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動き出す歯車

ギルバルト

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今日は仕事が休みの日の為、朝から部屋の掃除をしていた。

「ふぅ~。こんなもんかな」

一通り綺麗になった部屋を見渡す。
開けた窓からは、優しい風が入って来て気持ちいい。

「レムリア~。掃除終わった?終わったなら、お使い行ってくれないかしらー」

母の声を聞きながら、ゴミを持って下に降りる。

「何買ってくればいいの?」
「卵とチーズとベーコンにリンゴ。はい、お金。余ったらお小遣いにしていいから。お願いね」
「ん、りょーかい」

家を出てゴミを捨ててから、店のある広場に向かう。

「最初に卵とリンゴを買ってからチーズとベーコンを…ん?」

考えながら歩いていると、視界を何かが横切る。
そちらに目を向けると、路地裏の影から一人の人物が此方を見ていた。私は、その顔に見覚えがあった。

(何してるのよ)

ハァ…と溜息をつき、その人物に声を掛ける。

「何してるんですか…ギル」
「…バレた?」

バレるも何も、此方をガン見しておいて。
何より、その大柄な身体が隠せていない。

「うわぁぁ~ん!!聞いてくれよレムリア~!」

泣きベソをかきながら此方に突進してくる巨体。彼の名はギルバルト。私のニ歳年上でローズの彼氏だ。

どうしたんですか?」
「ロ…ローズに!ローズに嫌われた~!!」

おいおいと泣く彼は、毎回ローズと何かあると私の所にこうして泣きながらやって来る。茶色の髪に同じ色のキリリとした瞳を持つ彼は普段は面倒見の良く年下からアニキと慕われる青年だ。しかし、ローズの事となると情けなくなってしまうのが玉に瑕だ。

(前回は、ローズに臭いって言われて泣いてたなぁ~)

「どうして嫌われたと思うんですか?」
「ローズがおっ…俺の事ウザいって!!ただローズの部屋に忍び込んで彼女を待ってただけなのに!」

はい、アウトー。

それは誰でも嫌になる。
ウザいと言われるだけで済んだのが奇跡くらいだ。

「ギル。彼氏だからって、彼女の部屋に無断で忍び込んだんだからそう言われて当然だよ」
「だって!ローズは美人だから変な奴が忍び込んでないか心配で!」

変質者ギルバルトが変質者を警戒している。何とも救われない話だ。

「それでも…です。ローズの家には、リュシルや両親が居るんだから大丈夫ですよ。それよりちゃんとローズのに謝って仲直りして下さい」

今頃、彼女は彼を待っているだろう。

「許してくれるかな?」
「許してもらえるよう努力するんです。…この前、新しく出来たウサギのペンダントを欲しそうに見てました」
「!!ありがとうレムリア!」

そう行って走り出すギルバルトを呆れた様に見送り、お使いをさっさと終わらせるべく再び足を動かした。







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