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第2章
No.135
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そうして真琴を乗せた馬車は、王城の大きく立派な門を潜り抜ける。そうして王城で働く人々が出入りする玄関口が見えてきた。
(あれ?)
だが、馬車はそこで止まらず更に奥へと進んで行く。
「リディアさん、これって一体どういう事なんですか?」
「はっ!私とした事が説明がまだでした。……申し訳ありません。この馬車は現在、王城の奥にある王族方達の住む王宮へ向かっています」
「王宮…!?」
(何で!?)
驚きで思わず大きな声が出てしまう。
私は慌てて口を手で塞ぎ、リディアさんの話の続きを聞く。
「この馬車は、王族方が使用する馬車です。通常、王族方が出かける際に使用するか、個人的に誰かを王宮に呼び出した時などに使われます」
「……それって、バンラート様からの呼び出しですか?」
王族の知り合いなど、国王であるバンラートしかいない。しかも、知り合いと言ってもアルフォンス関係だ。現在、アルフォンスは城で騎士団長として仕事をしている。それなのに真琴を城では無く王族の住む王宮に呼び出すなんて。
「いえ、マコ様を王宮へ招待されたのは国王バンラート様の番であらせられる王妃マリアンヌ様です」
ーー王妃マリアンヌ。
綺麗な栗色の髪にエメラルドの瞳を持つ、国王バンラートの人間の番である。元々ドラゴニールの辺境伯グルーニア家の1人娘だったマリアンヌ。マリアンヌが21歳の時、グルーニア伯爵領を視察に訪れたバンラートに番だと認識された。
王妃として相応しい様に王都のタウンハウスから王宮に上がって王妃勉強をしている時、蛇獣人の国の王シュネルに誘拐された。
その後の事は、真琴の知っている通りだ。
現在は、37歳。
国王夫婦に現在子供はおらず、王宮にはバンラートとマリアンヌ、それに信用出来る数人の使用人達が居るだけだ。
(王妃様が私に何の用…?)
会ったことも喋った事も無い王妃様からの突然の呼び出し。どう言った用事なのか見当もつかない。
「マコ様、そろそろ王宮に着きます」
色々と考えていると、リディアさんから声がかけられる。その声に反応して窓の外を見ると、周囲を圧倒する様な王城とは違い、何処か落ち着く様な建物が見えてきた。
(想像していたのと結構違うなぁ)
王族の住む場所だ。
正直、豪華絢爛な建物を想像していた。
「マコ様。王妃様にお会いになる場合は、私は同伴出来ません。ですが、焦らずに日頃から習っている礼儀作法を思い出して下さい」
マコ様なら出来ますと、本気で信じてくれているリディアさんの顔を見て緊張が解れる。
(そうだよ、あんなに礼儀作法の練習をしたんだ。先生やリディアさん達にも褒められたんだから大丈夫)
「はいっ!日頃の練習の成果を出し切って来ます!」
そう意気込んで、王宮前に止まった馬車から降りる。
ーーだが、真琴は知らない。
この数分後には、先程までの意気込みは消えて困惑を浮かべる事になることを。
(あれ?)
だが、馬車はそこで止まらず更に奥へと進んで行く。
「リディアさん、これって一体どういう事なんですか?」
「はっ!私とした事が説明がまだでした。……申し訳ありません。この馬車は現在、王城の奥にある王族方達の住む王宮へ向かっています」
「王宮…!?」
(何で!?)
驚きで思わず大きな声が出てしまう。
私は慌てて口を手で塞ぎ、リディアさんの話の続きを聞く。
「この馬車は、王族方が使用する馬車です。通常、王族方が出かける際に使用するか、個人的に誰かを王宮に呼び出した時などに使われます」
「……それって、バンラート様からの呼び出しですか?」
王族の知り合いなど、国王であるバンラートしかいない。しかも、知り合いと言ってもアルフォンス関係だ。現在、アルフォンスは城で騎士団長として仕事をしている。それなのに真琴を城では無く王族の住む王宮に呼び出すなんて。
「いえ、マコ様を王宮へ招待されたのは国王バンラート様の番であらせられる王妃マリアンヌ様です」
ーー王妃マリアンヌ。
綺麗な栗色の髪にエメラルドの瞳を持つ、国王バンラートの人間の番である。元々ドラゴニールの辺境伯グルーニア家の1人娘だったマリアンヌ。マリアンヌが21歳の時、グルーニア伯爵領を視察に訪れたバンラートに番だと認識された。
王妃として相応しい様に王都のタウンハウスから王宮に上がって王妃勉強をしている時、蛇獣人の国の王シュネルに誘拐された。
その後の事は、真琴の知っている通りだ。
現在は、37歳。
国王夫婦に現在子供はおらず、王宮にはバンラートとマリアンヌ、それに信用出来る数人の使用人達が居るだけだ。
(王妃様が私に何の用…?)
会ったことも喋った事も無い王妃様からの突然の呼び出し。どう言った用事なのか見当もつかない。
「マコ様、そろそろ王宮に着きます」
色々と考えていると、リディアさんから声がかけられる。その声に反応して窓の外を見ると、周囲を圧倒する様な王城とは違い、何処か落ち着く様な建物が見えてきた。
(想像していたのと結構違うなぁ)
王族の住む場所だ。
正直、豪華絢爛な建物を想像していた。
「マコ様。王妃様にお会いになる場合は、私は同伴出来ません。ですが、焦らずに日頃から習っている礼儀作法を思い出して下さい」
マコ様なら出来ますと、本気で信じてくれているリディアさんの顔を見て緊張が解れる。
(そうだよ、あんなに礼儀作法の練習をしたんだ。先生やリディアさん達にも褒められたんだから大丈夫)
「はいっ!日頃の練習の成果を出し切って来ます!」
そう意気込んで、王宮前に止まった馬車から降りる。
ーーだが、真琴は知らない。
この数分後には、先程までの意気込みは消えて困惑を浮かべる事になることを。
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