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第2章

No.155

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アルフォンスが真琴の叔父だと言う男に会ってから3日後。今日は、その叔父だという男との面会の日だ。現在は、サザーランド公爵家の馬車にアルフォンスと共に乗り城に向かっていた。

(凄く緊張する…)

城に近付くにつれ、緊張し握り締めた掌に汗をかく。そんな真琴は、アルフォンスの瞳と同じ色の翠の美しいドレスを着ていた。首元には、アルフォンスの髪と同じ赤い宝石があしらわれたネックレス。

朝からリディア達メイド軍団により、何処ぞの令嬢かと思う程に着飾られたのだ。真琴は、数十分前の出来事を思い出す。

***

『あの…、別にこんなに着飾らなくても…』

『まぁ、何を言ってるんですか?今日は、マコ様の親戚に初めて会う日なんですよ?マコ様の魅力が最大限引き出せる衣装で挑まなければ!』

『でも、本当に叔父だと決まった訳じゃ無いですし……』

『だとしてもです。もしも、その男が親戚では無いとしても、警備の方はアルフォンス様がいるから安心です。だから、他の事は気にせずにマコ様は相手に舐められない様にするのです』

『舐められない様に……』

『そうです。相手の思惑が何なのか分からない今、マコ様がする事は相手に何も出来ない小娘だと思わせない事です』

『……でも、実際私は何にも出来ないですよ?』

『例えそうだとしても、相手にそう思わせるか思わせないかで状況は変わってきます。マコ様は油断出来ない相手……そう思わせる事は、アルフォンス様達の助けになります』

『アルフォンスさんの助けになる』

『そうです。………それに、女は何重にも猫の皮を被って生きてる生き物なんですよ?』

***

最後に妖しい笑みを浮かべたリディアを思い出す。
最後の言葉は何とも言えないが、気が楽になったのは確かだった。だが、城に近付くにつれ屋敷の時とは比べ物にならない程の緊張が襲う。

(あそこに、私の叔父さんかもしれない人がいるんだ……)

真琴の中で、家族は日本にいる月宮夫婦と妹弟達だけだ。それは決して変わらない。
だが、血の繋がった叔父が彼処にいるのかと思うと。

(何だろう。こう……、言葉では表せない不思議な気持ちになる)

その感情の名前が分からなくてモヤモヤする。

嬉しい?
悲しい?
苦しい?
怒り?
恐怖?

……わからない。
自分の気持ちなのに、何もわからない。

知らず知らずのうちに、俯いていた真琴にアルフォンスから声がかかる。

「真琴、そろそろ着く。大丈夫、何があっても俺が側にいる」

そう言って、アルフォンスは真琴の手を握る。真琴より少し高い体温が真琴の心を解す。

「……はい」

(大丈夫、何があってもアルフォンスさんが側にいてくれるから)

それだけで、怖気付く真琴に勇気を与えてくれるアルフォンス。真琴は、返事と共にアルフォンスの手を握り返した。

ーーそうして、ようやく馬車は城に到着した。

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