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第1章
No.124
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「………様、マ……様」
何処か遠くから、真琴を呼ぶ声が聞こえる。
その声に導かれる様に、深く沈んだ意識が浮上する。
「マ……様、マコ様」
「んっ…」
今度は、はっきりと声が聞こえる。
目をゆっくりと開けると、目の前には心配そうなリディアさんが映る。
「リディア…さん?」
「マコ様、随分お疲れですね。…まぁ、あんな事があった後ですものね。帰りの馬車が到着したので呼びに来たのですが…。とてもぐっすりとお眠りになってましたよ」
どうやらバンラート様達が出て行った後、ソファーで眠ってしまっていたらしい。
(さっき、皆んなの夢を見てた気がする…)
はっきりとは思い出せないが、最後は皆んなで笑っていた気がする。
(よかった。皆んな、笑ってた)
真琴が居なくても、しっかりと笑っていた家族を思い出し、その事に少しの悲しみを覚えると共に深く安堵する。
「………え?」
(私が居ないのに、笑ってた事に安心した…?)
普通、自分が居ないのに普段通りに笑っている事に不満を覚えたりするのでは?
「マコ様?」
リディアさんに呼びかけられて、ハッと我に返る。
「あっ、何でもないです」
「では、帰りましょう。そうして、今日はゆっくりと休みましょう」
「はい」
そうして、私はリディアさんが呼んだ馬車に乗り城を後にした。
***
「マコ様っ!よくご無事で!!」
「ルイザさん!!」
屋敷に戻ると、屋敷の人達と共に少し緩く動きやすそうな服を着たルイザさんが居た。
真琴を見ると、大きな声を上げて真琴に走り寄る。
「ルイザさん!!…よかった、無事で。怪我は大丈夫ですか?」
「はい。城の優秀な治癒師達のお陰で、傷も殆ど無いです。………それより。マコ様の護衛でありながら、護る事が出来ず危険な目に合わせてしまい申し訳ありません」
そう言って、ルイザは真琴に頭を下げた。
「そんなっ!頭を上げて下さいっ!!」
「しかし…」
「私を、命懸けで護ろうとしてくれた人に感謝すれど恨むなんて事はありません」
そうだ。護衛がその様な仕事だとしても、命を懸けてまで護ろうとしてくれる人は、どれ位いるだろう?
(そんな人を恨んだりするわけない)
「ルイザさんが良ければ、これからもよろしくお願いします」
「っ!………はい。今度こそ、マコ様をどんな危険からもお守り致します」
「あっ!勿論、命大事に…ですよ?」
「ふふっ。…はい、分かりました。命大事に…ですね」
「です」
そう言って、2人でクスクスと笑い合う。
それにつられた屋敷の人達も笑いながら、真琴の無事を喜んだのだった。
何処か遠くから、真琴を呼ぶ声が聞こえる。
その声に導かれる様に、深く沈んだ意識が浮上する。
「マ……様、マコ様」
「んっ…」
今度は、はっきりと声が聞こえる。
目をゆっくりと開けると、目の前には心配そうなリディアさんが映る。
「リディア…さん?」
「マコ様、随分お疲れですね。…まぁ、あんな事があった後ですものね。帰りの馬車が到着したので呼びに来たのですが…。とてもぐっすりとお眠りになってましたよ」
どうやらバンラート様達が出て行った後、ソファーで眠ってしまっていたらしい。
(さっき、皆んなの夢を見てた気がする…)
はっきりとは思い出せないが、最後は皆んなで笑っていた気がする。
(よかった。皆んな、笑ってた)
真琴が居なくても、しっかりと笑っていた家族を思い出し、その事に少しの悲しみを覚えると共に深く安堵する。
「………え?」
(私が居ないのに、笑ってた事に安心した…?)
普通、自分が居ないのに普段通りに笑っている事に不満を覚えたりするのでは?
「マコ様?」
リディアさんに呼びかけられて、ハッと我に返る。
「あっ、何でもないです」
「では、帰りましょう。そうして、今日はゆっくりと休みましょう」
「はい」
そうして、私はリディアさんが呼んだ馬車に乗り城を後にした。
***
「マコ様っ!よくご無事で!!」
「ルイザさん!!」
屋敷に戻ると、屋敷の人達と共に少し緩く動きやすそうな服を着たルイザさんが居た。
真琴を見ると、大きな声を上げて真琴に走り寄る。
「ルイザさん!!…よかった、無事で。怪我は大丈夫ですか?」
「はい。城の優秀な治癒師達のお陰で、傷も殆ど無いです。………それより。マコ様の護衛でありながら、護る事が出来ず危険な目に合わせてしまい申し訳ありません」
そう言って、ルイザは真琴に頭を下げた。
「そんなっ!頭を上げて下さいっ!!」
「しかし…」
「私を、命懸けで護ろうとしてくれた人に感謝すれど恨むなんて事はありません」
そうだ。護衛がその様な仕事だとしても、命を懸けてまで護ろうとしてくれる人は、どれ位いるだろう?
(そんな人を恨んだりするわけない)
「ルイザさんが良ければ、これからもよろしくお願いします」
「っ!………はい。今度こそ、マコ様をどんな危険からもお守り致します」
「あっ!勿論、命大事に…ですよ?」
「ふふっ。…はい、分かりました。命大事に…ですね」
「です」
そう言って、2人でクスクスと笑い合う。
それにつられた屋敷の人達も笑いながら、真琴の無事を喜んだのだった。
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