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第1章

No.48

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そこは、真っ暗な空間だった。
見渡す限り暗闇が続き、人の気配も音も聞こえない。

(何…?)

誰か居ないか声を出すが、口からは空気しか出てこない。

(夢…だよね?)

一先ず、立ち止まっていても意味が無いので歩き出す。


***


一体、どれくらい歩いただろう。
いくら歩いても、景色が変わる事は無かった。

(何なの?この夢…)

夢の中だからか、疲れる事は無かった。
だが、変わらない現状に飽きて足を止める。


ーーその時だった。


ゾッとした何かが背中を走る。

(っ!?)

慌てて背後を振り返る。
すると、暗闇の中に光る2つの何か。

(な…に、)

何処からとも無く、シュー、シューと不思議な音が聞こえて来た。

音は、2つの光と共に段々と近付いて来る。

(嫌っ!!)

私は、慌てて走り出す。

(怖い、怖い、怖い!!)

何故かは分からない。
だが、アレが物凄く怖かった。


ーーアレに、決して捕まっては行けない。


漠然とそう思った。


ーーきっと、捕まったら自分は跡形も無く消し去られてしまう。


疲れない筈なのに、息を切らせて必死に走る。
背後から、シュー、シューという音が付いて来るのがわかった。

(助けて、誰か!!)

頬を涙が伝うのがわかる。
暗い闇の中を必死に1人で走り続ける。


走って、走って、走って、走って。


どれくらい走り続けただろう。
それまで、暗闇しか無かった空間に変化が起きた。

(あれはっ…!)

目の前の空間が突然、赤色に変化したのだ。
突然の変化に、何故か私は戸惑わなかった。

(アルフォンスさんっ!)

その赤い色を見た瞬間、あの優しい人を思い浮かべた。あの先がどうなっているのか、分からない。

だが、私は迷わずその赤に飛び込んだ。


***


「………ろ!お…ろ!………起きろ!」

そんな声が近くから聞こえて来て、ハッと目が覚めた。

「よかった!マコ様、大丈夫ですか?」

ベットの側に、涙を流しながらこちらを見つめるリディアさんが居た。

「リ………」

リディアさん?と、声を出そうとして掠れた音しか出ない事に驚いた。

「あぁ、無理をしないで下さい!直ぐに、アモウ様を呼んできます」

そう言って、リディアさんは慌てて部屋を出て行く。

(何かどうなってるんだろう?)

そう思った時だった。

「真琴」

懐かしいと思うくらい、誰にも呼ばれなかった自身の名前を呼ばれたのは。









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