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第1章
No.72
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(………?一体、何なんだ?)
先程から通り過ぎる人が皆、こちらをチラチラと見ながらヒソヒソと話している。
アルフォンスが、今しがた通り過ぎたメイド達を見る。すると、キャーっと黄色い悲鳴が上がり何故か期待のこもった眼差しを向けられる。
(本当に何なんだ?)
疑問に思いながらも、仕事をしに自身の執務室に向かった。
***
「………何故、ここに居る」
思わず、そんな言葉が口から漏れる。
執務室の扉を開けると、まるで自分の部屋の様にソファーに寛いで座るバンラートがいた。そのバンラートの側には、どうすれば良いか分からずウロウロとするハロルド。
正直、大柄で強面の顔で困惑した様子のハロルドの姿は違法な取引現場を目撃された犯罪者の様だ。
「聞いたぞ、アル~」
にやにやと、笑いながらバンラートが話しかけて来た。
「遂にヤったんだってなぁ」
「やった?」
(一体、何を言っているんだ?)
仕事の事だろうか?
不思議に思いながらも、バンラートと自分用に紅茶を淹れる。アルフォンスが来て安心したハロルドは、そそくさと部屋を出て行った。多分、ドランに報告しに行ったのだろう。
アルフォンスの役目は、仕事を抜け出して来たであろう目の前の男をドランが来るまで、ここに引き止めて置く事だ。
「おっ!ありがとうな」
アルフォンスの入れた紅茶をバンラートがすぐさま飲む。それを見ながら、どうやって引き止めようか考えながら自身も紅茶を口に含む。
「ーーで?遂にマコとヤったんだろ?どうだった?」
ブーーーーーーッ!!
バンラートの言葉に、思わず紅茶を吹き出してしまった。
「うわっ!?何するんだよ!汚いだろ!!」
紅茶は、目の前に座っていたバンラートにかかる。紅茶をかけられたバンラートが叫ぶが、それどころではない。
「ゴホッ、ゴホッ!!おまっ!何言って…っ!」
「ん?何って…。皆んなが噂してるぞ?アルが昨日、処女の女を抱いたって」
魔法で服を乾かしたバンラートが、不思議そうにそう言う。アルフォンスは、それを聞いて唖然とした。
「……何だ、その噂は」
「アルは、知らないのか?実はなーー」
バンラートに、今流れている噂を聞いてアルフォンスは顔を覆った。
(だから、あれ程周りに見られたのか…っ!)
その噂は、事実無根だ。
自身は、屋敷に女性を屋敷に招いてもい無いし、真琴にそんな事をしていない。
「……それは、全てデタラメだ。俺は、真琴にそんな事は一切していない」
そんな夢の様なことが出来るのならしたいくらいだ。
「ちぇ~。何だ、デマか。つまんないの」
「仮にも、この国の国王ともあろう者がこんな噂話を本気にして振り回されるなっ!」
心底つまらなそうな顔をするバンラートにそう怒鳴りながらアルフォンスは、どうやって噂を消すかを必死に頭を動かして考えていた。
先程から通り過ぎる人が皆、こちらをチラチラと見ながらヒソヒソと話している。
アルフォンスが、今しがた通り過ぎたメイド達を見る。すると、キャーっと黄色い悲鳴が上がり何故か期待のこもった眼差しを向けられる。
(本当に何なんだ?)
疑問に思いながらも、仕事をしに自身の執務室に向かった。
***
「………何故、ここに居る」
思わず、そんな言葉が口から漏れる。
執務室の扉を開けると、まるで自分の部屋の様にソファーに寛いで座るバンラートがいた。そのバンラートの側には、どうすれば良いか分からずウロウロとするハロルド。
正直、大柄で強面の顔で困惑した様子のハロルドの姿は違法な取引現場を目撃された犯罪者の様だ。
「聞いたぞ、アル~」
にやにやと、笑いながらバンラートが話しかけて来た。
「遂にヤったんだってなぁ」
「やった?」
(一体、何を言っているんだ?)
仕事の事だろうか?
不思議に思いながらも、バンラートと自分用に紅茶を淹れる。アルフォンスが来て安心したハロルドは、そそくさと部屋を出て行った。多分、ドランに報告しに行ったのだろう。
アルフォンスの役目は、仕事を抜け出して来たであろう目の前の男をドランが来るまで、ここに引き止めて置く事だ。
「おっ!ありがとうな」
アルフォンスの入れた紅茶をバンラートがすぐさま飲む。それを見ながら、どうやって引き止めようか考えながら自身も紅茶を口に含む。
「ーーで?遂にマコとヤったんだろ?どうだった?」
ブーーーーーーッ!!
バンラートの言葉に、思わず紅茶を吹き出してしまった。
「うわっ!?何するんだよ!汚いだろ!!」
紅茶は、目の前に座っていたバンラートにかかる。紅茶をかけられたバンラートが叫ぶが、それどころではない。
「ゴホッ、ゴホッ!!おまっ!何言って…っ!」
「ん?何って…。皆んなが噂してるぞ?アルが昨日、処女の女を抱いたって」
魔法で服を乾かしたバンラートが、不思議そうにそう言う。アルフォンスは、それを聞いて唖然とした。
「……何だ、その噂は」
「アルは、知らないのか?実はなーー」
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(だから、あれ程周りに見られたのか…っ!)
その噂は、事実無根だ。
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「……それは、全てデタラメだ。俺は、真琴にそんな事は一切していない」
そんな夢の様なことが出来るのならしたいくらいだ。
「ちぇ~。何だ、デマか。つまんないの」
「仮にも、この国の国王ともあろう者がこんな噂話を本気にして振り回されるなっ!」
心底つまらなそうな顔をするバンラートにそう怒鳴りながらアルフォンスは、どうやって噂を消すかを必死に頭を動かして考えていた。
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