記憶、感情が私の奥深くに根付いている。
(でも、どうさてもそれを認めたくなかった…)
それを認めてしまったら"私"という存在が、"私"の存在に塗り潰されて消えてしまう様に感じたから。
「…気の所為だよ」
それしか言えなかった。
まだ、心のどこかでその事が怖くて認める覚悟が出来なかった。
「…ハァ、わかった。レムリアがそこまで言うならもう何も言わない」
「ごめんね」
(もう少し…もう少しだけ時間をが欲しいの…)
「謝ん無いの!これはレムリアの問題なんだから、アンタの好きにしたらいいんだから」
そう言って、ローズは私の背中を叩く。
かなり強い力だったので前のめりになる。
「……痛い」
「シャキッとしなさい!シャキッと!…ん?」
その時、急にローズが真剣な顔になる。
「………ねぇ、それどうしたの?」
「それ?」
ローズの視線の先には、ローグから貰ったお土産のペンダント。
「あぁ、コレ?…そういえば、何時もは服の中にしまってるから見せるの初めてだっけ?これは前にヴォーグさんにお土産で貰ったんだよ」
どうやら、さっき叩かれた時の勢いで服の中から飛び出した様だ。
「…ねえ、もしかしたらリュシルの勘の事だけど。当たってるかも」
「え?」
「それ、アザミだよね?それの花言葉、知ってる?」
花言葉なんて知ら無いので首を振る。
「アザミの花言葉は色々あるの。"厳格"、"満足"、"独立"、"安心"…そして」
ーー復讐。
「復讐…」
「そう。そんな花言葉があるから、アザミの花は滅多にお土産にしないの。それ、きっと手作りだよ」
その言葉に、小さなペンダントが一気に重くなった様に感じた。
「…まぁ、他にも意味があるからあんまり深く考えなくてもいいんだろうけど。少なからず、お土産として売ってるのもあるしね。でも、一応気を付けた方がいいよ」
「…うん」
(どうして?ヴォーグさんは意味を知ってて、これをくれたの?それとも、たまたま…?)
レムリアの記憶にあるヴォーグさんの優しい笑顔が、少しずつ黒く塗りつぶされていく様だった。
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