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第1章

No.50

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それから、直ぐ隣で待機していたアモウお爺ちゃんがリディアさんと部屋にやって来た。

アモウお爺ちゃんの診察を受け、身体が怠い事と声の掠れ以外異常はないと診断された。

「しばらく安静にしてれば大丈夫じゃ。だが、体力回復の為に少しでも栄養のある食事を取るんじゃぞ?」

それを聞いたアルフォンスさんは、リディアさんに何かを耳打ちする。それに頷いたリディアさんは、部屋を出て行った。

(食事を用意する様に頼んでくれたのかな?)

「マコちゃんが目を覚まして良かったわい。しかし、アル坊が直ぐに気が付かない程に巧妙な魔法か…」

そう言って、アモウお爺ちゃんは何時もは穏やかな顔に険しい表情を浮かべる。

「本来なら、魔力の無いマコちゃんに魔法をかけるのは危険なんじゃ。今現在、マコちゃんの身体が必要としない他の異物…つまり、魔力を注ぐ様な事は毒じゃ。ちょっとばかしなら問題ない。例えるなら、少し煙っぽい様な空気を吸った感じじゃ」

そこで、一旦言葉を区切る。

「だが、今回は致死量では無いが毒を飲まされた様なものじゃ。普通なら、他者の魔力には己の魔力で対峙するんじゃが。マコちゃんには、その魔力が無い。本来、この世界に住む生きとし生けるものは大なり小なり魔力を持っているんじゃがのぉ。これは、ワシの予想だが…彼方の世界渡った際、彼方に馴染む為に己の魔力を使い切ってしまったと思うのじゃ。彼方の世界には、魔力をが無い為に回復する事も無かった。それが、いきなりこの世界に戻って来たから身体がまだこちらに馴染んでおらずに魔力が回復しないんじゃろう」

(そっか…。元々は、こっちの世界の人間なんだから私にも魔力があるんだ…)

つまり、身体が馴染めば魔法が使えるという事だ。

(魔法かぁ~。使ってみたいなぁ)

勿論、両親達のいる場所に帰るつもりだ。
だが、1度でいいから魔法を使ってみたい。これは、どんなに大人になっても夢見る事では無いだろうか?

「だから、今回はマコちゃん自身のの魔力の代わりにアル坊の魔力で対抗したんじゃ。だがの、普通はそんな事は出来ないんじゃ。人によって魔力の質は違うからの。だが、アル坊とマコちゃんは番。番とは、元々魔力の波長が合う者同士なんじゃ。だから今回、アル坊がマコちゃんを助ける事が出来たんじゃ!」

よかったのぉ~と、アモウお爺ちゃんは笑う。

(声が出る様になったら、改めてアルフォンスさんにお礼を言おうっ…!)

新たな決意をした時、リディアさんが食事を持って戻って来た。

「アルフォンス様、言われた物をお持ちしました」
「ご苦労。……真琴、食事だ。まだ、身体が辛いだろうから寝ていても食べれる物を用意した」

アルフォンスさんの気遣いがとても嬉しい。

「マコ様、どうぞ。こちらは、グーミンという病人食です。味が薄いのが欠点ですが、栄養価が高く噛まなくても食べられるんですよ」

そう言って、リディアさんが1センチ程の正方形の透明な物を私の口元に運ぶ。

(見た目はグミ…だよね)

見た感じ、噛まないと食べられなさそうだが…。
ずっと口元に持たせているのも悪いので、口を開きグーミンを食べる。

(っ!何これ!溶けた!)

口に入れた途端、固形物だったグーミンはあっという間に溶けて液状になる。それは、簡単に飲み込め確かに病人食としては最適だ。

(だけど、本当に味が薄い…)

例えるなら、水に近い味だ。
身体が動く様になったら、味の濃いものを食べようと誓った。


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