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第1章

No.95

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不思議な声の言う通りに右に進みながら考える。

(さっきの声…。とっても懐かしい気がしたなぁ。何でだろ?)

先程の声の正体は、何と無く察している。
何故なら、先程から精霊達が口々に話しているからだ。

『おうさま、おうさま!』
『せいれいおうさま!』
『きこえる?』
『おうさまのこえ、きこえる』
『まことにも、きこえる!』
『やっと、きこえる』

どうやら、私にあの声が聞こえた事が余程嬉しいらしい。先程から、自身の属性の色にピカピカと光りながら私の周りを飛び回っている。

(はしゃぎ過ぎて、何回も壁にぶつかってる子もいるけど…)

『まこと、まこと!』
「何、みーちゃん?」

興奮した声で、私の横に来たみーちゃんに話しかけられる。

『おうさまのこえ、きこえたね!』
「さっきの声の人って、王様なんだ?」
『うん!せいれいおうさま!わたしたちの、おうさまなの!』
「どんな王様なの?」

精霊王というものに興味が湧いて、つい疑問を口にする。………だが、直ぐに後悔する事になる。

『かみは、ながくてぎんいろなの!』→みーちゃん
『めは、きんだよ!』→ひーくん
『かっこいい』→つーくん
『かっこいい?』→ふーくん
『ちがうよ!きれいだよ!』→ひかりちゃん
『ひかってる』→やーくん

かっこいい!綺麗!と、また二つに分かれて妖精達が口論を始める。こういう時は、気の済むまで好きにさせとくべきだ。その間に、情報を整理する。

(えぇっと…。話をまとめるとーー)

長い銀の髪に金色の瞳をした、かっこよくて綺麗な光ってる…らしい。王様と言うのだから、男性だろう。かっこよくて、綺麗も分かる。この国の人は、そんな感じの男性も多いから。

(精霊王は、人型なんだ。光ってるのも、この子達みたいに周りが光ってる感じかな?)

しかし、やっと聞こえたとはどう言う事だろう?まるで、今まで何度も真琴に話しかけていたが、聞こえていなかったかの様だ。

(大体、精霊ってお伽話の存在じゃ無かったっけ?)

図書館で読んだ、世界の始まりの本には精霊達の事は書かれていた。だが、本物を見た者は居ないと書いてあった筈…。

ーーだが、本に書かれていた事は間違っている。

何故なら、目の前にお伽話の存在である筈の精霊が目の前にいるのだから。

(これが、誘拐されたショックで現実逃避で見てる夢じゃない限り……だけどね)

それか、恐怖の余り見ている幻覚と幻聴でなければ。

(う~ん。どっちも強く否定出来ない…)

『あっ!みて、まこと!』

そんな事を考えていると、目の前でひーくんが私を呼ぶ。その声に釣られて顔を上げると、暗闇ばかりだった道の先に光が見えた。




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