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過去の記憶
ソフィーさん
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店を出た後、レムは広場に向かった。
「いらっしゃ~い!うちの肉は美味いよ!」
「今朝取れ立ての新鮮な野菜はどうだい?」
「此方は、かの亡国の女王がつけていたと言う…」
「クルシュド名物クルシュド織は如何ですかー?」
広場は色んなお店が出て賑わっていた。
売り込みの声を聞きながら、レムは一軒のカフェに近づく。そのカフェテラスにいた一人の人物が、レムに気付き手を振る。
「あっ、レム!こっちよ」
「ソフィーさん!待たせちゃいましたか?」
「私も、たった今来たばかりよ」
真っ赤な髪を一つに結び翠の瞳を細め笑う美女。
「聞きましたよ~。ギアンさんと付き合う事になったんですよね!」
会ったら聞こう聞こうと思っていた事を、ソフィーさんに聞く。そんなレムに、ソフィーは嬉しそうに話す。
「そうよ。ありがとうね、レム」
「何がですか?」
「ギアンと話すきっかけをくれて。あれが無かったら私、我慢の限界でギアンに襲い掛かってたわ」
「はははっ…」
ソフィーさんは、見た目を裏切らない肉食系女子だ。
ある日、お店に来たギアンさんに一目惚れしたソフィーさんは、ギアンさんに話かけようとした。だが、自身も一目惚れしたにも関わらずギアンさんは恥ずかしがってソフィーさんに話しかけられず何時も遠くから見つめるだけ。
そんな状態が二ヶ月も続き、我慢の限界に達したソフィーさんは。
『もう限界よ!話かけようにも遠くから見つめるばかりっ!こうなれば、手段を問わずにこっちから襲ってやるわ!』
それを聞いたレムは、慌てて何とか二人が会って話す機会を作ったのだ。
(あの時のソフィーさんの目は本気だった…)
姉の様に慕っている女性が、好きな人の親友を襲ったなんていう事件が起きなくて本気で安堵したものだ。
「私の事はいいから、レムはどうなの?」
「あ~、進展なしです」
「番いっていうのは本当に厄介よね~。あんな中途半端な奴諦められないんだから」
「中途半端?」
リュシュオンの事を言っているのは分かるが、何が中途半端なのだろう?
「だってそうでしょ?レムが嫌ならハッキリと突き放せばいいのに中途半端に優しくして突き放さないんだから」
私なら無理…とソフィーは呟く。
「それに人としてハッキリとさせないのは、相手に失礼でしょう?」
「…違うんです」
「何が?」
ソフィーさんの目をしっかりと見る。
「私、一度リュシュオンにハッキリ断られてるんです」
そう。私は彼にしっかりと気持ちを伝えられてる。
『レム。俺は、お前の事妹以上に見れない。お前が色々努力してるのは知ってる。それでも俺はお前に妹以上の感情は持たない』
目を逸らさずしっかりと私に伝える彼。
(あぁ、本気だ)
それは紛れも無い彼の本心だった。
「それでも好きでいさせて欲しい…って言ったのは私なんです。彼は、ハッキリと気持ちを私に伝えてくれたので中途半端では無いんです」
そう。
それでも付き纏っている私が悪いのだ。
「…馬鹿ね。それでも諦めないなんて」
「自分でもそう思います」
「わかった、私はもう口出ししないわ。…よし!この話はもうおしまい!これから食事に行きましょ!今日は私の奢りよ」
「お姉様っ!一生ついて行きます!」
「よろしくってよ~」
この人のこういう所が好きだ。
(…ありがとうソフィーさん)
「………全く、リュシュオンもリュシュオンよ。何が、妹としてしか見れないよ。誰と付き合っても深い関係になれなくて、相手から直ぐに振られる癖に。自分の本当の気持ちに気付かない男って、本当に面倒くさいわね。ギアンの親友じゃ無かったら、レムに新しい男を紹介してる所よ。まぁ…紹介したとしても、直ぐにあの男は無意識に威嚇してレムから引き剥がすんだろうけど。本当に、面倒臭い男よね」
「いらっしゃ~い!うちの肉は美味いよ!」
「今朝取れ立ての新鮮な野菜はどうだい?」
「此方は、かの亡国の女王がつけていたと言う…」
「クルシュド名物クルシュド織は如何ですかー?」
広場は色んなお店が出て賑わっていた。
売り込みの声を聞きながら、レムは一軒のカフェに近づく。そのカフェテラスにいた一人の人物が、レムに気付き手を振る。
「あっ、レム!こっちよ」
「ソフィーさん!待たせちゃいましたか?」
「私も、たった今来たばかりよ」
真っ赤な髪を一つに結び翠の瞳を細め笑う美女。
「聞きましたよ~。ギアンさんと付き合う事になったんですよね!」
会ったら聞こう聞こうと思っていた事を、ソフィーさんに聞く。そんなレムに、ソフィーは嬉しそうに話す。
「そうよ。ありがとうね、レム」
「何がですか?」
「ギアンと話すきっかけをくれて。あれが無かったら私、我慢の限界でギアンに襲い掛かってたわ」
「はははっ…」
ソフィーさんは、見た目を裏切らない肉食系女子だ。
ある日、お店に来たギアンさんに一目惚れしたソフィーさんは、ギアンさんに話かけようとした。だが、自身も一目惚れしたにも関わらずギアンさんは恥ずかしがってソフィーさんに話しかけられず何時も遠くから見つめるだけ。
そんな状態が二ヶ月も続き、我慢の限界に達したソフィーさんは。
『もう限界よ!話かけようにも遠くから見つめるばかりっ!こうなれば、手段を問わずにこっちから襲ってやるわ!』
それを聞いたレムは、慌てて何とか二人が会って話す機会を作ったのだ。
(あの時のソフィーさんの目は本気だった…)
姉の様に慕っている女性が、好きな人の親友を襲ったなんていう事件が起きなくて本気で安堵したものだ。
「私の事はいいから、レムはどうなの?」
「あ~、進展なしです」
「番いっていうのは本当に厄介よね~。あんな中途半端な奴諦められないんだから」
「中途半端?」
リュシュオンの事を言っているのは分かるが、何が中途半端なのだろう?
「だってそうでしょ?レムが嫌ならハッキリと突き放せばいいのに中途半端に優しくして突き放さないんだから」
私なら無理…とソフィーは呟く。
「それに人としてハッキリとさせないのは、相手に失礼でしょう?」
「…違うんです」
「何が?」
ソフィーさんの目をしっかりと見る。
「私、一度リュシュオンにハッキリ断られてるんです」
そう。私は彼にしっかりと気持ちを伝えられてる。
『レム。俺は、お前の事妹以上に見れない。お前が色々努力してるのは知ってる。それでも俺はお前に妹以上の感情は持たない』
目を逸らさずしっかりと私に伝える彼。
(あぁ、本気だ)
それは紛れも無い彼の本心だった。
「それでも好きでいさせて欲しい…って言ったのは私なんです。彼は、ハッキリと気持ちを私に伝えてくれたので中途半端では無いんです」
そう。
それでも付き纏っている私が悪いのだ。
「…馬鹿ね。それでも諦めないなんて」
「自分でもそう思います」
「わかった、私はもう口出ししないわ。…よし!この話はもうおしまい!これから食事に行きましょ!今日は私の奢りよ」
「お姉様っ!一生ついて行きます!」
「よろしくってよ~」
この人のこういう所が好きだ。
(…ありがとうソフィーさん)
「………全く、リュシュオンもリュシュオンよ。何が、妹としてしか見れないよ。誰と付き合っても深い関係になれなくて、相手から直ぐに振られる癖に。自分の本当の気持ちに気付かない男って、本当に面倒くさいわね。ギアンの親友じゃ無かったら、レムに新しい男を紹介してる所よ。まぁ…紹介したとしても、直ぐにあの男は無意識に威嚇してレムから引き剥がすんだろうけど。本当に、面倒臭い男よね」
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