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第1章

No.119

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「このっ…!馬鹿がっ!!だから、お前はデリカシーが無いってマリアンヌ様に何度も言われるんだよっ!」

そう言って、ドランは何時もの丁寧な口調を乱しながらバンラートの頭を思いっきり叩く。

「痛ったーー!!……おいドラン!!何でいきなり叩くんだよ!俺は、この国の王様だぞ!!不敬罪で死刑だぞ!」

叩かれた頭を撫でながら、涙目でドランに抗議の声を上げるバンラート。だが、ドランは怯まずに目を吊り上げて怒鳴る。

「煩いわ、この馬鹿王!!女性に対してデリカシーの欠片も無い、お前こそ不敬罪で死刑だ!!年頃の女性に対して、何を聞いてるんだ!」
「何…って、大した事じゃ無いだろ?ただ、アルとのキスはどんなだったか聞いただけだ。そうだよな?マコ」

心底不思議そうに、首を傾げながら私に聞いてくるバンラート様。

「………私の居た世界では、それをセクハラーーセクシャル-ハラスメントと言います。下手すれば、裁判事に発展して社会的制裁を受けますよ」
「ほら見なさい。世界は違えど、女性に対してデリカシーが無い者は誰であろうと有罪です」

私の話を聞いて、「ほら見たことか」とドラン様は
バンラート様に話す。

「だって、気になったんだよ!アルの事は、どんな事でも知りたいんだ!!」

(え~~~っ)

堂々と、胸を張りながら話すバンラートの言葉に真琴はドン引きした。

(アルフォンスさんが大好きなのは知ってたけど…)

正直、此処までとは思わなかった。

「だからっ!誤解される様な発言はするなって言ったよな!?何で、アルフォンスの事になるとポンコツになるんだ…っ!もうお前は黙ってろ!私が話す!」

そう言って、ドランはバンラートのセクハラ発言の弁解をした。

***

「ーーと、言う事です。この馬鹿が、きちんと話さなかったばかりに…。すみません」
「いえ…」

どうやらバンラートは、アルフォンスとキスした事で番としての自覚覚悟が出来たかを聞きたかったらしい。

本来ならーー。

『元の世界に帰る方法が未だ見つからないこの状況で、こんな事を聞くのは酷だと思う。だが、敢えて聞こう。この先、アルフォンス・サザーランドと番になり、この国で生きて行く気は無いか?』

ーーと、聞く筈だったらしい。

(それが、一体どうして「キスはどうだった?」になるんですか……)

真琴は、何だか色々疲れてとても大きな溜息を吐いた。




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