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第2章

No.213

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「確かにマコ様を本気で監禁したら、私達はアルに流石に殺されはしないけれど半殺しにはされていたでしょうね」

当然だ。
自身の半身とも言うべき番を他者に監禁されたら、どの竜人も怒り狂う。竜王であり、上司であり、幼馴染みである二人だから半殺しで済むのであって、これが全く知らない他者が番を監禁などしたならば、間違い無くアルフォンスに殺されていただろう。

別に、竜人だけの話では無い。
運命の相手である番が存在する獣人達の『運命』に手を出すとは、そう言う事だ。彼等は、ようやく見つけたら自身の『運命の番』に手を出す者は、何者であろうと許さない。
種族によっては、同族の番が傷付けられたら一族総出で報復を行う者達もいる。

その様な獣人達を、「野蛮」だとか「流石、獣の血が流れる種族」だと言って蔑む人間は極少数だが存在する。獣人達からしてみれば、人間でも大切な人を傷付けられて許せる者は居ないだろう。それと同じなのだ。ただ、人間よりほんの少し理性が無くなるだけの話と言うだけだ。

「まっ、マコがしっかりと自身がするべき事を弁えていたから監禁なんてしなくて大丈夫で安心したよ」
「そうですね。これで、そのお陰で作戦中にはアルに安心して動いて貰えます」

ドランが安心した様にそう言った。
そもそも、今回こんな風に真琴を試す様な事をしたのには理由がある。別にバンラート達は、何かあるたびに態々作戦を行う部下の家族や番を、こんな風に試す事なんてしない。なのに、今回真琴を試した理由は、主に二つだ。

一つ、真琴が今回の全ての要だからだ。

ファウアームは、真琴を狙っている。それが分かっているのに、手元に居るとはいえ肝心の真琴に予想外の行動を取られて仕舞えば全てが台無しになってしまう。

2つ、アルフォンスが真琴を心配して番の側を離れようとしないと事だ。

アルフォンスは、国王で戦場に出れないバンラートを除いて、ドラゴニール国最大の戦力だ。故に、今回の作戦には必須の存在である。前回、スネラークの生き残りの者に真琴を誘拐された事のあるアルフォンスが、そう易々と真琴の側を離れるわけが無い。今は、まだそれで良い。だが、作戦時には被害を最小限に抑える為に何としてもアルフォンスが必要だ。その為、番が突発的な行動を起こさず大人しく屋敷で待っていると言う事を知らせる為に、今回の様な事をしたのだ。

結果は、成功だった。
ドランは最初反対したが、真琴の現状把握能力を信じたバンラートの勝利である。アルフォンスも、真琴が大人しく屋敷で待っている事を確信したのだろう。部屋を出る時、何処か安心した顔をしていた。

「これで、今回の作戦でこちら側の不安要素はほぼ無くなったな」
「はい。後は、あちらがどう動くかですね。こればかりは、事が動かないと分からない」
「だが、万が一にも失敗は許されない。…ドラン、確実に成功させるぞ」

その言葉に、ドランは深く頷いたのだった。

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