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第2章
No.230
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「あっ、また…」
真琴は、聞こえて来た爆発音に不安気な声を出す。
(一体、何が起こってるんだろう…)
爆発音の他に、立ち昇る幾つもの黒い煙。
決して大きくは無いが、幾つもの黒い煙と幾度と無く聞こえて来る爆発音は、真琴にとてつもない不安と恐怖を抱かせる。
「マコ様、大丈夫ですよ」
カチャッと音を立てて、真琴の目の前にリディアが紅茶を置く。そうして、不安気な顔をしている真琴に安心させる様に優しく微笑む。
「リディアさん…」
「この国には、ドラゴニールの守護竜がいますから」
「ドラゴニールの守護竜」
「えぇ。マコ様の番にして、不能の疑いのあるアルフォンス様の事です」
「あ、はは…」
リディアは、まだ疑っている様だ。
今朝、誤解を解いたと思ったのだが…。
「不能は兎も角、アルフォンス様の実力は本物です。あの方は、どんな問題でもあっという間に解決しますよ」
「………そうですね。アルフォンスさんなら、あっという間に解決してくれますよね」
(そうだよ。私が誘拐された時も、直ぐに助けに来てくれた…)
アルフォンスなら必ず何とかしてくれる。
彼には、周囲の人々にそう思わせる力がある。
「そうですよ。……と言うか、あの方から守護竜という肩書が無くなったら、ただのムッツリ変態しか残りません」
「えっ!?そ、そんな事ありませんよ…!」
「いいえ、マコ様。あの方は、本来ムッツリ変態です。それを、騎士団長やら守護竜などの大層な肩書で隠しているんです」
「えっ…」
リディアは、真剣な顔で真琴に詰め寄る。
余りにも真剣なその表情に、一瞬「そうなの?」と思ってしまう。
「アルフォンス様は、ムッツリ変態という事実をその肩書で隠す為に、どんな危険な事件でも必ず解決します。何故なら、その肩書が無くなるとムッツリ変態の事実が世間にバレてしまいますから」
リディアは、そう言って真剣な表情から一気に笑顔になる。
「だから、今起きている事もアルフォンス様は直ぐに解決しますよ。何故なら、解決しないと隠れ蓑にしている騎士団長や守護竜の肩書が消えてしまいますからね」
その時、背後からたった今話していた人物の低い声が聞こえて来た。
「………おい。一体真琴に、何出鱈目だらけの事を言ってるんだ」
「アルフォンスさん!」
「あら?私は、何も出鱈目など言ってませんが?」
「いや、たった今まで言ってただろう!」
「私は、本当の事しかマコ様に言ってませんわ」
ニコニコと笑みを浮かべるリディア。
そんな彼女に何を言っても埒が明かないと判断したアルフォンスは、自身の番の両肩をガシッと掴む。そうして、真剣な表情で誤解を解く。
「真琴、俺はムッツリ変態じゃない」
「は、はぁ…」
「俺はただ、真琴にキスをして可愛い声が聞きたいとか、柔らかそうな肌を舐めたいとか、嫌がる涙目の真琴を組み敷きたいとか、そんな事しか思ってない」
(いや、それってムッツリ変態と言うんじゃ…)
どうやら、リディアの話は全くの嘘ではない様だった。
真琴は、聞こえて来た爆発音に不安気な声を出す。
(一体、何が起こってるんだろう…)
爆発音の他に、立ち昇る幾つもの黒い煙。
決して大きくは無いが、幾つもの黒い煙と幾度と無く聞こえて来る爆発音は、真琴にとてつもない不安と恐怖を抱かせる。
「マコ様、大丈夫ですよ」
カチャッと音を立てて、真琴の目の前にリディアが紅茶を置く。そうして、不安気な顔をしている真琴に安心させる様に優しく微笑む。
「リディアさん…」
「この国には、ドラゴニールの守護竜がいますから」
「ドラゴニールの守護竜」
「えぇ。マコ様の番にして、不能の疑いのあるアルフォンス様の事です」
「あ、はは…」
リディアは、まだ疑っている様だ。
今朝、誤解を解いたと思ったのだが…。
「不能は兎も角、アルフォンス様の実力は本物です。あの方は、どんな問題でもあっという間に解決しますよ」
「………そうですね。アルフォンスさんなら、あっという間に解決してくれますよね」
(そうだよ。私が誘拐された時も、直ぐに助けに来てくれた…)
アルフォンスなら必ず何とかしてくれる。
彼には、周囲の人々にそう思わせる力がある。
「そうですよ。……と言うか、あの方から守護竜という肩書が無くなったら、ただのムッツリ変態しか残りません」
「えっ!?そ、そんな事ありませんよ…!」
「いいえ、マコ様。あの方は、本来ムッツリ変態です。それを、騎士団長やら守護竜などの大層な肩書で隠しているんです」
「えっ…」
リディアは、真剣な顔で真琴に詰め寄る。
余りにも真剣なその表情に、一瞬「そうなの?」と思ってしまう。
「アルフォンス様は、ムッツリ変態という事実をその肩書で隠す為に、どんな危険な事件でも必ず解決します。何故なら、その肩書が無くなるとムッツリ変態の事実が世間にバレてしまいますから」
リディアは、そう言って真剣な表情から一気に笑顔になる。
「だから、今起きている事もアルフォンス様は直ぐに解決しますよ。何故なら、解決しないと隠れ蓑にしている騎士団長や守護竜の肩書が消えてしまいますからね」
その時、背後からたった今話していた人物の低い声が聞こえて来た。
「………おい。一体真琴に、何出鱈目だらけの事を言ってるんだ」
「アルフォンスさん!」
「あら?私は、何も出鱈目など言ってませんが?」
「いや、たった今まで言ってただろう!」
「私は、本当の事しかマコ様に言ってませんわ」
ニコニコと笑みを浮かべるリディア。
そんな彼女に何を言っても埒が明かないと判断したアルフォンスは、自身の番の両肩をガシッと掴む。そうして、真剣な表情で誤解を解く。
「真琴、俺はムッツリ変態じゃない」
「は、はぁ…」
「俺はただ、真琴にキスをして可愛い声が聞きたいとか、柔らかそうな肌を舐めたいとか、嫌がる涙目の真琴を組み敷きたいとか、そんな事しか思ってない」
(いや、それってムッツリ変態と言うんじゃ…)
どうやら、リディアの話は全くの嘘ではない様だった。
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