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第1章
No.40
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夜遅くの王宮執務室。
そこで、呻いている男が1人。
「ゔー」
この国の国王バンラートである。
何時もは綺麗に後ろに流している金の髪は、今はボサボサだ。
ーーガチャ
「陛下?先程から煩いのですが」
バンラートに冷たい声でそう言うのは、宰相であるドランだ。灰色の短い髪に青い瞳の彼は、バンラートに近付くと彼の執務机の上に書類を置く。
「この書類は、明日の昼までに確認して下さい。………それで?一体、どうしたんですか?」
「アルが…」
バンラートは、顔を伏せたまま話す。
そのせいで、声が少しくぐもって聞きづらい。
「アルフォン将軍がどうしたんですか?」
「アルが、番を紹介してくれない…」
その言葉に、ドランは呆れる。
「何を真剣に悩んでいるかと思えば…。そんな事ですか」
「そんな事だと!?」
バンラートが、勢い良く立ち上がる。
「親友が!番を紹介してくれないんだぞ!アルの番がこっちに戻って来て、そろそろ1ヶ月だ。わかるか?1ヶ月だぞ!?」
興奮したバンラートは、机をバンバンと叩く。
「何で紹介してくれないんだ?俺は只、『アルフォンスのたった1人のかけがえの無い親友です』って紹介してくれるだけでいいのに!」
(そう言う所が紹介したく無い理由では?)
アルフォンスが大好きなバンラート。
過去にバンラートは言った。
『俺、アルが女だったら結婚しても良いくらいに好きだ』
この後、アルフォンスはバンラートを1ヶ月もの間避け続けた。
「はぁ…、落ち着いて下さい。聞けば、アルフォンス将軍の番の方は彼方の世界で庶民だった様子。それなのに、いきなり国王に会うなんて無理でしょう。だから、アルフォンス将軍は紹介しないんだと思いますよ」
ドランは、半分適当に答える。
「そうなのか?」
「えぇ。(多分それだけでは無いと思うが)」
ドランの言葉に渋々頷くバンラート。
「まぁ…それなら仕方ないか」
「そうです。それより、明日も早いんですから。
早く部屋に戻って寝て下さい。マリアンヌ様が寂しがってますよ」
「何っ!?待っててくれ、マリアンヌ!すぐに行く!」
そう言って、バンラートは執務室を勢い良く飛び出して行った。いきなり飛び出したバンラートを、部屋の前で警護していた騎士達が慌てて追いかけて行く。
「まったく…。陛下には、困ったものです」
ドランは、小さく溜息を吐く。そうして、バンラートが飛び出して行った際に散らばった書類を拾い整理して机に置くと、ドランも執務室を後にした。
そこで、呻いている男が1人。
「ゔー」
この国の国王バンラートである。
何時もは綺麗に後ろに流している金の髪は、今はボサボサだ。
ーーガチャ
「陛下?先程から煩いのですが」
バンラートに冷たい声でそう言うのは、宰相であるドランだ。灰色の短い髪に青い瞳の彼は、バンラートに近付くと彼の執務机の上に書類を置く。
「この書類は、明日の昼までに確認して下さい。………それで?一体、どうしたんですか?」
「アルが…」
バンラートは、顔を伏せたまま話す。
そのせいで、声が少しくぐもって聞きづらい。
「アルフォン将軍がどうしたんですか?」
「アルが、番を紹介してくれない…」
その言葉に、ドランは呆れる。
「何を真剣に悩んでいるかと思えば…。そんな事ですか」
「そんな事だと!?」
バンラートが、勢い良く立ち上がる。
「親友が!番を紹介してくれないんだぞ!アルの番がこっちに戻って来て、そろそろ1ヶ月だ。わかるか?1ヶ月だぞ!?」
興奮したバンラートは、机をバンバンと叩く。
「何で紹介してくれないんだ?俺は只、『アルフォンスのたった1人のかけがえの無い親友です』って紹介してくれるだけでいいのに!」
(そう言う所が紹介したく無い理由では?)
アルフォンスが大好きなバンラート。
過去にバンラートは言った。
『俺、アルが女だったら結婚しても良いくらいに好きだ』
この後、アルフォンスはバンラートを1ヶ月もの間避け続けた。
「はぁ…、落ち着いて下さい。聞けば、アルフォンス将軍の番の方は彼方の世界で庶民だった様子。それなのに、いきなり国王に会うなんて無理でしょう。だから、アルフォンス将軍は紹介しないんだと思いますよ」
ドランは、半分適当に答える。
「そうなのか?」
「えぇ。(多分それだけでは無いと思うが)」
ドランの言葉に渋々頷くバンラート。
「まぁ…それなら仕方ないか」
「そうです。それより、明日も早いんですから。
早く部屋に戻って寝て下さい。マリアンヌ様が寂しがってますよ」
「何っ!?待っててくれ、マリアンヌ!すぐに行く!」
そう言って、バンラートは執務室を勢い良く飛び出して行った。いきなり飛び出したバンラートを、部屋の前で警護していた騎士達が慌てて追いかけて行く。
「まったく…。陛下には、困ったものです」
ドランは、小さく溜息を吐く。そうして、バンラートが飛び出して行った際に散らばった書類を拾い整理して机に置くと、ドランも執務室を後にした。
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