前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン

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過去の記憶

番とは

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その後どうやって家に帰ったか憶えていなかった。気が付いたら母に抱き締められていた。

「ごめんなさいレム。びっくりしたでしょう?私達が獣人の事をよく教えていなかったのが悪かったの」
「おかあ…さん?」
「お願い、泣かないで」

そう言われてようやく自分が泣いている事に気が付いた。鳴き声を上げずただ涙を流すだけの私を両親は辛そうに見ていた。

「私達獣人は一定の年齢になると自身の番を見つける事が出来る様になるの。今までなんとも思ってなかった人を突然番だと認識する事もあるわ」
「父さん達は同じ広場で遊んでた別グループの子供だったんだ。話した事もなかったのにある日突然母さんを自分の番だと認識したんだ」
「番っていうのは獣人にとっての生涯の伴侶なの。全ての獣人が番を見つけるとは限らないわ。番を見つけずに別の人と結婚する事もあるの」

私の涙を拭い頬に手を当てる母。

「でも途中で番を見つけてしまったらもう番いの事しか考えられなくなってしまうの。愛おしくて番以外どうでもよくなってしまう」
「それじゃぁ、今まで結婚してた相手はどうなるの?好きで結婚したんだよね?」
「…そうね。それでも私達獣人は番に魅了されてしまうの。番だけを愛し続ける。それは私達に獣の血が流れているせいだって言う人達もいるわ」

(獣の血が流れてるせい…)

「番の相手が同じ獣人なら問題ないわ。相手も自分を番と認識してくれるから。でも、相手が人間だったら別よ」
「人間には俺たち獣人の様に番を認識する事はできない。獣人にとっては生涯唯一の相手だけど人間にとってはそうじゃない」
「人間が番だった場合、自身を好きになってもらわないといけない。人間は誰でも好きになって付き合い別れる事が出来る。そんな人間を自身に繫ぎ止める努力をしないといけないわ」
「相手にとって自身は好みじゃないかもしれない。嫌われるかもしれない。それでもどんなに辛い思いをしても番に好きになってもらえる様努力するんだ。…まぁ、オレ達がどんなに止めようともレムはきっと好きにってもらえる様努力し続けるだろうな」

ーーだって番なんだからな。俺だって母さんが人間だったら誰が止めようとも好きになって貰えるまで努力しただろうさ

そう優しい顔でお父さんが言う。

お父さんの言う通りだ。
私はきっとリュシュオンを諦められない。さっきの事で彼に嫌われたとしてもだ。沢山謝って彼に好かれる様に努力するだろう。

(こんなにもリュシュオンが好き)

彼を思うだけで心が暖かくなる。

「私、彼女にもリュシュオンにも謝ってくる。そしてリュシュオンに好きになってもらえる様に頑張る!」

どんなに時間がかかってもきっと私は彼を諦める事が出来ないだろう。例え彼に嫌われようとも。

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