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第2章

No.184

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ルイザから魔石や魔水晶の事を一通り教えて貰うと、ルイザが胸元から小さな袋を取り出した。

「ルイザさん、それは何ですか?」
「これも魔石です。ですが、先程の魔石とは少し違います」

そう言って、袋からゴルフボール程の大きさの黒い魔石を取り出した。その魔石の表面には、薄らと光る魔法陣の様な模様が描かれていた。

「これって、魔法陣……ですよね」
「はい。これは、兄から貰った結界の魔法陣です。以前、呪いのかかったナイフで怪我をしてから兄が過保護になりまして…」
「ルイザさんが心配なんですよ」
「わかってはいます。………ですが、騎士としては不甲斐無いです。でも、私個人としては何とも照れ臭いです」

そう頬を染めてはにかむルイザは、とても綺麗だった。

「この様に、特定の効果を持つ魔法陣を刻んだ魔石は幾つもあります。この様な魔石を、我々は"魔法石"と呼びます」
「ルイザさん、質問があります。こんな風に魔石に魔法を付与させる事が出来るなら、魔道具は要らないんじゃ…」

この世界の魔道具は、物自体に魔法陣が描かれている。その魔法の効果を発揮するのにエネルギーになる魔石が必要なのだ。前世風に言えば、本体と電池だ。

(それなら、直接魔石に魔法が付与されてるのさ物の方が便利だと思うんだけど…)

真琴の質問に、ルイザは首を横に振って否定する。

「そう思うかもしれませんが、それは無理なのです」
「無理…ですか?」
「はい。魔石に直接魔法陣を描く物の方が、魔道具と比べると効果は何倍も上です。……ですが、魔法石はたった一度しか使えない、所謂使い捨ての物なのです」
「そうなんですか」
「昔から、色々と原因究明に挑む研究者達が多く居ます。ですが、これと言った原因究明に至っていないのです」

もしもその原因が解明されれば、魔道具より魔法石の方が便利な物になるだろう。

「使い捨てなら、きっとその魔法石は高いですよね」
「そうですね。恐らく、これ一つで商人の家が一つ立ちますね」
「す、凄いですね…」

思わず、声が引き攣る。

「先程も言った様に、兄が物凄く心配してこれ程高価な魔法石を用意したんです。本来なら、もっと安い魔法石もあったんです。それなのに、こんなに高価な魔法石を…」

妹想いの優しい兄だと思う。
だが、この魔法石のせいで暫く金欠に喘いでいたと聞いた時は、ルイザと二人で声を出して笑ってしまった。
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