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第2章

No.153

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ーーコツコツコツ

(誰か来る。アルフォンスさんかな?)

部屋で1人、息も荒く腕立て伏せをしていた真琴。
その真琴の耳に、近付く足音が聞こえて来た。真琴は慌てて身体を起こし、身嗜みを整える。

ーーガチャ

「真琴、すまない。随分、待たせたな」

乱れた髪を整えた所で、扉が開きアルフォンスが入って来た。そうして、運動で火照った真琴の頬に手を当てる。

「………どうしたんだ?少し熱いな」
「えっと…、ちょっと部屋が暑くて」

ーー言えない。

(1人で腕立て伏せをしていたなんて、絶対言えない…)

「そうか?それなら、我慢などせずに窓を開ければ良かったのに」

そう言って、アルフォンスは真琴の一房落ちていた髪を耳に掛ける。

「………あの、それで捕まってる男の人は如何だったんですか?」

アルフォンスが戻って来てからずっと気になっていた事を問う。すると、アルフォンスは少し難しい顔をする。

「………」
「……アルフォンスさん?」

難しい顔で何も話さないアルフォンスに、真琴は不安げな声でアルフォンスの名を呼ぶ。

(……もしかして、何かよく無い事があったのかな?)

不安になり、アルフォンスの服の裾を無意識に握り締める。それに気が付いたアルフォンスは、自身の愛しい番に優しく声をかける。

「あぁ、すまない。真琴を不安にさせてしまったな」
「何かあったんですか?」
「まぁな。………黙っていてもいずれ分かる事だ、きちんと話そう。実は、真琴の実の両親の事だ」
「私の実の……?」
「あぁ」

「少し話が長くなる」と、アルフォンスは真琴をソファーに座らせ自身も隣に座る。

「………さて、何処から話そう」

アルフォンスは、暫く頭の中で話を纏めてからゆっくりと話し始める。

「……真琴、落ち着いて聞いてくれ。真琴は、ファウアームの王族だ」

***

「ーーこれが、男から聞いた話だ」

アルフォンスの話を聞き終え、真琴は何も言葉が出なかった。

(私のお父さんが現ファウアーム国王の息子で私がファウアーム国王の孫……?)

「真琴、息を吸うんだ」
「っ…!」

どうやら、驚きの余り無意識に息を止めていたらしい。アルフォンスに言われて、漸く止めていた息をする。

「あ…の、私…」

何か話そうにも、言葉が出て来ない。

「驚くのも無理も無い。実際、俺も驚いたんだ。当事者の真琴はもっと驚いただろ?」

そう言って、アルフォンスに宥める様に優しく背を撫でられる。その優しい手に、次第に心が落ち着いていく。

「……それでな、男の事なんだが」

一旦間を置いて、アルフォンスは更なる混乱をもたらした。

「………実は、その男は真琴の叔父なんだ」
「は?」

もはや、真琴の頭は思考を放棄したのだった。






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