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新たな人生
間話 血と憎悪
しおりを挟むーーそれは、ほんの少しの血だった。
血を対価に、強い想いに応え縁を繋ぐ魔法。
それは、青年と少女の血と想いに応えた。
『番の呪いから解放されたい』
少女の想い。
『もう一度彼女に会いたい』
青年の想い。
ーーそして。
ナイフに付いた、少量の血。
本来なら、対価にすらならない量の血だった。
しかし、込められた強い想いがそれを補った。
『俺の邪魔をした奴らに復讐を』
男の強い…強い想い。
一滴にも満たない血に込められた強い憎悪。
その想いを魔法は受け取った。
少女の大量の血の中で、少量の男の血に残った想いを叶えた。
数年後。
牢の中で今にも息絶えそうな男。
石造りの硬いベッドの上で、病に犯された男の呼吸は段々と短く小さくなっていく。
『殺してやる』
何年も繰り返して口にした言葉を、再び心の中で繰り返し呟く。
『絶対に殺してやる。何処にいようと、必ず見つけ出して殺してやる!!』
呆れる程に身勝手な男の想い。
しかしそんな男の強い想いが、縁を手繰り寄せた。やがて男の心臓が動きを止める。
『これより願いを叶える』
そんな声が暗い牢の中に響いた。
すると男の心臓の上に魔法陣が浮かび上がる。その魔法陣から、黒く濁った拳ほどの闇の塊が現れた。魔法陣が淡く光ると、その闇の塊に複雑な模様が現れる。その模様が輝くと、その闇の塊はゆっくりと薄くなり消えた。
後に残ったのは、物言わぬ男の身体だけだった。
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