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第1章
No.65
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「………マコ様?大丈夫ですか?」
「…へ?…あぁ、うん。はい。大丈夫です」
「………そうですか」
今日のマコ様は、朝から何処かおかしい。
ボーっと遠くを見つめていたと思ったら、いきなり顔を赤くして頭を振っている。かと思えば、またボーっとしたり。
(どうしたのかしら…)
朝食はしっかりと食べていたから、何処か体調が悪い訳ではない様だ。
それから、今日は図書館には行かずに部屋で本を読んでいる。だが、ページをめくる手が時折止まり城の方をジッと見つめる。
ーートントン
紅茶を入れていると、部屋の扉がノックされた。 扉を開けると、屋敷に仕えて3年目のメイドが立っていた。
「どうしました?」
「メイド長、アルフォンス様からお手紙が届きました」
メイドがそう言った途端、ガタンと大きな音がした。音の方を見ると、マコ様が机から本を落として慌てていた。
「………ご苦労様。仕事に戻っていいわ」
「はい」
パタンと音を立ててしまった扉を見て、マコ様の方を振り返る。
「すすす、すいません!大事な本を…!」
「マコ様、落ち着いて下さい」
(やっぱり、何かあったんだわ)
先程、マコ様はアルフォンス様の名前に反応した。
昨日の朝、アルフォンス様とマコ様はいつも通りだった。その後は、城で色々あってアルフォンス様の帰りが遅くなりマコ様とは会っていない。強いて言えば夜中、アルフォンス様が数分程マコ様の部屋を覗いた程度だ。
(………もしかして)
「マコ様」
「何ですか?リディアさん」
「昨日の夜、アルフォンス様と何かありましたか?」
「っ!!!!!?」
持っていた本が、マコ様の手から落ちる。
そして、だんだんと顔が赤くなり口をパクパクとさせるマコ様。
「なっ!?ど!えっ!?」
あまりに動揺するので、何だか申し訳ない気持ちになってきた。
「マコ様、落ち着いて下さい。ほら、紅茶を飲んで下さい。落ち着きますよ」
そう言って、隣国から取り寄せた紅茶をマコ様に渡す。ソファーに座ったマコ様は、震える手で紅茶を飲む。
「ゴク…ゴク…。ふぅ~。………すみません、ありがとうございます」
「いいえ、私もいきなり聞いてすみません」
何があったか聞きたいが、少し時間を開けた方がいいだろう。
「マコ様。私は、少し席を外させて頂きます。何かご用があれば、お呼び下さい」
「わかりました」
マコ様に、頭を下げて部屋を出る。
「…さて、何の手紙かしら」
自身の部屋に戻り、ペーパーナイフで手紙を開く。
「………全く、あの方は」
手紙を読み終わると、思わずそんな声が出てしまった。
「はぁ~。今から用意して間に合うかしら…」
そう呟いて、執事のルドルフを探しに部屋を出た。
「…へ?…あぁ、うん。はい。大丈夫です」
「………そうですか」
今日のマコ様は、朝から何処かおかしい。
ボーっと遠くを見つめていたと思ったら、いきなり顔を赤くして頭を振っている。かと思えば、またボーっとしたり。
(どうしたのかしら…)
朝食はしっかりと食べていたから、何処か体調が悪い訳ではない様だ。
それから、今日は図書館には行かずに部屋で本を読んでいる。だが、ページをめくる手が時折止まり城の方をジッと見つめる。
ーートントン
紅茶を入れていると、部屋の扉がノックされた。 扉を開けると、屋敷に仕えて3年目のメイドが立っていた。
「どうしました?」
「メイド長、アルフォンス様からお手紙が届きました」
メイドがそう言った途端、ガタンと大きな音がした。音の方を見ると、マコ様が机から本を落として慌てていた。
「………ご苦労様。仕事に戻っていいわ」
「はい」
パタンと音を立ててしまった扉を見て、マコ様の方を振り返る。
「すすす、すいません!大事な本を…!」
「マコ様、落ち着いて下さい」
(やっぱり、何かあったんだわ)
先程、マコ様はアルフォンス様の名前に反応した。
昨日の朝、アルフォンス様とマコ様はいつも通りだった。その後は、城で色々あってアルフォンス様の帰りが遅くなりマコ様とは会っていない。強いて言えば夜中、アルフォンス様が数分程マコ様の部屋を覗いた程度だ。
(………もしかして)
「マコ様」
「何ですか?リディアさん」
「昨日の夜、アルフォンス様と何かありましたか?」
「っ!!!!!?」
持っていた本が、マコ様の手から落ちる。
そして、だんだんと顔が赤くなり口をパクパクとさせるマコ様。
「なっ!?ど!えっ!?」
あまりに動揺するので、何だか申し訳ない気持ちになってきた。
「マコ様、落ち着いて下さい。ほら、紅茶を飲んで下さい。落ち着きますよ」
そう言って、隣国から取り寄せた紅茶をマコ様に渡す。ソファーに座ったマコ様は、震える手で紅茶を飲む。
「ゴク…ゴク…。ふぅ~。………すみません、ありがとうございます」
「いいえ、私もいきなり聞いてすみません」
何があったか聞きたいが、少し時間を開けた方がいいだろう。
「マコ様。私は、少し席を外させて頂きます。何かご用があれば、お呼び下さい」
「わかりました」
マコ様に、頭を下げて部屋を出る。
「…さて、何の手紙かしら」
自身の部屋に戻り、ペーパーナイフで手紙を開く。
「………全く、あの方は」
手紙を読み終わると、思わずそんな声が出てしまった。
「はぁ~。今から用意して間に合うかしら…」
そう呟いて、執事のルドルフを探しに部屋を出た。
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