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新たな出会い
嫌い
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「終わった~!」
大量にあった洗い物の最後の一皿を洗い終え、レムリアは大きく伸びをする。ずっとしゃがんでいた為に、大きく伸びるとボキボキと骨が鳴った。
「お疲れ様。やっぱり、この量の洗い物は大変だね」
「ですね。ヴォーグさんが手伝いに来てくれてなきゃ、私一人でやる事になってたんですよね…。ヴォーグさん、今日手伝いに来てくれてありがとうございます!」
「レムリアちゃんのお役に立ててよかったよ。それじゃあ戻ろうか」
捲っていた裾を戻し、洗い終わった食器を持って歩き始めたヴォーグさんの後を追う。
「洗い物終わりました。食器は、此処に置けばいいですか?」
「お疲れさん!そうだね、そこに置いといておくれ。こっちも丁度料理が出来たから、配るのを手伝って頂戴」
「わかりました!」
その後は、炊き出しを食べに来た人達や教会の隣に隣接する孤児院の子供達に料理を配った。
そうして、お昼過ぎくらいには作った料理も無くなり、本日の炊き出しは終了となった。
「今日は助かったよ。次の炊き出しは、来月頃だね。その時になったら声をかけるよ」
片付けはアタシ達がやるから帰っていいよと、そう言われたのでローズとリュシルと一緒に教会を後にする。
「今日は疲れたわねー。レムリアはどうだった?」
「ずっと洗い物してたから身体がガチガチに固まって、凄く辛かったよ」
「もー!そうじゃなくて!」
横を歩いていたローズが、勢い良く私の前に立つ。
「ヴォーグさんとはどうだったの?」
「どうって…普通に洗い物したよ?」
「ちっ、がーう!そうじゃなくて、甘い雰囲気になったとか!そういうの!」
彼女は、何を言っているのだろう。
ほぼ初対面の男女がどうやって甘い雰囲気になるというのだろうか。しかも相手は14~15の青年で、私は八歳の子供だ。
(……というか、ローズって結構マセてるよね)
「そんなのないよ」
「えぇ~、本当に?おっかしいな~?」
「何がおかしいの?」
「本当はヴォーグさん、私と同じ料理の手伝いの筈だったんだけどね?ヴォーグさんがレムリアと洗い物したいって言ったの」
「ヴォーグさんが?」
不思議に思う私を見て、だからね?…と続ける。
「レムリアになんか用があるのかと思って」
それが何故甘い雰囲気につながるのだろう。それより一緒に洗い物をしていて特に質問される事を無かった。
(ただ洗い物の方がしたかっただけなのかな?)
それか、レムリア一人だと大変だからと親切心でそう言ってくれたのかも知れない。
「あいつ嫌い」
すると、それまで黙っていたリュシルが突然そう言った。
「リュシル?」
「あいつなんか嫌な感じがする」
そう言って、ギュッとレムリアの服の裾を掴むリュシル。
「何言ってんのよ。どーせ、歳上の素敵なヴォーグさんにレムリアが取られちゃう!…って思って、焦ってるんでしょ?」
「…………そんな事ない。姉さんは黙ってて」
「ふんっ。図星ね」
睨み合う二人を見詰めながら、ヴォーグさんを思い浮かべる。青い少し長めの髪は野暮ったさは無く今時のお洒落な感じに伸ばされ、同じ青は優しげに細められていた。
(何処かで会った様な…無いような)
前世で会った知り合いだろうか?
しかし、誰だか見当が付かない。
「…まっ、いいか」
知っている人物なら、そのうち思い出すだろうと考えを放棄する。そうして、未だに睨み合う二人の手を引き再び歩き出したのだった。
大量にあった洗い物の最後の一皿を洗い終え、レムリアは大きく伸びをする。ずっとしゃがんでいた為に、大きく伸びるとボキボキと骨が鳴った。
「お疲れ様。やっぱり、この量の洗い物は大変だね」
「ですね。ヴォーグさんが手伝いに来てくれてなきゃ、私一人でやる事になってたんですよね…。ヴォーグさん、今日手伝いに来てくれてありがとうございます!」
「レムリアちゃんのお役に立ててよかったよ。それじゃあ戻ろうか」
捲っていた裾を戻し、洗い終わった食器を持って歩き始めたヴォーグさんの後を追う。
「洗い物終わりました。食器は、此処に置けばいいですか?」
「お疲れさん!そうだね、そこに置いといておくれ。こっちも丁度料理が出来たから、配るのを手伝って頂戴」
「わかりました!」
その後は、炊き出しを食べに来た人達や教会の隣に隣接する孤児院の子供達に料理を配った。
そうして、お昼過ぎくらいには作った料理も無くなり、本日の炊き出しは終了となった。
「今日は助かったよ。次の炊き出しは、来月頃だね。その時になったら声をかけるよ」
片付けはアタシ達がやるから帰っていいよと、そう言われたのでローズとリュシルと一緒に教会を後にする。
「今日は疲れたわねー。レムリアはどうだった?」
「ずっと洗い物してたから身体がガチガチに固まって、凄く辛かったよ」
「もー!そうじゃなくて!」
横を歩いていたローズが、勢い良く私の前に立つ。
「ヴォーグさんとはどうだったの?」
「どうって…普通に洗い物したよ?」
「ちっ、がーう!そうじゃなくて、甘い雰囲気になったとか!そういうの!」
彼女は、何を言っているのだろう。
ほぼ初対面の男女がどうやって甘い雰囲気になるというのだろうか。しかも相手は14~15の青年で、私は八歳の子供だ。
(……というか、ローズって結構マセてるよね)
「そんなのないよ」
「えぇ~、本当に?おっかしいな~?」
「何がおかしいの?」
「本当はヴォーグさん、私と同じ料理の手伝いの筈だったんだけどね?ヴォーグさんがレムリアと洗い物したいって言ったの」
「ヴォーグさんが?」
不思議に思う私を見て、だからね?…と続ける。
「レムリアになんか用があるのかと思って」
それが何故甘い雰囲気につながるのだろう。それより一緒に洗い物をしていて特に質問される事を無かった。
(ただ洗い物の方がしたかっただけなのかな?)
それか、レムリア一人だと大変だからと親切心でそう言ってくれたのかも知れない。
「あいつ嫌い」
すると、それまで黙っていたリュシルが突然そう言った。
「リュシル?」
「あいつなんか嫌な感じがする」
そう言って、ギュッとレムリアの服の裾を掴むリュシル。
「何言ってんのよ。どーせ、歳上の素敵なヴォーグさんにレムリアが取られちゃう!…って思って、焦ってるんでしょ?」
「…………そんな事ない。姉さんは黙ってて」
「ふんっ。図星ね」
睨み合う二人を見詰めながら、ヴォーグさんを思い浮かべる。青い少し長めの髪は野暮ったさは無く今時のお洒落な感じに伸ばされ、同じ青は優しげに細められていた。
(何処かで会った様な…無いような)
前世で会った知り合いだろうか?
しかし、誰だか見当が付かない。
「…まっ、いいか」
知っている人物なら、そのうち思い出すだろうと考えを放棄する。そうして、未だに睨み合う二人の手を引き再び歩き出したのだった。
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