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封印課①

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イセカンの部署から程近い場所にある封印課。
その部署は、様々な封印や解除に関する事柄を担当する部署である。
毎日様々な世界や神達から厄介なモノを集めたり送られて来たりしている危ない部署でもある為、危険を避ける為に封印課に勤める天使達は一人一人に大きな仕事部屋が与えられている。

エミリーは、封印課の扉の前に立つ。
そして、ドアノブを握り会いに来た人物の顔を思い浮かべる。うっすらと扉が光ったのを確認してから深呼吸をして自分が使える最高の防御魔法を目の前に展開する。

「よし、準備完了。ーー失礼します!」

エミリーが扉を開けた瞬間、目の前に口が極限まで裂けた黒い物体が襲いかかって来た。だが、エミリーが事前に展開していた防御魔法に阻まれて跳ね飛ばされる。黒い物体が地面に落ちると同時に、それは魔法陣が現れ光の鎖に拘束された。それと同時に、エミリーに一人の人物が近付く。

「おっと、ごめんねエミリーちゃん。イキのいいのが届いたばかりでさ。怪我は無いよね?」
「マイクさん、大丈夫です」

茶色の髪に同色の瞳をした優しい雰囲気を持つマイクと呼ばれた男性は、エミリーの返事を聞いて頷く。

「よかった。君が怪我でもしたら、ナターシャに蹴り飛ばされる所だったよ」

ナターシャとは、エミリーの姉でありマイクの彼女である。そして、かなりのシスコンである。

「お姉ちゃんがすみません…」
「いや、可愛い妹に怪我をさせたら誰だって怒るよ。………まぁナターシャの場合、その攻撃力が半端無いんだけどね」

姉であるナターシャは、天界を守護する女性精鋭部隊ヴァルキリーに所属しているのだ。そんな姉の蹴りなど喰らったらひとたまりも無い。

(防御魔法使っといて本当によかった…)

「さて、随分手こずらせてくれたな」

そう言って、マイクは鎖で拘束した先程の物体を持ち上げる。

「マイクさん、それは何ですか?」
「これは、今回の魔王の封印が緩んだ元凶だよ」
「えっ!?もう分かったんですか?」

エミリーは、マジマジとその物体を見つめる。

「これって何なんですか?生き物…?でも、こんな生き物は見た事ない」
「これは一種の呪いさ」
「呪い?」

エミリーは、その言葉を聞いて眉を顰めるのだった。



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