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第2章
No.221
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どうも、おはようございます。
朝です。
チュンチュンと日本…いや、地球では誰もが聞いた事のある様な鳥(ただし、鳴いているのは如何にも「主食は肉です」という感じの体調2メートルはありそうな見た目の黒い鳥)の鳴き声が、明るくなった外から聞こえる。
そして、自身の隣には胸元が大胆に肌蹴た色男が寝ている。真琴をギュッと抱き締めながら、未だ気持ち良さそうな寝息を立てるアルフォンス。
これだけ見れば、漫画の中や現実で一定数いると言われている酔っ払ってやらかしてしまった後に体験すると言う、所謂「朝チュン」と言える現象だろう。
しかし、だ。
2人の間には、そんな色っぽい事は一切無かった。キスの一つもない。さらに言えば、真琴の寝巻きには乱れ一つない。乱れ一つどころか、シワの一つさえない。「どれだけ自分は寝相がいいんだ」と感心するレベルだ。
誰かがどこからどう見ても、何かあった形跡は一つも無い。
(何だろう、この何とも言えない感じ…)
あんなにも覚悟を決めたのに、結局キスの一つさえ無かった事に対するがっかり感。
昨夜見た色気の権化の様なアルフォンスに、色気のいの字も無い貧相な自身を晒さなくてよかった事への安心感。
その反する二つの感情を胸に抱えたまま、真琴はジッと豪華な天井を見上げていた。そんな真琴の耳に、隣からクスクスと笑う声が聞こえて来た。
そちらに顔を向けると、朝から色気ムンムンの美しく男らしいアルフォンスが甘い瞳でこちらを見ていた。目覚めたばかりの無防備な脳に、いきなり強烈な視界からの暴力を喰らってしまった。
(うゎっ!?目が、脳がやられた!)
実際にはそんな事はないのだが、一瞬本気でそう思った。
「おはよう、真琴」
「お、おはようございます」
「………嗚呼、目が覚めた時に真琴が俺の腕の中にいるなんて。幸せだ…」
そう言って、チュッと真琴に口付けるアルフォンス。気怠げに前髪をかきあげながら起き上がるアルフォンスは、未だ妖しいフェロモンを出し続けている。
(………ヤバい。エロ過ぎる)
日本では、遊び人などに近付いたら実際に妊娠してしまうぞと忠告する人がいる。
そんな人に教えて欲しい。
遊び人でなく、フェロモン垂れ流しの色気ムンムンの人にはどう対応すればいいんですか?
常日頃からこんな風ならば、そこかしこで想像妊娠してしまう女性が大勢に出現するだろう。
そんな風に、あり得ない様な馬鹿な事を本気で確信してしまえる程に、今のアルフォンスはヤバかった。今後、もしも「貴方の子供を妊娠したの」と言ってくる女性が現れたら、怒ったり泣いたりする何よりも最初に、想像妊娠でないかどうかを一番に確認しようと馬鹿な事を考える真琴であった。
朝です。
チュンチュンと日本…いや、地球では誰もが聞いた事のある様な鳥(ただし、鳴いているのは如何にも「主食は肉です」という感じの体調2メートルはありそうな見た目の黒い鳥)の鳴き声が、明るくなった外から聞こえる。
そして、自身の隣には胸元が大胆に肌蹴た色男が寝ている。真琴をギュッと抱き締めながら、未だ気持ち良さそうな寝息を立てるアルフォンス。
これだけ見れば、漫画の中や現実で一定数いると言われている酔っ払ってやらかしてしまった後に体験すると言う、所謂「朝チュン」と言える現象だろう。
しかし、だ。
2人の間には、そんな色っぽい事は一切無かった。キスの一つもない。さらに言えば、真琴の寝巻きには乱れ一つない。乱れ一つどころか、シワの一つさえない。「どれだけ自分は寝相がいいんだ」と感心するレベルだ。
誰かがどこからどう見ても、何かあった形跡は一つも無い。
(何だろう、この何とも言えない感じ…)
あんなにも覚悟を決めたのに、結局キスの一つさえ無かった事に対するがっかり感。
昨夜見た色気の権化の様なアルフォンスに、色気のいの字も無い貧相な自身を晒さなくてよかった事への安心感。
その反する二つの感情を胸に抱えたまま、真琴はジッと豪華な天井を見上げていた。そんな真琴の耳に、隣からクスクスと笑う声が聞こえて来た。
そちらに顔を向けると、朝から色気ムンムンの美しく男らしいアルフォンスが甘い瞳でこちらを見ていた。目覚めたばかりの無防備な脳に、いきなり強烈な視界からの暴力を喰らってしまった。
(うゎっ!?目が、脳がやられた!)
実際にはそんな事はないのだが、一瞬本気でそう思った。
「おはよう、真琴」
「お、おはようございます」
「………嗚呼、目が覚めた時に真琴が俺の腕の中にいるなんて。幸せだ…」
そう言って、チュッと真琴に口付けるアルフォンス。気怠げに前髪をかきあげながら起き上がるアルフォンスは、未だ妖しいフェロモンを出し続けている。
(………ヤバい。エロ過ぎる)
日本では、遊び人などに近付いたら実際に妊娠してしまうぞと忠告する人がいる。
そんな人に教えて欲しい。
遊び人でなく、フェロモン垂れ流しの色気ムンムンの人にはどう対応すればいいんですか?
常日頃からこんな風ならば、そこかしこで想像妊娠してしまう女性が大勢に出現するだろう。
そんな風に、あり得ない様な馬鹿な事を本気で確信してしまえる程に、今のアルフォンスはヤバかった。今後、もしも「貴方の子供を妊娠したの」と言ってくる女性が現れたら、怒ったり泣いたりする何よりも最初に、想像妊娠でないかどうかを一番に確認しようと馬鹿な事を考える真琴であった。
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