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第1章

No.112

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真琴は、アルフォンスを叱りながら心の中では混乱していた。

(かかか、可愛いってっ!!どうしてそうなったの!?)

そんな事を言われるとは思っていなかった。
不意打ちを食らって、頭はオーバーヒートしてしまった。

「だ、大体!前から思ってたんですけど、アルフォンスさんは可愛いとか簡単に言い過ぎです!!いきなり言われると、凄く恥ずかしいんですよ!?」

もはや、話の内容がズレてしまっている事にも気が付かない。

「アルフォンスさんは、カッコいいんです!!大人の色気ムンムンなんです!そんな人に、可愛いなんてリディアさん達の前で言われるの凄く困るんです!!」
<それなら、人が居なければいいのか?>
「そういう事じゃなくてーー!!」

その様な話し合いも、アルフォンスを追って来たハロルド達の登場により終了した。

***

(恥ずかしい…)

現在、真琴は連れて来られ案内された王城の一室にて羞恥心で死にそうになっていた。

(カッコいいとか、大人の色気とか…。本人に向かって、何言ってるのよっ!!私のバカ!!恥ずかしいっ!今すぐ消えたい……)

ハロルド達が現れた事で、漸く正気に戻った真琴。
アルフォンスを褒め称える事を何度も口にし、それを追いかけて来たハロルド達にも聞かれたのだ。

まるで、惚気ている彼女の様な事を話していた真琴に向けられる生暖かい目。

(いやーーーーっ!!)

死にたい…。消えたい…。
それか、今すぐその黒歴史の記憶を聞いた全員から消したい。

ソファーの肘掛に頭を打ち付ける。

(私のバカ!!一体、どんな顔してアルフォンスさんに会えばいいのよっ……!)

ハァ…っと、小さく溜息をつく。

(自覚した途端、こんな醜態を晒すなんて…)

もう、潔く認めよう。
私はアルフォンスさんに惹かれている。

だって、考えてみて欲しい。
イケメンで優しくて真面目で頼りになって、ピンチの時に駆けつけてくれる。そんな人を好きにならない人がいる?いや、居ない。

吊り橋効果だと言わないで欲しい。
多分私は、今回の事件が起こる前からアルフォンスさんを好きになっていた。 

(アルフォンスさんが悪いよ…)

好きと口では言われた事が無いけれど、私に対する態度や声色。

何より、真琴を見つめるあの目。

あれ程、熱い目で見られてその意味が分からない人は居ないだろう。そんな真っ直ぐな好意を、顔も性格も良い男性から向けられて意識しない方がおかしい。

「アルフォンスさんのバカ…」

何が何でも家族の元へ帰ろう…。その時に、未練が残らない様に大切な物を作らない様にしていたのにしていたのに。

「アルフォンスさんが、良い男すぎるのが悪いんだ…」

その小さな悪態は、誰にも聞こえる事が無く空に消えて行った。











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