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第1章
No.129
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「真琴」
優しい声と共に差し伸べられた手に、真琴は己の手を重ねる。すると、アルフォンスは優しく手を握り真琴をエスコートする。
今日は、アルフォンスが久し振りの丸一日休みという事で、2人で遠出をしていた。
朝早くからアルフォンスと共に、馬でサザーランド領の近くの湖に出かけ屋敷の料理人が用意した昼食を食べ、誘拐された事が嘘の様な穏やかな時間を過ごした。
(あれから、精霊達を見てないな…)
キラキラと陽の光を反射して輝く水面を見て、そう思う。姿処か、声さえ聞こえて来ない。
(誘拐された時、助けてくれたお礼が言いたいんだけどなぁ…)
バンラートから、精霊の事について他言無用と言われてしまった為に迂闊に調べる事も出来ない。
(いつか、お礼が言えると良いな)
そう思っていると、アルフォンスが声をかけてきた。
「真琴、そろそろ行こう」
「はい」
まだ空は青いが、屋敷に帰ることにした。
その前に、真琴がある場所に行きたいと言ったのだ。そうして着いたのは、小さな丘のある一面青い花畑。ーーそう、真琴の実の家族の眠る場所だ。
「久し振り…」
いつか来た日と同じ様に、膝丈の青いクリスタルの様な綺麗な石に話しかける。そうして、最近の出来事を報告し終える。チラリとアルフォンスを見ると、少し離れた場所で馬の世話をしている。
「……あのね」
ーー私、好きな人が出来たの。
小さな声で、そう話す。
「私、アルフォンスさんと一緒に居たいって強く思ってるの。この先、どうなるか分からないけど私の初恋を見守っててね」
そうして、言いたい事を言い終えて最後に「また来るね」と別れを告げてアルフォンスの元に向かった。
「お待たせしまし………。ア、アルフォンスさん?」
こちらを見つめるアルフォンスの顔を見て不思議に思う。何故なら、アルフォンス目は潤み頬が赤くなっていたからだ。何故、いきなりこんな色気大噴出な状態になっているのだろう?
「………真琴。俺の初恋の相手も真琴だ。いや、これから先、俺の相手は真琴だけだ。俺達は、この先もずっと一緒だ」
その言葉を聞いて、真琴は羞恥で顔が赤くなった。
(聞かれてた……!!)
まさか、あんなに小さな声で話したのに聞こえていたなんて…。恐るべし、竜人の聴覚。
その後、帰りたがらないアルフォンスに顔中にキスをされる羞恥に悶えながら何とか屋敷に帰ることに成功したのだった。
***
ある暗い部屋の一室。
置かれているもの全てが、一目で高級な物ばかりだと分かる部屋。そこには、2人の男性が向かい合って座っていた。
「それは、真か?」
「はい。ドラゴニールにて、精霊の反応が確認されました」
高級そうな服に身を包んで問いかける細身の初老の男性に、目の前に座る眼鏡をかけた神経質そうな中年の男性が答える。
「遂に、遂に精霊を見つけたぞっ!やはり、我が王家は正しかった!」
「えぇ。これで、精霊を上手く使えば…!」
「あの忌々しい獣どもを消し去り、我等人間がこの世界を支配出来る!」
初老の男性は、夢見る乙女の様にそう声を上げる。神経質そうな男性も、うっとりと頷く。
「直ぐに、ドラゴニールに人を送り詳しい情報を集めろ」
「かしこまりました」
真琴は気が付かない。自身が新たな事件に巻き込まれる事を。真琴が知らぬ間に、水面下では新たな闇が動き出していた。
第1章完結。
此処まで読んで下さり、ありがとうございます!
第2章は、少々お待ち下さい。
暇潰しに「異世界に召喚されましたが即刻、帰りました」を、どうぞ!
優しい声と共に差し伸べられた手に、真琴は己の手を重ねる。すると、アルフォンスは優しく手を握り真琴をエスコートする。
今日は、アルフォンスが久し振りの丸一日休みという事で、2人で遠出をしていた。
朝早くからアルフォンスと共に、馬でサザーランド領の近くの湖に出かけ屋敷の料理人が用意した昼食を食べ、誘拐された事が嘘の様な穏やかな時間を過ごした。
(あれから、精霊達を見てないな…)
キラキラと陽の光を反射して輝く水面を見て、そう思う。姿処か、声さえ聞こえて来ない。
(誘拐された時、助けてくれたお礼が言いたいんだけどなぁ…)
バンラートから、精霊の事について他言無用と言われてしまった為に迂闊に調べる事も出来ない。
(いつか、お礼が言えると良いな)
そう思っていると、アルフォンスが声をかけてきた。
「真琴、そろそろ行こう」
「はい」
まだ空は青いが、屋敷に帰ることにした。
その前に、真琴がある場所に行きたいと言ったのだ。そうして着いたのは、小さな丘のある一面青い花畑。ーーそう、真琴の実の家族の眠る場所だ。
「久し振り…」
いつか来た日と同じ様に、膝丈の青いクリスタルの様な綺麗な石に話しかける。そうして、最近の出来事を報告し終える。チラリとアルフォンスを見ると、少し離れた場所で馬の世話をしている。
「……あのね」
ーー私、好きな人が出来たの。
小さな声で、そう話す。
「私、アルフォンスさんと一緒に居たいって強く思ってるの。この先、どうなるか分からないけど私の初恋を見守っててね」
そうして、言いたい事を言い終えて最後に「また来るね」と別れを告げてアルフォンスの元に向かった。
「お待たせしまし………。ア、アルフォンスさん?」
こちらを見つめるアルフォンスの顔を見て不思議に思う。何故なら、アルフォンス目は潤み頬が赤くなっていたからだ。何故、いきなりこんな色気大噴出な状態になっているのだろう?
「………真琴。俺の初恋の相手も真琴だ。いや、これから先、俺の相手は真琴だけだ。俺達は、この先もずっと一緒だ」
その言葉を聞いて、真琴は羞恥で顔が赤くなった。
(聞かれてた……!!)
まさか、あんなに小さな声で話したのに聞こえていたなんて…。恐るべし、竜人の聴覚。
その後、帰りたがらないアルフォンスに顔中にキスをされる羞恥に悶えながら何とか屋敷に帰ることに成功したのだった。
***
ある暗い部屋の一室。
置かれているもの全てが、一目で高級な物ばかりだと分かる部屋。そこには、2人の男性が向かい合って座っていた。
「それは、真か?」
「はい。ドラゴニールにて、精霊の反応が確認されました」
高級そうな服に身を包んで問いかける細身の初老の男性に、目の前に座る眼鏡をかけた神経質そうな中年の男性が答える。
「遂に、遂に精霊を見つけたぞっ!やはり、我が王家は正しかった!」
「えぇ。これで、精霊を上手く使えば…!」
「あの忌々しい獣どもを消し去り、我等人間がこの世界を支配出来る!」
初老の男性は、夢見る乙女の様にそう声を上げる。神経質そうな男性も、うっとりと頷く。
「直ぐに、ドラゴニールに人を送り詳しい情報を集めろ」
「かしこまりました」
真琴は気が付かない。自身が新たな事件に巻き込まれる事を。真琴が知らぬ間に、水面下では新たな闇が動き出していた。
第1章完結。
此処まで読んで下さり、ありがとうございます!
第2章は、少々お待ち下さい。
暇潰しに「異世界に召喚されましたが即刻、帰りました」を、どうぞ!
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