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第1章
No.81
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「な…」
(一体、何が起こったんだ?)
「っ!くそっ!」
「おいおい、大丈夫か?」
足を抑えて悪態を吐くスキンヘッドの男に、帽子の男が治癒魔法の効果のある魔石を使う。
何故、こんなに高価で希少な物を男が持っているのだろう?
魔石は、生活の色々な所で使われている。
火を起こす。水を出す。風を起こす。明かりを灯す…等。他にも様々な効果のある魔石は沢山ある。
だが、治癒の効果のある魔石はとても高価で貴族でも侯爵以上の貴族が持つ様なものだ。
間違っても、こんな2人組が持っているのはおかしい。
「ルイザさん!!」
刺されたルイザを見て、真琴が慌てて駆け寄って来る。
「マコさ…っ」
(逃げて下さいっ!)
何とか逃げる様に声を出そうとするが、痛みで声が出せなかった。ルイザの前まで来た途端、足の怪我を魔石で治したスキンヘッドの男が真琴を背後から羽交い締めにした。
「なっ!?離してっ!」
真琴は、必死に暴れるが体格の良いスキンヘッドの男には敵わない。
「チッ!暴れんなよ。おい、早く黙らせろ」
「わかってる」
帽子の男が真琴に近付き、魔法で眠らせる。
「おい、行くぞ」
「あぁ」
スキンヘッドの男が、真琴を肩に担ぎこの場所を離れる。
「ま……て…!」
竜人は頑丈だ。
普段なら、これくらいの傷は大した事ない。
(なのに、動けない…)
一体、何故?
きっとこの黒い靄のせいだ。
この黒い靄を纏ったナイフで出来た傷を中心に、身体から力を吸い取られる。
(動けっ!今動かないで、いつ動く!!)
団長が、私を信頼して真琴の護衛を任してくれたのに。何も出来ずに、真琴が攫われるのをただ見ているだけなんて!
「ぐっ…、は…っ!」
(せめて、手掛かりだけでも…!)
荷馬車に乗り込もうとするスキンヘッドの男に、追跡魔法を放つ。上手く魔力が使えず、とても弱い魔法になってしまった。これでは、追跡魔法を辿るのも大変だろう。しかし、そのお陰で魔法を感知されないだろう。
(早く、団長に知らせないと!)
「大丈夫ですか!?」
ぐったりと、壁に寄りかかっていたルイザを通りすがりの男性が見つけて声をかける。
「っ…、すまな…。わた…しを、王宮…に」
「わ、わかりました!」
周りに、助けを呼ぶ男性の声に次々と人が集まる。
今の今まで誰もいなかったのは、帽子の男が人払いの魔法をかけていたからだろう。帽子の男が居なくなった今、魔法の効果が切れ人がやって来たのだろう。
「直ぐに、医者が来ますから!しっかりして下さい!」
男性の叫ぶ声が遠くに聞こえる。
(駄目だ、眠るな。アルフォンス団長に報告しないと…)
その後。何とか意識を保ち続け、駆け付けた医者に応急処置を施してもらった後。最初に声をかけて来た男性に連れて行ってもらい、痛む身体を引きずりながら王宮へと辿り着いたのだった。
(一体、何が起こったんだ?)
「っ!くそっ!」
「おいおい、大丈夫か?」
足を抑えて悪態を吐くスキンヘッドの男に、帽子の男が治癒魔法の効果のある魔石を使う。
何故、こんなに高価で希少な物を男が持っているのだろう?
魔石は、生活の色々な所で使われている。
火を起こす。水を出す。風を起こす。明かりを灯す…等。他にも様々な効果のある魔石は沢山ある。
だが、治癒の効果のある魔石はとても高価で貴族でも侯爵以上の貴族が持つ様なものだ。
間違っても、こんな2人組が持っているのはおかしい。
「ルイザさん!!」
刺されたルイザを見て、真琴が慌てて駆け寄って来る。
「マコさ…っ」
(逃げて下さいっ!)
何とか逃げる様に声を出そうとするが、痛みで声が出せなかった。ルイザの前まで来た途端、足の怪我を魔石で治したスキンヘッドの男が真琴を背後から羽交い締めにした。
「なっ!?離してっ!」
真琴は、必死に暴れるが体格の良いスキンヘッドの男には敵わない。
「チッ!暴れんなよ。おい、早く黙らせろ」
「わかってる」
帽子の男が真琴に近付き、魔法で眠らせる。
「おい、行くぞ」
「あぁ」
スキンヘッドの男が、真琴を肩に担ぎこの場所を離れる。
「ま……て…!」
竜人は頑丈だ。
普段なら、これくらいの傷は大した事ない。
(なのに、動けない…)
一体、何故?
きっとこの黒い靄のせいだ。
この黒い靄を纏ったナイフで出来た傷を中心に、身体から力を吸い取られる。
(動けっ!今動かないで、いつ動く!!)
団長が、私を信頼して真琴の護衛を任してくれたのに。何も出来ずに、真琴が攫われるのをただ見ているだけなんて!
「ぐっ…、は…っ!」
(せめて、手掛かりだけでも…!)
荷馬車に乗り込もうとするスキンヘッドの男に、追跡魔法を放つ。上手く魔力が使えず、とても弱い魔法になってしまった。これでは、追跡魔法を辿るのも大変だろう。しかし、そのお陰で魔法を感知されないだろう。
(早く、団長に知らせないと!)
「大丈夫ですか!?」
ぐったりと、壁に寄りかかっていたルイザを通りすがりの男性が見つけて声をかける。
「っ…、すまな…。わた…しを、王宮…に」
「わ、わかりました!」
周りに、助けを呼ぶ男性の声に次々と人が集まる。
今の今まで誰もいなかったのは、帽子の男が人払いの魔法をかけていたからだろう。帽子の男が居なくなった今、魔法の効果が切れ人がやって来たのだろう。
「直ぐに、医者が来ますから!しっかりして下さい!」
男性の叫ぶ声が遠くに聞こえる。
(駄目だ、眠るな。アルフォンス団長に報告しないと…)
その後。何とか意識を保ち続け、駆け付けた医者に応急処置を施してもらった後。最初に声をかけて来た男性に連れて行ってもらい、痛む身体を引きずりながら王宮へと辿り着いたのだった。
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